「よろしいでしょうか」のワナ
「採血させていただいても、よろしいでしょうか」
健康診断で、看護師さんが優しく声をかけてくださいました。
「ぜひ!」と元気に答えましたが、もし注射が苦手なら「イヤです」とか「ダメです」って答えてもいいのでしょうか。
今回は「よろしいでしょうか」についてです。
「よろしいでしょうか」の2つの使われ方
①許可
「いいですか」「問題ないですか」を丁寧に言い換え
相手に許可や同意を得たいときに使う。ーこれが、本来の使い方です。
先に食べていてもよろしいでしょうか
お隣(に座っても)よろしいでしょうか
お伺いしてもよろしいでしょうか。
②依頼
一方、お願いをするかのように使われるケースも近年、増えています。
採血してもよろしいでしょうか
電話しますので、番号をお聞きしてもよろしいでしょうか
(予約確認時に)お名前を教えて頂いてもよろしいでしょうか
こういった使い方には違和感を覚えます。
なぜなら、相手に選択権はないシーンだからです。
イヤと言われても、採血はしなければならないし、
電話をするためには番号が不可欠です。
予約の照合は、お名前を聞かないとできません。
言葉はシンプルがいい
たしかに「よろしいでしょうか」は、相手に投げかけやすい響きをもっています。使うと会話のリズムが良くなる気もします。
でも、言葉はシンプルに限ります。
採血します(ね)。
番号を教えてもらえませんか。
お名前をお聞かせくださいませんか。
短い。
短いほうが言いやすいのでは…。
ストレートでわかりやすいし、双方の時短にもなる。(言いすぎでしょうか……)
依頼をするとき、弱気になったり遠慮がちになると
つい言葉が長くなってしまう心理もわかります。
日本語の依頼表現の定型文は10種類以上!相手との関係性や状況により、いかに繊細に使い分けてきたか、ということでしょうか。
各地の方言も加えると、もっとありそうですね。
※依頼の表現 10のテンプレ(後日公開)
※こんなに違う「依頼」の言葉:方言篇(いつか公開)
看護師さんのエピソード
冒頭のシーンでは、看護師さんのお声かけにより、今から注射💉だと、心の準備ができました。患者を驚かせないためのお声かけですので、目的は果たしていたと感謝しています。
よろしいでしょうか、という言葉自体が、人を不快にさせることも不安にさせることもありません。この先、市民権を得るかもしれないし、注目していこうと思います。
増え続けるユニークな接客ことば
コロナ禍で距離感に鈍感⁈
コロナ禍で、一度ソーシャルディスタンスを経験したからか、リアルな相手との距離感すら、つかめないときがあります。(私だけ⁈)
正解を探しながら話すと、言葉って、つい長くなりますよね。その結果、ユニークな接客ことばも、次々と生まれています。
🔸「~しても、よろしかったでしょうか」
→現在と過去の混同
🔸「させていただいても宜しかったでしょうか」
→過度のへりくだり
🔸「お願いしてもよろしいでしょうか」
→依頼の二重奏
おもしろいですね。
※「~いただき」と「~くださり」のワナ(後日公開)
あとがき
noteは、ALL 自分の言葉で書く ことを目標にしています。
日頃、頼りっぱなしの相棒(教材やテキスト)と照合すると、そのまま引用したくなり、自分の訓練(脳トレ⁈)にならないからです💦
よって、言葉のチョイスミスや、私見が誤っていることもあるかもと思います。(☚ただの言い訳) ご指摘いただけますと有難いです。
最後までお読みくださりありがとうございました!