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マイナスと同じだけプラスがあった帝王切開

想定外の帝王切開で息子を授かったのは、21年ほど前のこと。


帝王切開のマイナス面

人生初の麻酔&手術。

主治医に帝王切開を強く勧められた私は、破水するまでの30時間あまり、必死で情報を集めました。

そのなかに
「麻酔が効かないことがある。
 痛いときは痛いと自分で伝えるべし」
と書かれていたんですね。

それを鵜呑みにした私は術後、
「痛い、痛い、痛い」
ストレッチャーで運ばれながら何度も訴えていたそうです。

出産からしばらくの間、腰をかがめながら歩いて傷口をかばっていても、息子を抱っこするたびに痛むのには閉口しました。

2歳違いで娘を授かったときも同じ産院に通ったのですが、
「何年経っても痛いわよー。雨の日は特に」
と看護師さんに言われたときのショックときたら。

最初にちゃんと説明しておいてよー!って主治医を恨めしく思ったものです。

帝王切開のプラス面

とはいえ、私にとって帝王切開は学びの宝庫でもありました。

1。〈人の痛みがわかる人〉になれた

これが何よりの収穫でした。

なにしろ身体が丈夫で、病院に通うことがほとんどなかった私のこと。

外見ではわからない痛みを実体験して、初めてわかったんです。

どんなに辛くても我慢して、気丈に振る舞っている人がたくさんいるってことに。

肉体的な痛みを知って、心の痛みも理解できるようになりました。

2。自分の思い通りにならないことを痛感した

帝王切開になったことも、術後に思うように自分の身体が動かないことも、痛みがひかないことも、私にとっては想定外のことばかり。

自分ではどうしようもないことを立て続けに経験したことで、育児が思い通りにならないことを事前学習できたように思います。

完璧主義で、白黒ハッキリ、⭕️❌をつけたがる特性が強かった私が、
「どうにもならないことがある」
と〈できない自分〉を受け入れるきっかけにはなりました。

まだまだ不十分ではありましたが、この段階で直面したおかげで、産後うつにならなかったようにも思うのです。

産前休暇に入った直後のマタニティーブルーがひどかった私にしたら、上出来です。

3。夫のリスペクトを得られた(かも?)

「立ち会い出産ができるなら帝王切開を受けてもいい」
という私の無茶な要求が通ったせいで、夫は術後、私の真っ赤な腹部が視界に入ったそうです。

「よく生んでくれた」
といった感謝の言葉などは一切なかった夫ですが、私に対するリスペクトが少しは芽生えたのではないかな、と思っています。

漫画『コウノドリ(3)』で鴻鳥先生もおっしゃっていますし、ね。

帝王切開を受ける妊婦さんは
自分の病気やケガを治すためでもなく
赤ちゃんの命を守るためだけに
命をかけて自分から手術台の上に上がるんです

僕らはそれをお産ではないと言えません
帝王切開は立派なお産です

コウノドリ(3)』鴻鳥先生の言葉


4。ゆっくり身体を休めることができた

自然分娩に比べて入院期間が長引いた分、"上げ膳据え膳" を堪能させていただきました。

本来は入院中に1回の特別コース料理を2回も体験できたのも、10日間入院したおかげさま。

母乳の練習もゆったりできて、心の余裕を育むことができたように思います。

5。「自分の人生は自分で決めたい」と再確認できた

当時の私には
「先生に言われて切る羽目になった」
という想いが強くありました。
(最終的にOKを出したのは自分なのに、ね)

思い通りにならなかったことが、よほど悔しかったのでしょう。

その後、どんな情報を得るにしても、ただ集めるだけでなく、専門家に反論できるくらいの知識をベースに自分で考えるようになったんです。

これはいまでも大きな力になっています。

マイナスと同じだけのプラスがある


帝王切開を受けた直後はマイナス面しか見えなかった私ですが、俯瞰してみることで、プラス面もたくさんあったことに気づけました。

この経験が、娘の出産のときにも生きていて、私が子どもたちを心からリスペクトすることにもつながっています。

「人生に無駄なことは何もない」というのは本当で、プラスとマイナスの両方があるからこそ、私はそれを糧に成長することができます。

母親として様々な経験ができたのも、息子が無事に生まれてきてくれたから、こそ。

たくさんの気づきをもたらしてくれた息子、夫、お世話になった病院の皆さんにも感謝です。




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