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「柔らかく何重にも支える細やかな産業保健体制」を作るために

11月14日開催の第2回産業保健のあり方に関する検討会を傍聴しました。
第2回産業保健のあり方に関する検討会資料
今回は、第1回の検討会の論点や委員の意見をまとめた「今後の産業保健のあり方に関する論点 第一回検討会における主な意見」(資料1)
について事務局から説明があり、以降は、構成員の方々からのヒアリング、その後フリーディスカッションとなりました。

発表者は、
医師会産業保健担当理事で地元の産業保健支援センター所長の立場から
嘱託産業医であり精神科医師の立場から
健診機関として立場から
衛生管理者の立場から
企業所属保健師の立場から
それぞれ現状と課題についてお話しいただきました。
現場にかなり近い方々からの発表なので、現実的な課題をひしひしと感じられ、とても聞き応えがありました。

●チームとして産業保健サービスを提供

印象に強く残ったのは、中嶋構成員の発表にあった「柔らかく何重にも支える細やかな産業保健体制」という言葉です。
産業医衛生管理者、人事労務担当者、社員相談室、産業看護・保健師、公認心理師、キャリアコンサルタント、外部EAP、復職支援サービスなど、チームとして対応することの重要性をあげ、法令上の位置付けが必要では、とのことでした。
(特に現場の産業看護・保健師は必須、いないと無理と言い切っていました)

資料3 中嶋構成員提出資料より

こうした体制は大企業だからできる仕組みではとも思いましたが、社内に産業保健スタッフもいない場合も多い中小企業だからこそ「柔らかく何重にも支える」外部支援も含めた、産業保健「チーム」という対応が必要だと感じました。

他にも
健診結果報告書の統一の標準フォーマット化の必要性、産業保健スタッフの質と量(人数)とこれからの教育について、保険者と事業者の健康づくりの役割分担など、ヒアリングから、さまざまな課題が議論されました。

●産業保健サービスとして何をどこまで法令化するのか

全体を傍聴して感じたことは、何をどこまで法令化するのか、ということ。
「全ての労働者に産業保健サービスの提供」はもちろん理想です。
ただ、1回目の検討会でも意見が出ていましたが、残念ながら今時点でも健診の実施でさえできていない事業所も見られ、「べき論」だけでは、サービスの格差が広がってしまう可能性もあるようにも思います。
座長からは「役割は明確にそして柔軟に」という発言もありました。
実効性が高めつつ、産業保健サービスをより届けられる仕組みをどう作るか。

次回には「取りまとめ」のような形となったものが事務局から提示されるのでは、と思っています。たぶん、ですが。開催予定は12月23日とのことです。


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