スーパー戦隊がいじめの原因?

僕は暇な時にnote で様々な人の記事を物色している。
で、またまたこんな記事が目に入った。

【いじめ深刻化の一因は「戦隊ヒーロー」???】

内容を読んでみると、どうやらこの方はスーパー戦隊がいじめの深刻化に影響を与えている、という考えのようだ。

これはなかなかの暴論だと僕は思った。
この方の記事のリンクは張らないが、内容は引用る。
スーパー戦隊が昔から好きな僕は、これについて反論したい。


スーパー戦隊と仮面ライダーの比較

この方はスーパー戦隊と仮面ライダーを比較して語っている。

1971年に始まった仮面ライダーは、悪の組織ショッカーによる改造人間である。理由はどうであれ、主人公も悪の組織の一員あったことに間違いはない。そのため、巨大な悪の組織に、ただ一人立ち向かわなければならない。そこには、正義とはなにか?自分を助けてくれる人に危害が及ばないか?など、様々な葛藤を主人公は抱えている。

ところが、「秘密戦隊ゴレンジャー」のメンバーは違っている。普段は不通の社会人である。悪キャラが登場した場合のみ、変身して戦う。しかし、敵キャラは強く、ヒーロー一人では戦えない。そこで5人で力を合わせて戦うという構図である。そこまでは、いいのだが、戦いの結果、相手が弱ってきたら、最終兵器を取り出して、5人でゲームのように必殺技を決めてします。悪人キャラは断末魔を上げて、爆発してこの世界から消滅してしまう。

誤字脱字が若干気になるがそこは置いといて。

この人は明らかに、仮面ライダーもスーパー戦隊も殆ど知らない、というのがこの文でわかる。
ゴレンジャーは変身前から普通の社会人じゃないからね。
仮面ライダーも改造されただけで、ショッカーの一員ではないし。

ただ僕は細かい揚げ足取りをしたいのではなく、大して分析もしていないのに、スーパー戦隊にいじめの原因をこじつけていることへ腹が立った。

この程度の知識でスーパー戦隊にいじめの要因があるなんて言ってしまうのがヤバい。
何よりも、スーパー戦隊の説明に悪意すら感じる。
この人はスーパー戦隊に親でも殺されたのか?

仮面ライダーについてはこうも書いている。

それらの矛盾や葛藤を抱えながら、悪の組織に立ち向かいう。くじけても何度も立ち上がり、最後には悪の組織を打倒するというストーリーである。ここで描かれているのは、「ヒーローは孤独である。正義を行うことは、時として誰も助けてくれないこともある、孤独な戦いである。必ずしも、勝ち目がある戦いでない。」だかれこそ、それを見る子どもはヒーローを応援するのである。

やたらと仮面ライダー贔屓。
こういう仮面ライダー上げ、スーパー戦隊下げはよく目にする光景だけど…

仮面ライダーとスーパー戦隊を長く観てきた僕からすれば、この比較は的外れも甚だしい。

スーパー戦隊だって1人孤独な戦いを強いられ窮地に陥る姿は描かれているし
仮面ライダーだって複数で一体の敵をボコボコにしばいてる時がある。

この人はスーパー戦隊にしろ仮面ライダーにしろ、なんとなくのイメージでしか語っていない。


スーパー戦隊の構図はいじめの構図?

この人は、学校の先生がいじめに加担したという件を例に出してこう言っている。

この担任の行動やあまりにも愚かであるが、その前提として、「いじめられる正当な理由があれば、クラス全員の子どもが、一人の子どもをターゲットとして攻撃しても正しいことなんだ」という前提条件がこの国では当然の真理となっていないだろうかと私は憂慮している。

この原因を、子供の頃にスーパー戦隊に触れているからだとこじつけているが、いまいち納得できない。

そして、スーパー戦隊についてこう語る。

一旦、相手が「悪」だと断定されると、全員で嬲り殺しにしても、その行為は正義として絶賛される。その過程には、躊躇や苦悩は一切生じない。、正義とは、全員で、全力で悪を倒すこと!!!!

