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読書メモ_里山資本主義

Vol.01【里山資本主義 藻谷浩介】
1) P.137 “辺境からの変革”
既得権がよってたかって政策を骨抜きにしてしまうのはこの分野だけの話ではなく、国全体としての方向転換は一朝一夕には行かないだろう。だからこそ、市町村単位、県単位、地方単位での取り組みを先行させることが、事態の改善につながっていく。(中略)日本では、国にできないことを先に地方からやってしまうことが、コトを動かす秘訣なのだ。地方ごとに、人口規模では大差ないオーストリアになったつもりになって、彼の地の取り組みに学んでいくことが、大事なのではないだろうか

P.138 “二刀流を認めない極論の誤り
落ち着いて歴史を眺めると、一瞬極端に高まる外来の極論への熱狂は、いずれは現実を突きつけられて幻滅に変わり、輸入原理はその後時間をかけて日本流に変容していくのが常だ。(→P.282 里山資本主義は保険。マネー資本主義に対して、安心を買う別原理であり、バックアップシステムである)

P.147 “リカード的な分業論の誤り“
つまりリカード的分業は、各自の守備範囲を明確に区分けすることができて、かつその守備範囲に重複がなく空白部分もできない、という条件が整った場合にはセオリー通りに有効なのだが、実際の仕事はなかなかそう簡単に割り切れない、もう少し複雑な構造になっているということなのだ。

P.191 ”毎日、牛乳の味が変わること、がブランドになっている“
「搾った日ビンテージ、ですね」そうなのだ。私たちは「均質なものをくたくさん」以外の価値観も持ち合わせている。

2) 2013年初版から売れ続け40万部。本書が示すのは「地に足のついた、幸せのカタチ」である。戦後日本の成長モデルが陰りを見せる中、人々が感じるなんとなくの不安に対し一つの解を示す。アイデンティティが絶対唯一の自己→分人ベースになり、大企業に勤めあげる→副業が奨励されるのと歩調を合わせる形で、「バックアップシステムを持つ安心」を「辺境から始めていく」動きには共感する。

#モリゼミ

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