マンションは終の棲家にならない?

以前、知り合いの工務店社長のAさんから、「終の棲家にするつもりならマンションはオススメしない」と言われました(中古戸建から中古マンションへ)。「生活が苦しい人で持家に住んでいる人はいるけど、分譲マンションに住んでいる人はまず見ないでしょ?分譲マンションに住み続けるにはお金が掛かる。」というのが理由でした。

いざ探してみると、確かに、と思いました。マンションには、月々のローン返済の他、管理費、修繕積立費というものが掛かります。僕は車を持っているので、それに加えて駐車料金。あと、戸建てに比べ微々たるものだと侮っていましたが、固定資産税が思いの外高いことにも驚きました。(これら全て住んでいる人からしたら当たり前過ぎる話ですみません。)僕は主に湘南エリアで築15〜20年くらいのマンションを見ていましたが、管理費・修繕積立費併せて2〜4万円くらい。駐車場が1〜2万円くらい。固定資産税(年払いなので月額にした額)が月1万円くらい掛かりました。ローン返済とは別に、安くても月4万円程度、高いと月7万円程度もランニングコストが掛かってしまいます。当時僕が住んでいた大和市のマンションの家賃が72,000円、駐車場が11,000円でした。下手したらランニングコストだけで家賃と変わらない。大和と湘南ですし、部屋の広さなども違うので、もちろん単純な比較はできませんが。さらにそのランニングコストは、住めば住むほど(築年数を重ねるほど)高くなるのが一般的です。

月々支払うかどうかの違いで、戸建ても修繕費は掛かる。持家の場合、戸建てもマンションもランニングコストに大差ないよ。という意見も耳にしました。しかし、修繕費が強制的ではない戸建ての場合、外壁や屋根がボロかろうが、本人が気にしないなら修繕しなければいい話です。また、マンションではオートロック、エレベーターなどがあり、管理人さんが清掃やゴミ出しをしてくれます。とても便利です。しかし、便利さには対価を支払う必要があり、その費用は戸建てでは発生しないですよね。少なくともその分は戸建てより確実に高くなると思います。もし戸建てとマンションを同時に探している人は、例えば、戸建てなら3000万円、マンションなら2500万円のように、購入費に差を付けて探さないと、後々の支払い総額が大きく変わってくる可能性があるので注意が必要だと思います。(僕自身が2世帯や中古戸建の予算で中古マンションを探していたら、計算が合わないことに後々になって気が付きました。)

金融系の住宅本で、「マンションは10年程度で住み替えるものだ」という意見を割と目にしました。以前、戸建ては築20〜25年程度で価値がゼロになることを書きました。ゼロにはなりませんが、マンションも25年を越えた辺りから売れにくくなるそうです。それを踏まえ、「新築又は築浅(築10年以内くらい)のマンションを購入し、古く(築20年くらいに)なる前に売った方が良い。需要があり、管理費などが値上がりする前に「売り抜け」してしまおう。そしてその売却額で新築又は築浅マンションを買い、それを繰り返そう。」と。実際、築10〜15年のマンションが販売時とさほど変わらない値段で取引されている事例を多数見ました。上記の様な意見は、確かに、と思いつつも、正直それはめんどくさいなぁと言う気持ちもあります。しかし、築35年とかを過ぎると、販売価格自体が安くてもランニングコストが高いので、買う側からすると躊躇してしまいます。なので、ローンを払い終わった35年後くらいにちょうど年金生活になったりして、「生活が苦しい」と思って手放そうとしても、いくら売りやすいと言われるマンションと言えど、気軽に手放せない可能性があるということです。

以上より、僕個人は、「30半ばくらいでマンションを買って、一生そこに住む」というライフプランは考えられなくなりました。(定年後ならアリだと思います。)しかし、一般的には、現役世代の20〜40歳台で、買い替えなど考えず、「終の棲家」のつもりでマンションを購入している人が結構多いと思います。「不動産取得の際は出口戦略を立てよう」と喚起する人もいます。少子高齢化でこれから人口が減っていくのはほぼ確実です。「売れなくなったマンションの末路」などの悲惨な話は、現時点でも調べればいくらでも見つかります。自分はなんとかなっても、子どもなど、残された家族などが苦労する可能性もあります。もし、現役世代で、その場所に永住するつもり、「終の棲家」にするつもりでマンションを買おうと思っている人がいたら、さすがに「出口戦略」は大袈裟ですけど、「将来どうするつもりか」は、なんとなくでも思い描いておいた方がいいかもしれないと個人的には思います。

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