見出し画像

【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 夏の部⑤

みなさん、お元気ですか。

寝苦しい夏の夜如何お過ごしでしょう。
こちらもやっとアツくなってきました。
ではそろそろ近づいてくるものといえば...
いやん、ヴァカンス♥

今回の、令和版百人一首 恋の巻 〜 夏の部。
こんなんです。







打ち上げて ぱっくり開く 空に色
夏の夜花火 揺れて咲きたり


                  三日月 巴


🎆 🎆 🎆 🎆 🎆 




「お師匠さん、今年の深川さんはいつでしょか。」
清澄庭園の脇でお茶処を営む歌の師匠の店で、蒸暑い中外回りからの帰り道、徳次はいつもの檸檬の汁がぎゅっと入った炭酸水を喉に流しながら聞く。
 五月に浅草の三社祭が始まると、続く夏の江戸の三大祭りの一つがここ深川の水かけ祭りだ。『神輿深川、山車神田、だだっ広いのが山王さん』と言われ、お清めと暑さ対策から神輿の担ぎ手に水を浴びせるのでこう呼ばれる。ほとほと江戸っ子は濡れるのがスキだ。そろそろ俺も文香と行水でもして一緒に濡れたい頃合いだなどと考える。
「水かけは八月の十一から。その頃はウチも閉めますよ。だけどその前に花火でしょ。」
そう言えば去年の花火の夜は文香といつもの待合に居た。細長い両脚を開いて打ち上げると、同時に二階の窓の間から花火も大きく開き、文香は思わず
「玉屋〜。」
と叫んだ。その後何度打ち上げたのか、夏の夜の大輪はこれまた揺れて見事に咲き誇った。



🎆 🎆 🎆 🎆 🎆 








またお会いできるかもしれませんこと楽しみに。



あはん♥




この記事が参加している募集

#古典がすき

4,091件

#創作大賞2024

書いてみる

締切:

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?