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「イサム・ノグチ 発見の道」の話

行って来ました。
イサム・ノグチ 発見の道 @東京都美術館

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晩年の石彫に至るまでを辿った、フロアごとに3章に分かれた展示内容。イサム・ノグチとはなんぞや?がまるっとわかる大規模展覧会でした。

写真OKのフロアもあって、フォトジェニックな空間が広がってた。

第1章 彫刻の宇宙

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初っ端からすごい数のAKARIの大群、インスタグラマーはもうこの写真が撮れれば満足であろう、と言ってもいいぐらいのフォトスポット。正直言うとイサムノグチについてのにわか知識で一番はっきりと明確なのは代表作であるこのまぁるいAKARIしかない。
でも本来なら彫刻家といえば石やら木やら重くて硬い素材を扱うという印象があるはずなのに、よくよく考えたら薄い和紙でふんわり柔らかく丸い形のAKARIは対極に思える。

第2章 かろみの世界

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(線と面で作られるこのフォルムの美しさに気を取られるけど、その下に映る図形みたいな光の形も見て!)

第1章でも見られたAKARIの無重力世界、これもかろみ(軽み)。

鉄板をパタパタ折り曲げたみたいな作品がたくさん。
第一印象を目で捉えて、近づいていって、ぐるっとまわっていろんな角度から見てみる。最初に捉えた形とは全く予想外の形が現れて、頭の中が軽く混乱する。それを何度も繰り返す。なんだか脳のトレーニングをしているみたいな感覚になってくる。

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・宇宙のしみ
・原子の積み藁
・道化師のような高麗人参
イサムノグチ作品は題名も独特(無題も多いけど)。難解な形をしていても、題名を知るとなるほど。と、ちょっと理解できるのが面白い。

第3章 石の庭

説明書きに「石の声を聞いて、そのお手伝いをする」とか書いてあって「なかなか不思議おじさんやなw」とか思ったけど、イサム・ノグチ庭園美術館の庭園に置かれた石の彫刻たちの映像を見て「あぁ、確かにこれは石が喋ってるな」と合点がいった。雨に打たれている様なんて特に、みんなわいわいと何か喋ってるみたいだった。
館内に展示されている石たちはおすまししてシュッと黙ってたけど、やっぱり庭にいる石たちは生き生きして見えて。本来自然の中にいるものだからね。
石は動かないでただじっとそこに座っているだけに見えるけど、確かに意思のある生き物だと。

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私は普段、平面的な物の見方をして生きているので、昔から3Dの彫刻的な捉え方が苦手。だからイサムノグチの作品は新しいものの見方を考えることができて、どれもとても刺激的だった。
目で見て瞬時に理解できるものだけ見ていては感受性が鈍ってしまうから、もっとたくさんのものを見てじっくり考える時間が必要。
そんなことを思えた展示でした。
会期は8月29日まで!

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