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東アジア反日武装戦線『腹腹時計』を読む(※文章一部掲載)


はじめに

今年1月に世間を賑わせた(?)桐島聡の件ですが、本人であることが断定されました。

彼の所属していた極左暴力集団「東アジア反日武装戦線」のグループ「狼」は、爆弾の製造方法やゲリラ戦法などを記した『腹腹時計』を地下出版しました。

当然現代では絶版しており、読むことは出来ないのですが、あるところにはあるので読んできました。本記事はその内容を一部抜粋し、コメントを加えたものです。

なお、この段階で「は???」となった方はここから先も意味不明だと思いますし、特に各用語についての解説もございません。興味がある方はWikipediaなどを調べてください。

※本記事は極左暴力活動を肯定するものではありません。

※2600文字くらい

本編

『腹腹時計』の目次を下記に記載します。

はじめに・・・・・・1
第1章 武装闘争=都市ゲリラ戦の開始に向けて・・・・5
第1篇 個人的準備=ゲリラ兵士としての配慮・・・・5
第2篇 武装=都市ゲリラ組織の基本形態・・・・・10
第3篇 技術・・・・・・14
1 火薬・・・・・・14
2 起爆装置・・・・17
第2章 展開・・・・・・27
第1篇 爆破・・・・・・28
第2篇 作戦の一般的原則・・・・・・33

50年前の日本では爆弾の製造方法を記載した本が売られていました。こわ〜。

「はじめに」では、まず爆弾の製造方法を流布することの意義などが書かれています。超要約すると「爆弾も作れない「武闘」派や、過去に爆弾の製造方法を書いた本があるけど情報が古いからアップデートするぜ」でしょうか。

当然ですが、この『腹腹時計』の記載の通りに爆弾を作っても当時と同じレベルのものは製造出来ない(=再現出来ない)と言われています。理由まで書きませんが。

その後、大日本帝国がアジアで働いた悪行がどうとか、帝国主義はどうとか色々書かれていますがもう誰も興味無いと思うので割愛します。ひたすら自分たちの考えを騒ぎ立てているだけなので。

自分たちの思想の位置付けを研究史とか文脈に置いていると思って読んだので残念でした。物理(爆弾)全振りの組織だったんでしょうか?

それはさておき、次にゲリラ兵士の心得的なものが記載されています。報道でも一部が紹介されていますね。全文を読んだ方は少ないと思いますので、本記事では注意喚起も兼ねて『腹腹時計』第一編第1章を全文掲載します。

1 居住地に於いて

◎ 居住地に於いて、極端な秘密主義、閉鎖主義は、かえって墓穴を掘る結果となる。

◎ 表面上は、極く普通の生活人であることに徹すること。(そう思わせることだ。)

◎ 生活時間を、表面上市民社会の時限内に復すること。(特に、時間の転倒には気を付けなくてはならない。)

◎ 近所付き合いは、浅く、狭くが原則である。最低限、隣人との挨拶は不可欠である。

なんだか所々、ご近所づきあいの参考になりそうなことが書かれています。「昼夜逆転すんなよ」ともあります。まあ1970年代に昼夜逆転生活している人間とか一撃で不審者認定されそうですし。

◎ 居住処としてのアパートや下宿等に、大勢の人間の出入りがやたらに目立ち、深夜、明け方に及ぶヒソヒソ話が続くことは止めなくてはならない。

これは現在でも近隣住民からの通報案件です。たまに漫画家の職場兼自宅に警察が来た話とか聞きますし。なので悪い人は山奥のヤードに生息しているのだとか(?)。

◎ 居室に生活用品が全く無く、ポスター、ステッカー等が散乱、 貼付してある状態は、絶対に止めなくてはならないし、形は整えなくてはならない。このことは、引っ越しの際など荷物が無いと大変目立つものだし、その事に依って人目を避け、コソコソと動き回る結果ともなる。

◎ 居室は常に整理し、清潔を保つこと。名簿、住所録、手紙、手帳などは常日ごろ整理し抜き、必要に応じて暗号化すること。不必要なもの、在ることのまずいものは他に移すか、廃棄、焼却すること。

ズボラな人間には務まりそうにないですね。ていうか半分親だろこれ。生活指導か???

『腹腹時計』は次に職場での行動について言及しています。

2 職場に於いて
◎ 職場の選択の際、何故そこを選ぶのか明確にしておくこと。

◎ 既に職場に居る場合は、同じく、何故現在この職場に居るのかを常に意識的にしておくこと。メンバーをオルグするためにか、 その企業を内部から解体するためにか、ある特殊な技能、物資を得るためにか、単に生活費を稼ぎ出すためにか、それらのいずれにせよはっきりさせること。無節操にあれもこれもと手を出すべきではない。

◎ 別に明確な目的を持たずに現在の職場に就いている場合、組合などで極左的に、原則的にゴリ押ししないこと。経営者はすぐにタレ込みをする。

「極左言うてる割に資本家の下で働くことはどうなん?」と思っていたのですが、こう言うことなんですね。

◎ 居住地、職場とも共通なことは、極端な秘密主義、閉鎖主義に 陥らぬことと、左翼的粋がりを一切捨て去る、ということである。 長髪で、ヒゲをたくわえ、米軍放出の戦闘服などを着た「武闘派」がいるが、それは偽物であり、危険極まりない男であると判断すべきである。

つまり「目立つな」「イキるな」でしょう。目立たず、潜伏し、活動に励めと。

でも桐島聡ってバーで酒を飲んだり、酔っ払ってライブで盛り上がったり、騒音で通報されたりしたんだっけ…。活動から「降りた」のでしょうか。

自叙伝的なものが残されているのを期待していますが、当面は逃亡生活の足取りを追った続報を待つのみです。

おわりに

この『腹腹時計』は続編も複数あるのですが、思想面での記載が主なので割愛します。僕自身もその辺は疎いです。

爆弾の製造方法を記載した本は1950年代にも出版されていたりします。化学式とかワラワラ登場します。ただこれも現代で再現は難しいのでは?と言われていますし、事実、模倣犯なども見かけないのそうなのでしょう。

「なぜ?」に対してピンと来ない方はそのままが一番です。間違っても「爆弾作るんだ!」とか思ってはいけません。多分文献の入手の段階でポシャりますよ。

現在引っ越しに向けて荷造りをしているのですが、タコほどある蔵書(数えてないけど2500冊以上ある)を整理していたらオウム真理教が地下鉄サリン事件の後に発行した機関誌を見つけました。

2025年で30周年なのでそのタイミングで記事でも書こうと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

以上


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