この人のスーパー戦隊のイメージはこういうものらしい…
さすがに酷すぎやしないか…

そもそも、スーパー戦隊と敵の関係性と、いじめる側といじめられる側の関係性はイコールではない。

スーパー戦隊における敵の存在は悪そのものだ。
そこには人種や性質などの属性はない。
抽象的な悪を具現化したものがスーパー戦隊の敵なわけで。
だからスーパー戦隊は差別意識で敵を倒しているわけでもない。
人類や平和を脅かす悪の存在だから戦って倒しているのだ。

敵たちは時に暴力で地球征服を目論み、時に人類滅亡を企て、時に自然災害のように全てを破壊しようとする。
スーパー戦隊シリーズは敵をこのようにして、様々な形で悪として描いてきた。
いじめられっ子を悪者に仕立て上げるようなことは決してしていない。

そもそも、スーパー戦隊の敵は圧倒的に多勢の巨大組織が定番で、むしろスーパー戦隊側がいじめられている側だと思うのだが…
誰も助けてくれず、勝ち目のない巨大な組織にたった5人で孤独に立ち向かうスーパー戦隊。
これって、この人が言ってた仮面ライダーと同じじゃないか?


スーパー戦隊は同じことを繰り返しているわけではない

おそらくこの人は、スーパー戦隊がただ怪人を毎週倒しているだけの幼稚な番組、だと思い込んでるんじゃないだろうか。
そんなことを50年近くも続けていると。
スーパー戦隊を薄っぺらい子供番組だと思っている。

そんなわけない。
現時点で48作、同じことを繰り返しているだけではこんなに長くは続かない。

スーパー戦隊は毎年毎年いろいろな描かれ方をする。
戦隊5人の関係性、正義とは何か、悪とは何か、作品内でのスーパー戦隊の立ち位置など。
毎回、全然違ったものを見せてくれる。

この人はスーパー戦隊に葛藤や苦悩がないと断言しているけど
スーパー戦隊は葛藤や苦悩のオンパレードだ。
自分の存在に悩んだり、恋愛に悩んだり、倒したくない敵を倒さなければならない時だってある。
「鳥人戦隊ジェットマン」は苦悩と葛藤だらけの作品だった。

正義や悪の描き方も様々だ。
「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー」では2組の戦隊が登場し、それぞれの正義が描かれた。
「獣拳戦隊ゲキレンジャー」は同じ強さを求めるが、考えの違いで正義と悪がぶつかり合う。
「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」なんて正義と悪の境界線を取っ払ってしまったほどだ。

時には仲間が裏切ることもある。
子供が巨悪と戦わなければならないこともある。
敵だって葛藤し苦悩することもある。
戦隊のレッドと敵の女幹部が恋愛することだってある。

子供向けのエンタメ特撮作品ではあるが、スーパー戦隊シリーズはそんなに単純ではない。
その中には様々なものが込められている。
多様な正義、多様な人間、多様な価値観が描かれている。
だから学びがあるのだ。

この人が言うような、何も考えていないアホな正義の味方が勝手に悪と決めつけた敵を倒している、みたいな低俗な作品では決してない。
てか、スーパー戦隊以外でもそんな作品見たことないわ。


スーパー戦隊がいじめの原因?そんなわけないだろ

このようないじめの教科書のような最悪な番組が50年近く、多くの子どもたちに視聴され続けていることに、この上もない気持ち悪さを感じている。

 良識ある関係者のみなさん。このような愚かな番組は早急に放送を取りやめてほしい。

最後にはこんなことまで言っている…
スーパー戦隊を何作も視聴し分析し、その上でこの結論なら文句はないが…

こいつ、絶対に1作もスーパー戦隊観てねーだろ!!


僕が幼い頃、将来の夢を聞かれた時にダイレンジャーと答えていた。
そんな僕は今まともな大人になっている。
ダイレンジャーに憧れていた僕は、ダイレンジャーから優しさや勇気や正義を学んだのだ。

スーパー戦隊がいじめの原因?
逆だ。
スーパー戦隊から子供たちは多くを学ぶ。
平和の大切さ。
友情。
人の強さや弱さ。
自分を擲ってでも大事なもののために戦う勇気。

そこから知る。
弱い者を虐げることの愚かさを。


それにしても、大して知りもしないくせによくここまで貶し断言できるものだ。

noteには有益な記事もあるが、このような粗末な記事も多く存在するので、皆さんも気を付けましょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?