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#23 大阪府門真市における「生き残り」を懸けた都市再開発事業


はじめに

『J NOTE』第23回は、大阪府門真市を取り上げます。

門真市は大阪府北東部に位置する、人口約11.6万人の市です。大阪の都心部にもほど近く、かねてからベッドタウンとして発展してきました。市内には京阪電車や大阪モノレール、大阪メトロ長堀鶴見緑地線が通っており、公共交通機関のアクセスも良好です。

また、門真市はパナソニック(旧:松下電器)の本社がある街として知られており、守口市や東大阪市などの近隣の自治体と同様に工業が盛んな街です。

しかしながら、門真市は商工業が盛んで都心部に近い地域にも関わらず、過去30年の間に人口が約18%減少しています。大阪のベッドタウンの中でもトップクラスに過疎化が進んでおり、2019年3月に市が公表した将来予測でも今後も人口減少に歯止めがかからない予測がなされています。
※(門真市「2025年問題レポート」2019年3月より)

そこで今回の『J NOTE』では、門真市による都市の生き残りを懸けた再開発事業についてみていきます。

①ららぽーと・三井アウトレットパーク同時開業

2023年4月、京阪門真市駅の徒歩圏内に「ららぽーと 門真」「三井アウトレットパーク 大阪門真」が同時開業しました。三井不動産が展開する両ショッピングモールブランドが一つの施設内に存在するのは、国内でもこの門真の施設が唯一です。

両ショッピングモールが開業した場所には、かつてパナソニック本社南門真地区が立地していました。そのため、両施設は広大な敷地を有しており、大阪市内にほど近いにも関わらず約4,300台が停められる大駐車場を完備しています。また、近畿道や第二京阪道路のインターが近いことから、他地域からも買い物客を集めやすい施設であるといえます。

さらに、同年8月には隣接地に「コストコ門真倉庫店」がオープンしました。そのため、門真市は「商工業の街」から「ショッピングの街」へ、街の性質が近年大きく変わりつつあるものといえます。

②京阪電鉄×門真市 まちづくり事業連携

2024年2月、門真市と京阪HDは「まちづくり事業連携に関する協定」を締結しました。沿線人口が減っていることから輸送量を改善させたい京阪HDと、再開発を推し進めたい門真市との思惑が一致した形となります。

具体的には、「門真市駅・古川橋駅前の再開発事業」、「門真市庁舎の建て替え事業」などが挙げられており、持続可能な地域社会づくりを目指して再開発が行われます。

とくに、古川橋駅前の再開発事業は、旧門真市立第一中学校の敷地を利用して高層マンションや新市立図書館の建設、道路の拡張事業など大規模なものとなっています。
(京阪HD経営企画室「ニュースリリース|門真市とのまちづくり事業連携に関する協定を締結します」2024年2月5日)

また、本協定の都市計画から外れている市の南東部では、2023年9月に「門真市南東地域まちづくり基本構想」が制定されています。こちらは京阪HDが関わっていませんが、市の主導で土地区画整理事業や「にぎわい施設」の建設が予定されています。

そのため、京阪沿線に留まらず、門真市全体で都市の再開発計画が進められているといえます。

まちづくり事業は自治体間の「サバイバル」

関西地方では、大阪市の中心部などを除くとほぼ全域で人口が減少しています。いずれの自治体も過疎化や産業の縮小などの問題を解決しようと、再開発やまちづくり事業を積極的に行っており、自治体間で「人の奪い合い」が発生している状態となっています。

そのなかで、門真市の再開発は事業規模が比較的大きく、多額の事業費を投入する形となります。そのため、もし今回の再開発が不調に終わってしまうと、一気に財政難に陥ることとなり、市民サービスもままならない状態となってしまう可能性があります。

今回市が打ち出しているまちづくり事業は、まさに街の存亡を懸けた「一世一代のまちづくり施策」であるため、市民の理解を得つつ慎重に事業を進めていく必要があるものといえます。

おわりに

ここまで、大阪府門真市のまちづくりについて見てきました。

門真市では「住みやすい街」と「持続可能な街」の実現を目指して、大規模な再開発事業が進められていることが分かりました。全国でも門真市同様に再開発事業に取り組んでいる自治体がありますが、街の財政状況と比べて「無理なまちづくり事業をしていないか」と考えるのも重要であると、今回学ぶことができました。

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