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本よみ日記 パンツと行動力

息を吸うようにしていることに「本を読むこと」がある。これしか思いつかなかった。

今週はじめに旅行に行って、今週おわりに息子が高熱を出した。バタバタっと病院に連れていき、検査してもらって、帰ってきたらもう本が読みたい。

息子は苦しそうだが薬も飲んだし、特になにもしてあげられない。隣でそうっと本を開いた。

加瀬健太郎さん『お父さん、だいじょうぶ?日記』。この本は Eテレの趣味どきっ「読書の森へ、本の道しるべ」で菊池亜希子さんが紹介していた。たしか写真家の加瀬さんが嫁さんのパンツを干す時、パンツの股間部分を凝視して、僕はこの人を幸せにできているのかなと考える、ようなことを言っていて図書館で取り寄せたのだが、その一文で取り寄せた自分の行動力が今さらながら気になってきた。嫁さんのパンツ、股間、幸せ、どのワードに引っかかったのか。

もう一冊は小林聡美さん『読まされ図書室』。いろいろな人からお薦めされた本を読んでエッセイを書くという企画。私も小林さんの立場だったら難航しそうだなと思ったのが、井上陽水さん推薦の松本清張『白梅の香』。小林さんも一般的なイメージの松本清張の世界は苦手らしく、時代小説も読んだことがないという。同じだ。

始まりの一文から「ギリな感じである」という小林さんはなんて素直な人なんだろうと思うと同時に、私もギリだと思った。でも、段々と端正な文章に引き込まれて楽しめたという。ああこれは。読んだ人しか辿りつけない場所に行かれたのだった。

読んだことがないジャンルや馴染みのない時代背景。私の読書体験は大いに偏っている。だからこそ、誰かが読んだ記録や足跡をみるのが楽しくて好きだ。その時々、自分に必要な本が自分にちゃんと引っかかるとなお嬉しい。

日々なにを読み、なにを食べ、なにを見て、なにを感じたか。すぐ忘れてしまうから軽やかに書いていけたらと思う。




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