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大学時代のアルバイトの思い出③:不正発覚編

はじめに

4月上旬に大学生時代のアルバイトについて書きました。アルバイトといってもコンビニというごく普通のものなので基本的にはトラブルなど無いのですが(頻繁にあってたまるか)3年勤務すると色々ありました。

色々と思い出したので記憶に残っているエピソードの中でも、特に印象強いエピソードを自身の棚卸も兼ねて書きました。時系列はぐっちゃぐちゃですし、8年ほど前の話なので記憶違いもあると思いますがご容赦ください。

前回記事

※2900文字くらい

本編

不正発覚①

「暇な店舗」で夜勤をしていた頃、昼勤のアルバイトが「廃棄したFF(ファスト・フードのこと。からあげクンとか)を持ち帰っている」という不正が発覚した。

そのアルバイトは定時制の高校に通う女の子で年齢はまだ16歳だった。おれが夕勤のシフトで入っていた時に何回も同じシフトに入ったこともあるので「マジか~」というのが第一の感想だった。「家がめっちゃ貧乏なんです!」とか言っていたのを思い出した。

ただ昼勤と夜勤というのは交流が一切ない。そのため昼勤がどうなろうと知ったことではない(ので、夜勤と昼勤は連絡ノートで非難しあうこともある。在庫の置き場所がどうこうとか。人間やっぱ対面のコミュニケーションが大事ですね)。

なのだが、当時は「バイトリーダー」という今考えれば得られる金銭より負担が多すぎる貧乏くじの役職に就いていたので、オーナーと店長主催の「この不正に対してどう対処すべきか?」という会議に参加した。

アルバイトが、しかも金を盗んだわけでもあるまいし。どうでもええやろと思いながらもおれは「本人が反省してるならいいんじゃないっすか?」と答えた。驚いたのが昼勤・夕勤のリーダーは「クビにすべき」という意見だった。

勿論、ここで「そこまでしなくても」と彼女を庇うために反論しようものなら周囲からあらぬ誤解を受けるため「夜勤は関わりないんで皆さんに任せます」と意見を翻した。おれは弱い。

今振り返るとこんなクソしょーもないことより「なぜ不正が起きたのか」「今後これを起こさないためには」とか議論されるべきだったと思う。最終的にはクビするまではどうなん?という店長の意見で、本人に退職の申し出を行わせるという結論になった。

暫くしてコンビニの近くの牛丼屋で彼女が働いているのを見たときは「メンタルすっげ~」と素直に感心した。今もどこかで元気にしているといいのだが。

特にオチは無いです。

不正発覚②

「忙しい店舗」と「暇な店舗」で掛け持ちで夜勤をしていたある日、オーナーに「ちょっと話がある」と呼ばれた。曰く、最近コンビニで違算(レジにあるお金が、実際とデータ上で異なっているという意味)が頻発しており誰かがレジから金を抜いているとのこと。

違算についての対応は店ごとに異なる。おれの店の場合は「±500円以内ならオッケー。それ以上ならもう一度レジ点検を実施し、それでも±500円を超えるようなら店長に報告する」だった。

店によってはシフト入っていた人間に自腹きらせるとかあるようです。派手に犯罪だろ。なお、この「レジから金を盗む」についてはビビるくらいバリエーションがあるのだが、現在はセルフレジや自動計算レジの普及でもはや昔話と化している。

容疑者は凡そ固まっているようだった。マイナスの違算が大きいシフトに入っている人間を全員リストアップしていけばいいからだ。おれはマイナス違算の際のシフトに一切入っておらず「完全にシロ」ということだった。

オーナーより「個人的に怪しい奴(Aと呼称する)がいるので、一緒にシフトに入って様子を探ってほしい」と密命を受ける。正直面倒くさいしどうでもいいのだが「Aと一緒に夕勤シフト入っている時の時給は夜勤と同じ」という条件で承諾した。

ちなみに様子を探るとかいってもなにすんの?について。レジからお金を抜きやすい環境をおれが作るだけ。つまり、休憩中にバックヤードから抜け出して「ちょっと煙草吸ってきます~。なんか気分的に3本吸いたいから15分は店空けますわ~」と言うだけ。

バックヤードに監視カメラがあるので、中に同じシフトの人間がいるとカメラで見られているかもしれないと警戒するからだ。いや人がいなくてもレジから金を盗むなや。ただ「お店暫く開けます戦法」は効果テキメンで面白いくらい引っかかりまくった。

聡明な皆様なら「突然お前が夕勤にきたら警戒されないの?」とか思われるだろうが、Aの脳味噌はレジから金を盗み続けたことで報酬系回路がぶっ壊れているため、懸念点とはならなかった。

ガッツリ監視カメラに様子が移っていたので、あとは不意打ちで「お前レジから金盗んでるよな?」と証拠を揃えて社員がガン詰めするだけ。Aが夕勤を終えバックヤードに戻ったところで、これを決行することになった。

おれは先輩と夜勤でシフトに入ることになった。シフトの交代の際にAと挨拶を交わす。上機嫌だったし、おれも「最高やないすか~!これからも夕勤の主として頼みますよ!」とおだてまくった。

10分後にはバックヤードは地獄みたいな雰囲気になり、Aの顔は「死んだ?」ってくらい青ざめていた。それ以上の関心は湧かなかったが、先輩は違っていた。メチャクチャにこの状況を楽しんでいた。

先輩は理由をつけてはことあるごとにバックヤードに入り「いまドラマで言うと45分や!めっちゃ盛り上がってるぞ!」など逐一おれに報告をしてくる。本当にイキイキしていた。仕事してください。

最終的にはAはいまにも清水寺から飛び降りそうな雰囲気で店を出て、オーナーと店長から「どう処分すればいいと思う?」と聞かれた。個人的には全額弁済である。

ここで印象的だったのが、先輩が「謝罪の言葉だけでは駄目です。自分から”盗んだ分は全額返します“と言っていないなら、警察に被害届を出すべきです」と真顔で答えていたこと。いやさっきまでのイキイキな態度どうした?

先輩は続ける。「言葉だけ並べて謝ることは誰でもできる。心の中でベロ出しているかもしれない。本当に申し訳ないと思っているのなら、自分の身を切るべきだ」と。

田中一行『エンバンメイズ』

夜勤のシフト中に下ネタと下ネタと下ネタしか話さない先輩が、この時だけは打って変わっていて驚いた。あとで話を聞くとお金関係で色々あったかららしい。こういう普段と違う一面が見えると嬉しくなる。

ただこの先輩の言葉はおれも「確かにな」と思ったし、先輩とした雑談などほぼ全て忘れているのだが、この言葉だけはずっと頭に刻まれている。今でもおれは同じ考えを持っている。

Aはそのあとクビになって、そのあとは不明です。

おわりに

不正については記憶の限りではこれくらいだったと思います。あとは店長が女子大生のアルバイトに「狂っちゃって」セクハラみたいなコミュニケーションしまくって大問題になったくらいです。

けど比較的平和なアルバイト生活でした。自身の記憶を都合よく改変しているだけかもしれませんし、コンビニのアルバイトなんて勧めようとはなりませんが。

最後まで読んで頂いてありがとうございました。

以上

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