小さな一歩、 確かな一歩
初めまして。
ホラネロのマッキーです。
この季節の津別は雪が降ったり、溶けたりを繰り返しながら
だんだん春になります。
ようやく、ふきのとうが顔を出し始めました。
私は、プライベートでは二人の男の子の母として、
お仕事はフルート奏者として活動しています。
ホラネロではフルートの他に、こんな楽器も担当しています。
ヒグマの骨笛
オオイタドリの笛
豆の支柱の笛
などなど。聞いたことも無いような楽器ばかりでしょう?
全て今この土地にある素材でできたオリジナル楽器。
世界に一つの楽器たちです。
若い頃は首都圏でオーケストラ奏者として活動していましたが、
ホラネロのプロデュースも手掛ける道産子の私は
「地域の魅力を音で次世代に伝える」ことをコンセプトに、
日々夫とともに「音探し」をしています。
「学びのよろこび」
今日は、ホラネロミュージックスクールで感じた保護者の役割について綴ってみたいと思います。
この日レッスンを受講しに来てくれたのは、
中学生になったばかりの初心者の娘さんと
プロのレッスンを受講するのは初めてというお母さんの、
“親子レッスン”でした。
娘さんは、2月に初めてフルートを習い始め、
最初は頭部管だけを持って音を出す練習をしました。
お母さんのレッスンをしている間も一人で練習していましたが、
この頃はまだ唇をうまく操作できなくて、音も出たり出なかったり。
初めて楽器を吹くお子さんにとって肺活量のいるフルートは
すぐに疲れてしまうので、並行して親子でソルフェージュ
(楽譜の読み書きや歌唱)の勉強をして、時々楽器を持って吹いてみる、
と言うようなスタイルで進めました。
最初に楽器を持つのではなく、鉛筆と五線譜を持つ。
ちょっとビックリしたような顔をしながらも、作曲家になった気分で
知っているメロディを五線譜に起こしていくとすぐに笑顔になりました。
「五線譜の最初のクルクルしたのはト音記号って言うんだよ。」
「フラット書いてみよう。」
「おたまじゃくしの頭はどのくらいの大きさが良いかな?」
あとで楽譜を見ながら吹くことになった時に、基本が理解できていると
家で一人でも練習できます。
「家で練習したくなる」これが大切なのです。
そして回を重ねて4回目。
フルートという楽器はピアノやギターと違って、
音を出すのが難しい楽器です。
娘さんは部活は吹奏楽をやりたい!と張り切っているので、
この日は最初から楽器を持って音を出してみたかったと思うのですが、
私が提案したことは・・・
「お椀吹き」
でした!!
いきなりフルートを吹くのではなく、食器を鳴らすんです。
コップ、小鉢、お椀、スプレーキャップ・・・などを並べて、
「こうして二本の指で脇を塞いで吹くんだよ。やってごらん」と。
あーでもないこーでもない、とお喋りしながらやっているうちに、
音の出る原理とか、自分の体の使い方を自然に学べるんですね。
子供はしなやかです。頭も、心も。
あっという間に「お椀吹き」が出来るようになると、体もポカポカ。
体もリラックス。
「じゃあそろそろ、フルート吹こうか」
と、なる。
ここからは早いです。
楽器と向き合う姿勢が、それまでと違うから。
唇から生まれた風が楽器と出会って、
瑞々しい音色になって、
長く長く伸びていく!
その時、隣で見ていたお母さんが大きな拍手をしてくれました。
ちょっと想像してみてください。
お母さんがここまでの変化を間近で見ていたんです。
想像できましたか?
お母さんの顔?
いえいえ、そうではなく。
お母さんに拍手してもらった瞬間の
娘さんの嬉しそうな顔を、です。
レッスンの中でよく思うのは
「この瞬間、お家の人に見てもらいたかったね!」
「(お家の人が)迎えに来てくれたらもう一回今のをみせてあげたいね。」
と言うこと。
日々少しずつ進化する姿を親が一緒に喜んであげることは
子供に自信をつけ、能力を大きく伸ばします。
年一回の発表会の華やかな舞台だけではない成果が、そこにあります。
様々な事情でレッスンを見学できない保護者の方には、
その場で録画、送信して見てもらうことも多いです。
お稽古事=子供を預ける時間
と捉える方にとってはなかなか難しいことかもしれませんが、
私たちが保護者の関わりにこだわるようになったのには訳があります。
東京から北海道に
移住して来たころ、地元のスキー少年団に入れたいと思って
体験入団した時のことです。
子供たちと体験を終えて
「とても楽しかった様なので、ぜひ子供たちを入団させてください」
と私が伝えると、少年団のインストラクター、Kさんはこう言ったのです。
「お母さんね、それも良いけど、上手くなるために一番良い方法は何か知ってる?」
私「・・・・何でしょう?」
Kさん「子供が小さいうちは親が一緒に滑ることです。
一緒に滑れば、そばにいて小さなことも喜んであげられるでしょ?
大きくなったらそうもいかない。そしたらうちに入団しに来たら良いですよ。今しかできないんだから。出来るならぜひ、一緒に滑ってあげて下さい。」
・・・いやはや、入団を断られるとは思ってもみませんでした(笑)
でも、確かにそうだな、と思って。
当時、6歳と4歳だった息子たちと、それから何年か一緒に
ゲレンデに通いました。
そして、あっという間についていけなくなるくらい上達し、
やっぱりKさんの元で学ぶことになったのです。
東京時代は朝から晩まで働きづめで、
保育園に頼りっぱなしだった時期もありましたが、
Kさんの一言以来、旅も、セミナーも、習い事も、
時間とお金が許す限り、家族で経験を共にする事が多くなりました。
せっかく北海道に来て、ゆったり流れる時間の中で暮らしているので。
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成長し続ける子供たちの小さな、けれど確かな成長は
限られた時間でしか共有できません。
出来る限り側にいて、たくさん拍手してあげようではありませんか。
赤ちゃんが初めて歩く、あの瞬間みたいに。
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