見出し画像

【ゴルフ留学体験談】スイング改造とマインドについて〜モーターラーニングとは〜

(3/10/2021: 画像追加)

本日は、わたしがアメリカで出会った数多くのコーチに共通していた「スイング改造方法とモーターラーニングの取り入れ方」について少しお話します。

どの先生も同じ見解だったので、これは常識的なことかなと思っていますが……もしかしたらサンディエゴ北部限定かも……アメリカ全土のことはわからないです……。



魔法のドリルなど即効性のあるものは存在しない

画像2

基本的に「これをすればすぐ直る!」といった魔法のドリルは存在しないと思ってください。

レッスンでも「何かすぐ直る方法・ドリルないですか?」と聞かれることがありますが、繰り返し練習することで動きを改善できるドリルはあっても、適当に少しやっただけで動きが改善されるような魔法のドリルは存在しないと思った方が良いです。仮に、一時的に改善されたとしても、すぐ元に戻ってしまいます。

そして、ハンドスプリットドリルや片手打ちドリルなど実際にボールを打つドリルよりも、鏡の前での素振り、ゆっくり素振りなど動きの細かい確認ができる模倣トレーニングの方が効果的だと言われました。

これはあくまでも私に対してのアドバイスなので、皆さんも同じとは限りません。中には打感を学ぶことやクラブを振るという感覚を先に身につけた方が良い人もいるかもしれません。



動作の習得には4000レップ必要

画像3

運動パターンを改善するポイントは、まずモーターラーニングを理解することです。

【Motor Learning(運動学習)】
体を動かして目的を達成するためには、脳が筋肉に信号を送り、体を動かす必要があります。これをどう効果的にパフォーマンスに繋げるかの学問をモーターラーニングと言います。

練習とは、そもそも効率的で効果的であるべきです。

どんなアプローチが自分の運動パターンの改善に1番いいのか明確に理解できていると、ゴルファーとして大きなアドバンテージになります。これは練習方法やメンタルアプローチまで含んで考えます。

また、練習でできていることがラウンドでできなかった場合、あなたの練習方法は正しくなかったのかもしれません。運動パターンを改善して終わりではなく、コースでのアウトプット・応用までを含めて、一連のパフォーマンスを上げていける練習を普段からおこないたいですね。

皆さんは、運動パターンの改善には最低4000レップの反復練習が必要なことをご存じですか?。(ソースなし)

週2回の練習で、毎回200球を打つ人の場合、だいたい10週間でこの4000レップが達成されます。約2ヶ月半ですね。これは白目になります。

これらを考慮すると、個人特有の癖になっている動作を改善することは容易でないと分かります。ゴルフレッスンでスイングフォームが思うように改善されないときや、レッスン後にフォームが元に戻ってしったときにコーチの責任と決めつけるのは、まだ早いかもしれません。

しかし、優秀なコーチはレッスンの後の練習方法も指導してくれます。その場しのぎのような一時的な効果にフォーカスした指導を受けることは時間とお金の無駄だと思います。

根気よく取り組むことを前提にスイング改造に取り組んでください。



①撮影して撮影して撮影する

画像4

ゴルファーが自力で効率よくスイングを改善したい場合、とにかくスイングの撮影を繰り返し、スイングフォームの確認をしましょう。

ひたすら、現状把握→目標設定→実行→確認の繰り返しですが、撮影のコツは以下の4つです。

  • 三脚を使用し定点から撮影する

  • 毎回同じ適切なアングルから撮影する

  • スイングをスローモーションで撮影する

  • スイング分析アプリを使い正確に評価する

カメラアングルによってスイングの見え方が異なるので、正確に自分の上達を評価するためにも、毎回同じ場所から撮影してください。

スマートフォンでスイングを撮影すると、自分の感じている動作と実際のスイングフォームの違いに驚くと思います。



②ストップ&ゴードリルは基本

画像5

モーターラーニングでは、タスクの難易度を「易しい」から「難しい」へ段階を進めながら、その運動を強化していきます。フルスピードのフルスイングで行うことが難しい動作であるなら、易しい打ち方で練習すればいいのです。

そこで注目したいのがストップ&ゴードリルと呼ばれる練習方法。あの伝説のアメリカ人ゴルフコーチ、ジム・マクリーンの書籍でも紹介されている練習方法です。このドリルは、スイング中、特定のポジションで一度止まり、そしてボールを打つというもの。

その昔、タイガー・ウッズもブッチ・ハーモンと取り組んでいました。ブッチはこれを「ミシシッピドリル」と呼んでいましたが同じ練習方法です。アメリカでは、秒数をゆっくり数えるときに【ミシシッピ】を使いますね。なぜかは知りません。笑。タイガーは「ワン・ミシシッピ、トゥー・ミシシッピ、スリー・ミシシッピ」と数えてからボールを打っていたんだとか。

それはさておき、ストップ&ゴードリルには以下のバリエーションがあります。

  • P2で「123」と3秒止まり、P4で「123」と止まり打つ

  • P4で「123」P6で「123」と止まり打つ

  • P4やP3やP2など1箇所だけ止まって打つ

  • 止まる秒数を2秒や1秒と変化させる

ストップ&ゴードリルは自分のスキルレベルに合わせてカスタマイズすることが可能です。

止まる回数が多く長いほど易しくなります。また1回止まる練習では、アドレスに近いポジションで止まる方がインパクトまでの時間が長くなるので難しくなります。

この練習の最大の利点は、スイングフォームを分割して考えることができることです。静止したポジションで「現在の姿勢」や「次の動作」を落ち着いて確認し、頭の中でスイングに必要な動作の流れを整理することができます。

力まないように止まるのではありません。

頭の中で整理されていない運動をなんとなく行う練習と、明確で正確な運動を繰り返し反復するのでは、どちらの方が効果的にスイングフォームを改善できるのか一目瞭然です。

優れた運動感覚を持つゴルファーは、自分の理想のスイングフォームを鮮明に想像し、自己感覚を調整し、そのイメージを体現することに長けています。一方、あまり運動をしない多くの一般人は、段階を踏みながらスイングフォームを改善することが結果として1番の近道になるのではないでしょうか?



