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【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 秋の部①

三羽 烏さん企画の、

『令和版百人一首 恋の巻 〜 秋の部』

始まりました。

みなさんもこの機会に一首読んでみてはいかがですか?



それではこちら、どうぞ。



暑さ過ぎ秋風はらはら煽られて
心もからだも探すぬくもり

               三日月 巴



🍆 🍆 🍆 🍆 🍆



 文香の年季奉公はまだ三年もある。心の中ではそれさえ勤め上げれば自由の身、徳次と小さい所帯でも持てたらなどと夢を描きながら、その時の為にと料亭の調理場が静かになった夜更けに腕を磨く。今日は茄子を煮付けてみた。
 翌日小さな箱へ詰めいつもの待合いへ向かう。辛い暑さも盛りを過ぎ、この二階の窓からも少し寂しげな秋風がはらはらと舞い込み文香の壜の毛を煽る。指に取りそっと巻きつけながら見下ろせば豆腐屋のらっぱの音。その後に、厚い胸をちらと見せた徳次が近づく。
「文香っ。」
「徳さんっ。」
挨拶代わりにひしと抱き合い風さえ煽る隙間を与えない。徳次の厚い胸は熱く高鳴り、
「お前の桃を考えて夜も眠られず仕舞い。」
ひんやりした風の中弄り探す肌の温もり。桃はじゅわんと熟れしがり、茄子もじんわり上向きに。秋の実たわわに豊潤し手にもぎ入れて味覚愉しむ。
「秋茄子はお前に食わす。」
あゝこれ、牛飲馬食の恋の宴。奥深く迄味わって。



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過ぎ去った季節はこちらから。
どうぞおさらいを。










あはん♥




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