おひとりさま旅行
一人旅がしてみたいと長年思い続けてきた。
それを実行に移したことがないのは、フットワークが軽くないことだけが理由ではない。
具体的に行きたい街をリストアップして、飛行機やホテルを調べてみて、ツアーを頭の中に描いたことは3度ほどある。
私が行きたいと思ってるところあたりだと、言葉も問題なく通じるだろうし、治安もおそらく大丈夫だと思うのだけれど、実際に計画を立てようとすると、やっぱり行きたくないかもしれないと思ってしまう。
理由は、ひとりごはんが苦手だからだ。旅行先でカフェなりレストランなりに入って食事をとることは避けられない。外食をひとりでするのが、いつからか苦手になってしまったのだ。
家でひとりでごはんを食べるのははっきり言って大好きだ。好きなものを見ながら、好きなものを食べる時間は、健やかな精神のためにもときどき必要だと感じる。
大学生の頃で言えば、ひとりで外食することも嫌いじゃなかった。カフェで軽くランチするくらいなら全く抵抗なかった。ひとりカラオケも2、3回行った。
それがここ数年の間になぜか苦手になった。周りに複数人で来てる人たちを見て負い目を感じてしまうことが理由のひとつだ。別に誰も私に注目していないだろうけど、他人にどのように見られているかを考えすぎてしまうのだと思う。
もう一つの理由は、外食という特別な体験を誰とも共有できないのが残念だからだ。家でひとりでごはんを食べるのとは違い、外食はある程度特別な体験だし、旅行先ともなればなおさら特別な時間を誰かと共有したいと思ってしまう。
そしてこれが1回や2回だけならまだいいのだけど、せっかく行くなら例えば5日くらいは滞在したい。そうすると単純に計算しても15回のひとりごはんが生まれ、やはりハードルが高く感じる。
せめて知り合いがいる街に行けば良いのだろうか。問題は知り合いのいる街と行きたいところは必ずしも一致しないことだ。
ひとりごはんの呪縛さえなければ、もう少し気軽に行けるかもしれない。
だけど、一人旅は人生の中ので一度くらいはやってみたいことのひとつだし、何回か具体的な計画を立てようとしたこともあるほどだ。人生の中で一人旅を経験できるのは今のステージだけだと思うし、経験してみてもいいのかもしれない。今のこのタイミングの貴重さを考えれば、すぐにでも行動に移すべきかもしれない。
そう思って、カレンダーを開き、旅の計画をするのだった。
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