③スイングスピードを変えて打つ

画像6

モーターラーニングでは、タスクの難易度を調節しながら運動を強化するんでしたよね?

フルスピードで行うことが難しい動作であるなら、ゆっくり打てばいいのです。10%のスイングスピード、50%、80%、100%とスイングの難易度は徐々に上がっていきます。

ゆっくりなスイングでできた動作でも、スイングスピードをあげた途端にできなくなってしまうことがあります。適正なスピードでの反復練習を積み、徐々にスピードを上げていきましょう。

優れた運動神経を持つゴルファーは、スイングスピードを速めたときも同じスイングフォームを産出できるよう、速めたスピードに合わせ、動作感覚を調整することに長けています。

これは常人にはなかなかできないので、スイングスピードに合わせ動作を維持で切るよう、脳や筋肉の反射を鍛える必要があります。

例えば、50%スピードのスイングと100%スピードのスイングと、スイングスピードが速くなっているのに、全く同じ感覚でスイングしてしまっていませんか?

例えば……ある課題に取り組んでいて、難易度を難しくするためにスイングスピードを上げようと思った。スピードを上げても同じスイングフォームを再現したいなら、課題の動作を「大げさにする」だったり、「早いタイミングでやる」だったり、「もっと強い力でやる」と調整してスイングする必要があります。これがスイングスピードに合わせた動きのアジャストです。

人によってどこでつまずくかは異なります。50%のスイングスピードではできるけど、80%スピードではできないなど。

この壁を突破するためには、スイングを撮影し動作を改善できない理由が、「タイミングにあるのか」「動作感覚の問題なのか」チェックする必要があります。ついでに、動作の改善に必要な「効果的なプロセス」も学びましょう。



④目を閉じて打ってみる

画像7

スイングフォームを改善する目的があったとしても、ゴルファーはボールの前に立つと、どうしても目の前のボールを上手く打とうとしてしまいます。「動作を改善する」ことと「ボールを上手く打つこと」は全く異なる目的ですが、ボールが視界に入るとゴルファーは反射的に上手く打とうとしてしまうそうです。

そんなときは、目を閉じてボールを打ってください。目を閉じることで視覚的情報をなくすんです。意識の中からボールを消せれば、動きにフルフォーカスすることができます。騙されたと思ってやってみてください。

これはビジョン54でも紹介されている有名な練習方法です。動作が正確に行えているかどうかは、動画を確認したり、練習仲間にチェックしてもらいましょう。何かしらの形で自分にフィードバックを与えることを忘れずに。



⑤ショットを採点してみる

画像8

ただ繰り返しボールを打つのではなく、たまには1球1球、今のショットは何点だったか採点することで自己評価しながら打ってみましょう。

  • 今のスイングに100%コミットできた?(メンタル面)

  • 取り組んでいる動作は何点できた?(スイング改善)

  • 目標距離に対して何点の距離感だった?(距離感の練習)

  • リズムはうち急がなかったか?(テンポの練習)

より細かいところに注意を払えるようになります。これもVision54で紹介されている練習方法の1つです。



⑥シンプルに考える

あの世界トップクラスのインストラクターであるジム・マクリーンが書籍でこんなことを言ってました。

  • 新しい動作に取り組んでいるとき、いきなりフルスイングフルスピードで、その動作を行うのは難しいことだ。

  • ならばスイングをゆっくりにしてみよう。

  • または小さいスイングでやってみよう。

  • それでも難しいのなら、今度はボールを打たずに素振りでやってみよう。

  • もし素振りのスピードが速くできないのなら、スローモーションの素振りでやってみよう。

  • それでもできないのなら、クラブを置いて腕だけで振ってみよう。

  • それでもできないのなら、腕を胸の前でクロスして腕なしでやってみよう。

あ〜〜〜〜〜(天使の声)

画像1

・・・たぶんこんな感じかな。わたしはこれで悟りを開きました。

腕を胸でクロスする練習は今でもよくやるけど、体が言うことを聞いてくれなくて、このポーズのまま遠くの空を見つめてしまったり。笑

ジムマクリーン大先生の言うことは、シンプルで当たり前だけど、みんなが気づかないことではないでしょうか?

この方法は、初心者だけでなく上級者にも役立つので、動作ができなくても焦らずに、落ち着いて、簡単な動きで反復してみましょう。

鏡の前や動画を撮って確認しながら、正しい動作を反復してください。



おわりに

ゴルフのスイングフォーム改造は、1日や2日で終わることではないので根気が入ります。なかなか自分の上達に気付けないとモチベーションも下がってしまいます。

自分に感情基準でなく目的基準の正確なフィードバックを与えられるように気をつけてみたり、アプ練やパタ練を挟んで練習内容に変化をつけたり、動画を比較することで成長を確認しモチベーションをあげられるよう工夫してみてください。

誰かの参考になれば幸いです。


関連するオススメ記事

・Vision54の練習を紹介

・感覚と理論の両面から考えるゴルフ練習


・ゴルフのゴールセッティング

・スイング改装の基本

・スイング改造の基本

・ローリーマキロイのスイング改造の話

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?