次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)はだれに向けてのものか?
12月26日開催 第5回次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会をオンライン傍聴しました。
第5回次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)策定専門委員会資料
「21 世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)とは」
勝手にざっくりいってしまうと、健康寿命の延伸、健康格差の縮小を目指して、その原因となる生活習慣の改善や社会環境の向上などの課題について具体的な目標を設定して、国民みんなで健康づくりを進めていこうというもの。約10年、次期は12年という長期を見据えた健康づくりの目標を立てています。
※きちんとした正しい内容は、厚生労働省のサイトをご確認ください。
今回の議事は、骨子案(告示になるもの)、目標案(歯・口腔領域に関する事項も今回提示されました)についてです。
●骨子案は委員から大筋了解を得る
今回は骨子案の後半について議論されました。
委員からは「市町村の総合計画と連動と記載しては」「PDCAという言葉を入れるべきでは」「スティグマの定義は?」「災害の表記を入れては」など細かな点で意見が出ましたが、大きな変更といった意見はなく大筋了承されました。
個人的には
「五 その他考慮すべき事項 〜〜孤独・孤立の深刻化等による健康影響についても考慮し、〜〜〜〜」
という記載があり、以前辻先生が日本公衆衛生学会のご講演で「今後孤独・孤立の問題が健康問題に大きく影響していくのではと危惧している」と話されていて、この問題が取り上げられていてよかったと思いました。
●目標案の内容は前回から大きな変更はないようにも
目標案については、見せ方の変更点として、項目と指標を分けられて、わかりやすくなりました。
他の変更点としては、栄養・食生活に「5果物摂取量が不足している者の減少」が追加されました。また、こころの健康については、「生活機能の維持・向上」という表記が 「心身の生活機能の維持・向上」と、「心」の文字が入りました。
ただ、委員からは、やはり「こころの健康」が前の計画と比較して、中項目からなくなったことは、間違ったメッセージを送ってしまうのでは、という懸念の声が複数出ていました。
また、健康格差についても、「都道府県の健康寿命の差」以外にも何かしら項目を入れるべきではという意見も出ていました。例えば、セーフティーネットについての指標などが必要ではないか、など。
ライフコースでは、高齢者のやせでは「フレイル予防」の文言が必要ではないかなど、記載の仕方の工夫について意見が出ていました。
事務局からは、今後開催を予定している「推進専門委員会」で、目標に設定していなくても、モニタリングすべき指標やアクションプランとして丁寧に記載していくことも考えているという、返答がありましたが……。やはり「目標」になるかならないかは、印象は大きく違いますから、難しいですね。
歯・口腔の健康 について、歯科口腔保健の推進に関する専門委員会からの目標案が提示されました。
委員からは、子どものう蝕は、健康格差の指標になるのでは、という意見が出ていましたが……。
今回の委員会を傍聴していて、
○目標の構造化 (ロジスティクモデルの提示)
○「こころの健康」の項目だて
○健康格差の指標の追加
○ライフコースの目標の見せ方
などは、この何回か議論になっていますが、個人としての印象では、あまり反映されていないようにも感じます。日程的にもギリギリなのか、それとも確固たる意図があるからなのか。なにかしらの事情があるのかもしれませんが……。
●「次期国民健康づくり運動プラン」のターゲット層はどこなのか?
そして気になるのが「次期国民健康づくり運動プラン(令和6年度開始)」は、誰に向けてのものなのか、ということ。国民健康づくり運動は、まさにその名のとおり「全ての国民が健やかで心豊かに生活できる持続可能な社会の実現」のものなので。
この業界(予防・健康づくりを専門として関わっている人)向けなら、こちらで十分かもしれませんが、もっと大きな層をターゲットにしているなら、この「見せ方」では、厳しいようにも感じますね。
これは今後開催予定の「推進専門委員会」の役割ということになるのかもしれません。
事務局からは、次回はトータルパッケージを示す時期と思っています、とのことでした。
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