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企業とクリエイターの間にある境界線を取り払う。「共創」の真価を見つめる人物は今何を思うのか?

“圧倒的なリーダーシップ” ── 彼と共に働くメンバーは、彼の存在をそう表現します。「餅屋」発起人の一人・三島 悠太は、軽やかに、それでいて熱く語る姿がいつだって印象的な人物。「彼と取り組む仕事ならきっと楽しいものになる」そう確信させてくれるのは、三島が放つグルーヴ感ゆえ。

「餅屋」の先頭に立つ彼は日頃、何を考えているのか。その片鱗に触れます。

三島 悠太  テテマーチ株式会社 取締役
Social Contents Studio『餅屋』 プランナー

1993年生まれ。2018年にテテマーチJOIN後、プランナー兼ビジネスプロデューサーとして約300社以上のSNSマーケティングを中心とした戦略・企画設計を手掛けながら、Twitterキャンペーンツール「boite」やソーシャルコンテンツスタジオ「餅屋」などの立ち上げも行ってきた。
「Instagram Day Tokyo 2019」「House of Instagram 2020」登壇。


天真爛漫なリーダーシップは3歳にして芽を出した

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── 三島さんと日々働く社内の方に「三島さんってどんな方ですか?」と伺ったんです。そしたら「統率力がある」「カリスマ性」「決断の鬼」そういう言葉がずらりと並んでいて。わたしも三島さんと日頃から話していて感じる要素だったのでとても納得しました。三島さんはこれらのフレーズ、どう感じられますか?

みんなに褒めてもらって恐縮です……自分で言うのも変な話ですが、その表現には違和感ないです(笑)。決断力や周りを引っ張る力があるのは、生まれながらに与えられた役割なんだなと思っています。すごく目立ちたがりな部分もあるし、まとめ役になることも昔から多かったんですよね。

── そうなんですね。「仕切らなくちゃ」と思っているわけではなく、もともと持っている自分らしさの要素のひとつ、みたいな……?

そうかもしれません。小学生くらいの頃から遠足とかのイベントごとでは人一倍張り切っていて、とんでもなく大きなリュックサックを背負ってクラスで目立っちゃう、みたいな子どもだったそうです。最近両親から3歳の頃に公園の砂場で遊んでいたときですら、同じ公園にいた子どもを集めて役割を振ってひとつの作品を作っていたというエピソードを聞きました(笑)。

── ええっ、そんな頃からマネジメント体質だったんですか……(笑)?シーンを想像したらシュールすぎて面白いです……。

僕もその話を聞いてすごく笑ってしまいました(笑)。自分の中のアイデンティティが確立する前から、人をまとめたり引っ張ったりすることが好きなタイプでした。だから、今も良い意味で無理をせず、そのままの自分でいられているのかなと思います。

── 天性のリーダーシップだったんですね。ちなみに、仕事を進める上で、決断力があるあまりに突っ走ってしまう……みたいなことってありませんか? 三島さんは決断も早いし明快だからこそ、周囲との足並みを揃えるのが難しい瞬間もあるのかなと思い。

振り返ると、そういう失敗もありました。今は「決断すること」そのものを誰かに任せることが多くなったんですよね。決断に至るまでの過程は僕がリードするけれど、決断は仲間に委ねるからスピード感が合ってきたかも。

本気の仕事がしたいから、中途半端な真似はしない

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── 決断することを人に任せるようになったのはどうしてでしょう。三島さんらしさは、その決断力にもあるように思います。

なんでも僕が決めちゃったら、仲間と仕事をする意味がないからです。僕の脳内にある以上のものは生まれないし、発想の可能性を狭めてしまう。そしてなにより、僕だけではなく仲間と決断しながら仕事を進めていくと、チームの熱量も高い状態を維持できるように感じるんです。

── 自分でなんでも決めすぎてしまうことの弊害を感じるタイミングがあったんですね。

そうですね。なんでもひとりで進めようとしすぎるあまりに、自分がつい無理をしてしまうようになって。その結果、あるときキャパオーバーしちゃったんですよね。

── そんなことが……。三島さんとは普段からお仕事でご一緒していますが、いつもキャパシティという概念はないのかと思うほど毎日全力で働かれているイメージがあります。

