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拘束具

SMクラブに行く。

「手指消毒お願いします」消毒大事。

「検温お願いします」はいはい。

「もうお決まりですか?」まだ。

「色々ありますよ!お客様が気に入るものが見つかりますよ」

畳みかけてくる。

「これなんかいいと思いますよ!ダイナミックですし」

渋る自分にマスク越しの怪しい笑顔で

「これは強いです!かなりのお客様が満足してます」

「そこまでは・・・」
と弱気に聞こえた発言を相手は逃さない。

「はじめは大変ですけど、すぐ手放せませんよ。どうです?ぜひお手に触れてみてください」

自分に手渡す。

「どうです?」

「や、ここまでのものは・・・やっぱりいいです」

渡されたものを静かに突き返すと、手でブロックする。

「周りの皆さんもご満足していますよ」そのまま自分のほうにある。

「こういうの苦手なんで昔ながらので充分です」本当にこれはいいや。

「そうですか?たぶんすぐその刺激じゃ物足りないってなりますよ」

未来が見通せるかの如く言う。

どっぷりハマっていく人間を嫌というほど見てるんだろうな。

早く次をもっともっとと刺激を求めるんだろうな。


「じゃあこのメタルな感じのは如何ですが?」

渡されたものは色具合がまるで原油みたい。

もういいやこれで。


代金を支払い店から出ると外の風が思ったより冷たい。




ねえ?
拘束具で縛られたい?
それとも縛りたい?

自分はどちらも嫌だけど。





自分の新しい拘束具 1円。


1円で縛れてお安い。


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