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”ゼロイチ”の再現性


はじめに

いきなり申し訳ないのですが,新規事業開発の現場における”ゼロイチ”の再現性を持たせる完璧で万能な手法はないというのが持論です。すいません。。
あくまで一つのフレームワークとして参考になれば幸いです。

この記事は何か

新規事業のアイディエーションの場面において使える思考法と具体的な手法についてまとめたものです。
後述しますが,エレベーターピッチを,自分なりに少しアレンジした「逆エレベーターピッチ」という考え方についての記事です。

使い方によっては新規事業ではない場面においても流用することも可能で,PMF前後のプロダクトの方向性を見直す場面や,既存のプロダクトの新機能の追加開発を検討している場面などフェーズを問わず使える内容なのではないかと思います。

誰に届いて欲しいか

  • kubellで新規事業やりたいBizDevの方

  • 新規事業企画〜実行を担っているBizDevの方

  • 事業戦略の策定/プロダクト開発を担っているPdMの方

(なんとなく考えている正直なところ)

何度か(成功も失敗も含めて)新規事業の立ち上げを担当してきているものの,なかなか再現性を出せずにいて,組織として連続的に事業を生み出していくcapabilityや仕組みを会社として持つことに苦心しています。
各社のBizDevや起業家と話す中で,やはり同じような悩みを抱えている方ばかりです。

最近は,様々な事業立ち上げのノウハウが公開されていて,どれも役に立つものばかりですが,それだけを読んでも実行するのとはまた別世界で,あとは気合いと根性やなんとなくの大局観的なものによるだろうというのが正直なところです。

事業責任者は,誰よりも構造理解・市場理解・顧客理解をしたうえで,勝てると思ったところにフルベットし,ビジョンを描き,優秀な仲間を集めて,狂気的なコミットメントで最後まで愚直にやり切るということが一番の再現性なのではと考えています。

再現性は手法ではなく人に持たせる?

新規事業の立ち上げに関して,ノウハウを蓄積して仕組み化する事で,属人性を排除し仕組み化していくという理想はわかるが,実際は正直苦しいのではないかと思う事も多く,再現性を担保する為の手段として,事業開発領域における仕組み化は実現可能性が低いかもしれない。

もちろん,仕組みに再現性を持たせる事ができるに越した事はないが,実態の多くは,Founder兼CEOが2周目3周目の事業オーナーとして実行部分にも関わっていて,その個人のcapabilityに大きく依存している。もしくはM&Aによるacqui-hireがほとんどで仕組み化とは対極にある印象。
とは言え,企業として連続的に新規事業が生まれる構造を設計すべきで,諦める訳にはいかない。「ノウハウ蓄積と仕組み化による新規事業立ち上げの再現性向上」が難しいと考える場合に,どうやってその再現性を高めていくのか?

新規事業は属人化するという事を前提とする。
そのうえで,ポテンシャルが高い優秀な事業開発人材を惹きつけ,確度高く育成する事に注力すべきな気がする。
つまり,企業として,新規事業の立ち上げに再現性を持たせる為に必要なのは「ノウハウを蓄積して仕組み化する事」ではなく「事業開発人材にとって魅力的かつ成長できる環境を作り続ける事」なんじゃないかという仮説。
仕組み化するのは現時点で難易度が高いから,属人化する事に振り切った採用と環境整備をすることで,結果的に企業としての再現性が高まるようなアプローチ。

というようなことも考えています。

新規事業の立ち上げに携わってきた人であれば,難しさが伝わるのではないかと思いますが,裏を返すと再現性を持つ仕組みさえ持つことができれば非常に大きな一歩になるので,事業開発をやっている身としては永遠のテーマなのかもしれません。

なぜ公開するのか

万能なフレームワークはないものの,ゼロイチの再現性を1%でも高めることができるのであればと思い,思考プロセスとしてやっていることを少しずつ言語化してきました。

思ったよりも反響を頂き,ありがたい一方で,これまで言語化・構造化を全くできてなかったんだという反省をしました。。
ので,これを機に「気合いと根性」とか「なんとなくの大局観的なもの」とか言わずに,いつも頭の中でやっていることを言語化して公開してみようというのが理由です。これを見たBizDevの方にkubellに興味持ってもらいたいのが本当の理由です