いやいや、そんなことはありませんよ(笑)。それに、僕は方針を決断するのは得意だけれど、施策やクリエイティブの“how”については、僕より得意な仲間がいるんですよね。だから、そこはプロフェッショナルに託そうかなって。

つまり、なぜ作るのか、何を作るのか、誰とやるのかなど、上流に関わる意思決定は僕の責任として担うけれど、それらをどんな風に作るのか、どんな工夫を施すのか、そのあたりは仲間に託す。僕は共感するだけ、そういう感じです。

── チームを引っ張りつつ、仲間を信じて仕事をされているんですね。そこまで仲間の意思を尊重する理由はなぜでしょうか?

その仲間のことをしっかり理解した上で仕事をお願いしているからです。日々の対話、TwitterやInstagramなどSNSでの発信、そういったところから、その人の得意なことや不得意なことを知るようにしているんです。だから納得して仕事をお願いできるし、納得している分、余計に口出ししないようにと思っていて。

ある意味、自分が信じると決めた人にしか仕事をお願いしないし、その決断に後悔もしたくない。そのためには、100%信じて任せるしかないなって考えています。「この人とならミスっても良い」と思える覚悟があるからこそ一緒に仕事ができるんです。


「共創」がニュースタンダードになる世の中に向けて

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── 「餅屋」の仕事では、クライアントさんからの依頼に基づいて企画を作る場面も多いですよね。成果を求められる以上、一筋縄ではいかない難しい局面もあるのかなと思います。

成果を出すことは、マストでクリアすべき目標だと考えています。そして、その成果をどう出すのかを考えるのが僕の仕事。クライアントさんは成果を求めて「餅屋」を頼ってくれているし、その道筋を考えるのが僕らだし、その過程で必要なクリエイティブを作るプロがクリエイターさんです。だから仲間に全幅の信頼を寄せることこそ、成果にも繋がるのだと思います。

── なるほど。クライアントさんの希望や想い、関わるクリエイターさんを始めとした仲間の熱量や個性……それらをうまく編み合わせるからこそ実現できる、最も力のある成果を常に探し求めているんですね。

そうですね。でも、今ってクライアントさん、クリエイターさん、そして「餅屋」との間にどうしても役割や企業としての境界線があるから、そういうものは無くしていきたいなと思っています。

── 境界線、ですか。

ちょっと抽象的な話になるけれど、今ってプロジェクトに関わる人たちの間に、物理的にも精神的にも壁のようなものがあると思うんです。クライアントさんもクリエイターさんもお互いにひとつのテーブルについて、一緒にプロジェクトに向き合うスタイルが当たり前になったら良いのになあって。

── クライアントさん、「餅屋」のメンバー、クリエイターさんと、役割に線引きをしすぎずお互いに対話できる関係性を築くみたいなイメージでしょうか。

その通りです。クライアントさんから「餅屋」に依頼をもらって、企画を考えてクリエイターさんに発注というのがよくある流れですが、プロジェクトのキックオフ時からクリエイターさんも巻き込んでシームレスに関わっていく潮流をスタンダードにしたいです。

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── より深く関わり合うことになるので、相互理解も進んでプロジェクトに対する熱量が高まり、方向性のブレも少なくなりそうですね。なにより楽しそう。想像したらとてもワクワクしました……!

「餅屋」は企業やブランドとクリエイターさんとの共創によって、これまでに企業・ブランド視点ではなかった切り口や新しい可能性の創造をして、クリエイターと共に企画を創ります。そして、あるゆるステークホルダーの心を動かすようなコンテンツを届けることをミッションとして掲げています。まだまだその思想は伝播している途中ですけれど、実績を多く残すことでニュースタンダードとしての信頼を得ていきたいですね。

── 「餅屋」という場所があることで生まれる新しいうねりがありそうですね。そういった動きを積極的に作れるのも、三島さんらしさのように感じられました。

停滞するのが好きじゃないっていう性格がそうさせているのかもしれないです(笑)。自分も、組織も、プロジェクトも、より良くって思っていると自ずと変化を続けられるし、だからこそ見える景色がある。僕が抱いているのは、そういうシンプルな思想です。



写真・文:詩乃(Photoli)


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