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心配性

吾輩は心配性である。
「あれ?鍵閉めたっけ?」
車に乗ったのに玄関に戻って確認なんて日常茶飯事だし、
「何か忘れ物している気がする‥」
荷物を何度も確認したりと、とにかく心配ばかりしている。

そんな数ある心配事の中でも取り分け気になってしまうのは自分の体調だ。
ちょっと風邪っぽかったりすると早めに葛根湯をぶち込み、時間さえ合えば病院へ駆け込む。

体に違和感が出るもんならすぐに医師の診察を受けに行くもんで、様々な科の診察券をまるでカードゲームの如く保管してある。
周りには『病院好き』のイメージを植え付けてしまう始末だ。

つい先日ひょんな事から口腔系の病気のドキュメンタリーを観た。
あまりにも自分にとってセンセーショナルな話で衝撃的であった。またその話はいつか書ければと思っている。

その事もあってか、ふと自分の口の中を気にしてみたところ上顎になにやら気になるシコリが。
「もしかしたら口内炎かな?」
そう思い経過観察をする事にした。

しかし1週間経っても特に変化無し。
むしろ気になり過ぎてすぐに舌で触るもんだからちょっと大きくなった気もする。

「あぁもうダメだ、、、病院行こう!」
即病院行きを決意。この時の決断の速さは天下一品だと我ながら思う。
すぐに近所の口腔外科を検索し予約を入れる。

数日後予約した病院へ出向く。
ちなみにこの数日間こそ一番心配が増幅していく時間だ。いつも吐き気すら感じるレベル。
その病院は歯医者をメインでやっていて、口腔外科もいけるクチのようだ。

到着するなり問診票を記入する。その内容はどう見ても歯医者のそれ。
《歯医者は別の行きつけがあるんだけどな、、、》
そう言いたいのをグッと飲み込みながら、項目の最後にある【その他】に今回の症状を書く。

診察室に呼ばれると、すぐにレントゲンを撮るとの事。
《俺は今の所虫歯は無い!口腔外科に来たんだ!》
それまたグッと飲み込んでレントゲン室へ入る。

レントゲンの機械から聴こえる、シュイーン!シュイーン!!の日常では聴き慣れない音のせいか、先程飲み込み過ぎた言いたい事のせいか、胃から吐き気をビシビシと感じる。怖えよぉ‥。

さてようやく先生の診察へ、、、と思いきや随分と待たされる‥‥。
《レントゲンやばかったのかな?ねぇ!ねぇー!!》
内心そう叫びながら先生の到着を待つ。

数分後先生到着。
何事も無かったように口を開けさせ、
『はい、いきまーす、8番がCR』
《それ虫歯のヤツ!だから虫歯じゃないんだって!!》
まさかの虫歯検診が始まった。
その時には疑心暗鬼になっていて、この病院で大丈夫か?そこまで考えていた。

虫歯検診が終わった後ようやく上顎の触診へ。ようやくか‥‥。
『うん、それでは写真撮りますので』
へ?写真?どうやって撮るんだろう、何かそういう専用の機械でもあるのかと待っていると、プロカメラマンさながらの一眼レフを先生が持ってきた。
ある意味アナログだった。

コンパクトな手鏡をスッと俺の口に滑り込ませ、カメラのピントを合わせて撮影する事数枚。
はじめて経験に困惑しつつ、先生が見た事ないサイズのバカでかいiPadを持って戻ってきた。なんか笑っちゃう位デカかった。
iCloudに即座にアップして持って来たのかな?まあどうでもイイか。

めちゃくちゃ鮮明に写る己の口内の写真をそのバカでかいiPadで見せつけられて、無性に恥ずかしくなる。

すると先生、
『えー、しこりはコレですね。そして結論から言うと悪いものでは無いです』
それを聞くまでは心配と不安に頭を支配されていたのに、
《レントゲンも、さらには口内まで撮ったし、診察料が高いんじゃ、、》
その思考に瞬時に変わっていた。
我ながら現金なもんだ。

診察結果は唾液腺が何らかで詰まりを起こしていてそこがシコリのようになっている、との診断だった。
『お会計は1900円になります』
思ったより安い!危ねぇ!
別に危なくは無いのだが、1900円で安心を買えれば安いものだ。

このシコリへの不安と、料金面の不安から解放された!という安心感を手に入れた俺はその足で家系ラーメンへと直行した。
すぐに理由をつけてラーメンを食べに行く病気を治してくれる病院があったらすぐに通うのになぁ、とか考えながら麺をすすってきた。

健康第一である。

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