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2021/2/6「しごと」

今日は久しぶりに気持ちの良くない天気だった。でもなんとなく穏やかで、なんとなくゆったりとした時間が周りに流れていて、暑くも寒くもなく、温度がない、体温と気温が一致している、そんな日だった。

「人を喜ばせていることが ''仕事'' って呼べることなんだって。」営業が始まる前の、まだ薄暗い店内でそんなことを教えてもらった。

「喜ばせていないことは仕事って呼べないってことですか?」聞いた後の私の第一声。自分でも驚いた。随分くすんだなと思った。

「私達の仕事とか、ディズニーのキャストさんとかは分かりやすく ''仕事'' だけど、経理の仕事も、管理をしたら喜んでくれる人がいるからね。」優しく否定してくれた。

確かにそう考えたら、何かをして誰かを喜ばせていないことなんてほとんどないんじゃないかな。そしたら全部仕事に入れられるんだ。

そんなふうに考えていると、「一人でも喜ばせていたらそれは仕事だからね」って同じようなことを言ってくれてなんだか嬉しかった。


漂白された雑巾を洗い流してテーブルを拭いていく。その後に三枚くらいのメニュー表を揃えて置き直す。この一連の作業がちょっとだけ好き。



「パパになるんだなぁ」

誰が?ってそんなことは言うまでもない。ネットで調べてみれば一発で出てくる。


週刊誌も ''仕事'' に入るんだよなぁ


大好きな人が大好きな人達と焼き肉を楽しんで楽しそうに出てくる写真。
大好きな人の熱愛報道。

週刊誌にはほんわかさせてもらったこともあるけど、大抵知らなくてよかったこと、本人の口から最初に聞きたかったことの方が多い。

表舞台に立つ人たちのプライベートは気になる。なんだかんだ盛り上がる。
週刊誌を作って売って、それで生活している人達は売れれば売れるほど嬉しいし、読者だって明日の話題がゲット出来て喜んでいるかもしれない。

報道された人のライバル。自分が代わりにその立ち位置に入れる。

情報提供した人。多額の報酬がもらえているかもしれない。


大勢の人が喜んでいるその裏で、誰か一人が泣いているとしたら、それでもそれは ''仕事''なんだろうか。

大勢の人が泣いているその裏で、誰か一人が喜んでいる。それも ''仕事'' なのかな。


大勢を喜ばせられたとしても、どこかで誰かがたった一人でも。泣いている人がいるんだとしたら。そんな ''仕事'' はしたくない。

だったら、温度のない、上りもしなければ下がりもしない。ただボーっと真っすぐ何の変哲もなく進む、沸点のない、そんな感じの仕事がしたい。


今日の天気みたいな。

そんな仕事もありかもしれない。




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