朝、起きられない中学生の息子を見守ることができた理由
数年前、息子が朝、起きられなくなったことがありました。
父親がいない朝に限って起きられず、学校に遅れたり、休んだりしていたのは、息子が中学2年生のころ。
起きられないのは親が不仲だったから?
当時、私と夫との関係は「最悪」と呼べる状態。
私は、息子が起きられない原因のひとつが、そのストレスだと思っていました。不仲な両親がいる自宅ではくつろげず、心身ともに疲れがたまってしまうんだろうって。
息子にとっては、母親に甘えられる機会なのかもしれない、とも思っていました。というのも、父親がいる朝なら、たたき起こされるに違いないからです。
息子には休息が必要だった?
友達のことを楽しそうに話す息子の日々の様子から、学校は自宅よりも居心地がいい、仲間との絆を深められる場所になっていることが、私には感じられていました。
だから私は、息子がいま起きられなくても、このまま学校に行けなくなることはないだろうと思っていました。
ベッドで突っ伏している息子の頭をなぜながら、
「遅刻することは私が学校に電話しておくね。起きたら行ける?無断欠席したら先生が心配されるから、行けない時は連絡してね」
そう声をかけて職場に向かえたのは……
今は無理せず休むのが必要なときだ、と思っていたからです。学校で友達と一緒に笑うのがしんどくなっていたんだろうなって。
担任の先生からのサポート
息子は夕方まで起きられずに、学校を休んだこともありましたが、私は息子を見守りました。
担任の先生も息子の味方でした。我が家の事情をよくご存知だったからです。
「ご両親のことで彼もしんどい時もあるでしょうから、無理はしなくていいです。登校したら職員室まで挨拶しに来てくれています。友達とも仲良くやっているので、心配はありません。ただ、連絡がないと心配なので、それだけはお願いします」
3年生の夏に部活を変わった頃から、息子は遅刻しないようになりました。
高校1年生になってからは、無遅刻無欠席!部活の朝練や他校での練習試合のために、早寝早起きの習慣も身につきました。「皆勤賞を目指している」と言います。
息子の自律を見守ることができた理由
子どもが朝、起きない時、あなたは何を思いますか?
遅刻なんてとんでもない?
風邪でもないのに学校を休んだらいけない?
親として子どもを学校にやらねばならない?
……どれも、かつての私が考えていたことです。
ですが私は、自分自身が『ねばならない』人生に行き詰まったことから、〈ねば・べき〉思考を卒業することに決めました。
学校に行くのは、子ども自身。
そこに私の『ねばならない』基準を持ちこむと、お互いにしんどくなってしまうんですよね。
息子が起きられないのは、息子なりの理由があるから。
正直、私はそれが肚落ちするまでに、何年もかかりました。なかなか私が納得しなかったから、息子がそんなふうに見せてくれた面もあったのかもしれない、と思うほどです。
起きられなくなった息子の頭や肩をなぜながら、私は「大丈夫、大丈夫」って心の中で唱えていました。「起きなきゃ」「学校に行かなきゃ」という言葉を私が口に出さずに済んだのは、「息子は自分で解決できる」って信じられたからです。
いつの間にか息子は自分で自分の問題を解決し、笑顔で学校に通うようになっていました。「登校するのが夕方になっても、ちゃんと職員室まで挨拶しに来てくれました」と、後に担任の先生からうかがいました。
「さすが息子!ちゃんと自分で解決したんだね」と感動したときに、私は息子に対する『こうあるべき』を手放せたことを実感しました。
誰の問題なのかを考える
当時、家族でお世話になっていたカウンセラーさんからよく言われた言葉です。
「息子さんが勉強するかどうかは、息子さんの問題ですよ。お母さんの問題じゃありません」
息子の勉強に関しては、なかなか切り離せなかった私でしたが、朝起きられない息子を前に、できるようになりました。仕事に行くという環境もまた、私をサポートしてくれていたんですよね。「これは私の問題ではない」と自分から切り離して、息子から距離を置けたことで、見えてくるものがありました。
生まれてきてくれてありがとう
渦中にいるときは、感情がブレて、視野が狭くなりがちです。そんなときは深呼吸して、自問自答。
「起きたいのに、起きられない」
「学校に行きたいのに、行けない」
その状態がしんどいのは、私ではなく息子ですものね。
「無理をしなくていいよ。大丈夫だよ。あなたを見守っているよ。
何をしても何をしなくても、あなたはあなた。
生きているだけで価値があるの。
私の息子として生まれてきてくれて、ありがとう」
面と向かっては息子に言えずに、手紙で渡したのが懐かしい思い出です。
自分軸でしなやかに生きよう!
あなたのドリームサポーター
御影石 千夏(みかげいし ちなつ)
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