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「1月の珈琲 Kenya:あちらこちら」

2022年のはじまりは、ちょっと、グレーな感じがした。

といっても、心の中はその正反対で、そのギャップにググッときた。

Kenya:あちらこちら
灰色の空に白い雲
冷たい風が吹きすさぶ
あちらこちらに手を伸ばす
黒い枝が脈を打つ
その先
小さなつぼみが見える
強くて軽いやんちゃな酸味

幾重にも重なった雲があまりにも厚いから、太陽の光が届かない。

雲は白いはずなのに、空は灰色だった。

冷たい風が頬をかすめ、指先の温度を奪っていく。

さむいさむいと肩をすくめながら、色の少なくなった外を眺めていた。

初冬の暖かい日に枝を伸ばした木があちらこちらに手を伸ばしている。

黒い枝が風に揺れる姿は、まるで、脈を打っているようだ。

枯れているかに見えて、その内には、春に芽吹くための力を巡らせているのだ。

その証拠に、ほら、枝の先、小さなつぼみが見える。

2022年1月の珈琲のキーワードは、「明るい。軽い。飛ぶ。」
3種類の珈琲は、すべてが浅煎りよりの中煎りとなった。

Kenyaの香りをかぎ、思ったことは、「やんちゃ」
そして、味わい、思ったことは、「強くて軽い」

ギャップ。

季節柄、外の世界は厳しさを増すけれど、心のうちにある信念は熱い。

そんなことを感じながら、空を眺めたら、黒い枝が見えたから、Kenyaに「あちらこちら」と名付けたのだ。

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