エレベーターピッチとは

以下のようなフレームワークに沿って,言語化することで,事業企画のコンセプトをクリスタライズすることが可能です。

①【潜在的な課題】を解決したい
②【対象顧客】向けの
③【プロダクト名】というサービスは
④【プロダクトのカテゴリ】というカテゴリに属するものであり
⑤【重要な利点,対価に見合う説得力のある理由】が可能で
⑥【競合になりうる既存の手段】とは異なり
⑦【差別化の決定的な理由】を提供することができる

エレベーターピッチ

実際に弊社のBPaaS事業の立ち上げの際にも作っていました。

逆エレベータピッチとは

新規事業と言えども,本当に今まで存在しなかったものが急に生まれてるくる事は非常に稀で,既存の何かの代替手段であり,そこに新しい視点や新しい技術要素が入ったことによって便利になったものが徐々に,その市場を置き換えていくものがほとんどだと考えています。

つまり,既に存在する何かを再定義しながら,それが満たしていないニーズを明確にすることが新規事業のヒントになるのではという発想です。

エレベーターピッチは自分たちが作るプロダクトの未来に対しての整理をするものですが,それをアレンジした逆エレベーターピッチは誰かが作った既に存在する何かの現在の課題を整理し,自分たちが作るプロダクトの着想を得る為のフレームワークです。

①【プロダクト名】
②【プロダクトのカテゴリ】というカテゴリに属するものであり
③【解決している課題】
を解決している
④【対象顧客】向けのサービスであり
⑤【条件付きの解決策】が可能だが
⑥【解決できていない課題】という課題は解消できておらず
⑦【顧客の不満】という不満を顧客は抱えている為
⑧【差別化の決定的な理由】を提供することでリプレイスが可能である

逆エレベーターピッチ

上記のフォーマットに合わせる形で既存の何かを当てはめていく事で新規事業のコンセプト出しをすることができます。

批判的思考が重要で,且つ,一つの対象であっても提供している価値が複数あり混在しているケースがほとんどなので,様々な観点から複数枚書くことをお勧めします。

ユーザー方の声を反映しても良いかもしれません。

また,競合のプロダクトや自社のプロダクトを当てはめてみる(特に自社の場合はバイアスがかかるので,より批判的思考が重要)ことで,PMF前後のプロダクトの方向性を見直す場面や,既存のプロダクトの新機能の追加開発を検討している場面などフェーズを問わず使える内容なのではないかと思います。

具体例

オフィスにある固定電話を例に整理してみます。

①【法人用の固定電話】
②【通信手段】というカテゴリに属するものであり
③【取引先や顧客が物理的に近くに居なくてもすぐに会話したい】という課題を解決している
④【オフィスで働く従業員】向けのサービスであり
⑤【発信者と受信者がお互いにオフィスにいれば】が可能だが
⑥【どちらかが外出している場合もすぐに話したい】という課題は解消できておらず
⑦【タイミングが合わない場合は電話をかけ直さないといけない】という不満を顧客は抱えている為
⑧【外出していても担当者の携帯電話につながる転送機能】を提供することでリプレイスが可能である

のようなイメージです。
③〜⑦の切り口によって⑧が変わってきます。

上記の例だと,⑥【解決できていない課題】を「設定の工事が面倒」という書き方に変えると,また別の見え方があると思います。

繰り返しですが,同じテーマに対して複数枚書いてみることが重要で,その中でこれだというものにフォーカスするも良し,組み合わせるも良しかと思います。

よかったら自社プロダクトや企画中の案,あるいは既に世の中に存在しているサービスに対して,使ってみてください!(少しでも誰かのお役に立てれば幸いです)

最後に

他にもnoteも書いてます。

BPaaSに興味ある方ぜひ読んでみてください。

8/28にイベントやります。
内容はBPaaSです。よければ覗きにきてください!

株式会社kubellでは,新規事業をたくさん仕込んでいるタイミングです。BPaaSだけではなく,次の展開に向けて全く別のものにトライしたいと考えています。
日々,上記のような議論をしながら,新規事業をカオスな中でやれる環境があるので,ご興味ある方はこちらからぜひ応募お待ちしております!(何やるの〜?的なカジュアルな場も大歓迎です)

↓↓↓個人的に,一番面白いであろうポジション。


最後まで読んで頂きありがとうございましたmm
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