「自律」は良いことなのか。
こんにちは、iCAREの金原(きんぱら)です。
キャリア相談の機会をいただくことが増えてきまして、その中で「自律」という表現が多く出てくるので、考えてみました。
「自律」についての説明・言及
まず、言葉の意味、定義について調べてみました。
広辞苑:「自分で自分の行為を規制すること。自身の立てた規範に従って行動すること」
学校教育法:「学校内外の社会生活の経験に基き、人間相互の関係について、正しい理解と協同、自主及び自律の精神を養うこと。」
カントの倫理学:「カントにとって自由とは、欲求に支配されてやりたいようにやることではなく、自らルールを立て、そのルールを守るという自発性、つまり意志の自律そのもの」
英語:「self-directed」(〈感情・意見などが〉自分に向けられた. / 〈行動が〉自己決定的[自発的]な. / 〈人が〉自分で方向を決める[決められる].)
キャリア・アンカー:「自律・独立 規則や手順、作業時間、服装規定などに束縛されることががまんならず、自分のやり方、ペースを優先させる」
どれも「自分で」というところは共通しているものの、ちょっとニュアンスが違うように見えます。
「自立」?「自律」?
同音異句、だけど意味が近しい言葉に「自立」もありますよね。ここはほぼ統一見解的に整理されているようです。
自律:外部から指示されず、(内的要素の独り立ちとして)自分をコントロールして~~する
自立:誰からも助けを借りずに(外的要素の独り立ちとして)自分だけで~~する
前者(自律)が内的、つまり意識・マインドや姿勢として外部に頼らなくてもやっていけてますよ、ということで、後者(自立)は外的、外部との関係性として自分だけでやれる、ということかなと理解できます。
(この「自律」と「自立」どっちが先?という論点があるようでして、そちらも面白い論点だなと思いつつ今回はそこでは無いのでご紹介まで)
「自律」は良いこと?悪いこと?
ここまでの整理を踏まえると
決める→自分
指示する→自分
行動する→自分
という状態が「自律」になるわけですが、仮に、これ”だけ”が実現できている人が自分の組織に居たと想像するとちょっとマズそうです。
自分で決めたルールだから、確実に売れそうな半額に値引きして
自分が指示したタイミングだから、土曜の夜にふと思い立って
50%OFFの大赤字見積書を土曜の夜にメールして携帯に到着確認電話
これはマズイですね。確実に週明け上司から怒られそうです。
なので、なんでもいいから自律していれば良いわけではなさそうですので、範囲(裁量)の定義を取り決めたり、個別のルールを設けるなどの制度設計は必要になると思われます。
ただ、それでもこの「自律」が8つのキャリア・アンカーの1つに選ばれたり、「キャリア自律」といった言葉に使われるのかと言うと、それだけ”自分で”が足りていないということなのかもしれません。自戒の意味も含めて、”自分で”どれぐらいやれているかの棚卸しや定期的な確認が必要だと感じました。
本投稿の多くはこちらの書籍を参照しておりますので、最後にご紹介いたします。
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