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【企画参加】 令和版百人一首 恋の巻 〜 夏の部④


日本はどうやらおアツいようで。
ご苦労さんでございますん。

アツさついでに姐さんの恋バナで更にアツく。
引き続き三羽 烏さんの企画に参加させていただきます。

令和版百人一首 恋の巻。






ゆうほたる 闇に舞いつつ 肌ほたる
ほたほた喘ぎ 命尽きても


                 三日月 巴


≈ ≈ ≈ ≈ ≈


 文香と出会ったのは、家業の材木屋の売上げをいつもの銀行へ届けるため虎ノ門へ行った帰り、ふと立ち寄った新橋の料亭であった。天麩羅蕎麦でもと頼んだところ、
「うちはうどんが名物です。武蔵国から取り寄せておりまして。肉汁うどんがよろしいかと。」
と勧められた。そう言って奥へ入った白いうなじが出てくるうどんのつるりとした食感を思わせて急に喉が鳴った。
 薄切りの豚肉が入った色濃い関東風の汁と、茹でて冷水で締めた太目のうどん。薬味には深谷の葱が鼻を突く。頼んでもいないのに盆には冷酒が乗っていた。つるつると口へ入れるとコシが強く歯応えがある。ふと横目に先程の女給の腰へも目をやった。まるで蛍を追うかのように。
 夕闇の中で文香の腰を抱いているとあの日のことを思い出す。感極まって熱くほたほたと喘ぐ姿は肌の火照りも相まってゆらゆらと萌える蛍を手に掴むよう。一面に蛍の群れが舞いあがる。まるで命が尽きるかの如く。
 
 



≈ ≈ ≈ ≈ ≈




アツい夜にはのど越しの良い冷たいうどんをごくり。
つるつる〜しこしこ〜。
ぷるぷる〜こしこし〜。


あはん♥




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