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【超本格】ゴルフで目標を達成するゴールセッティングの方法とは?

ゴルフは、身体能力・技術・戦略だけでなく、メンタル面も重要なスポーツです。そのため、スポーツ心理学により論理的に実証されている「目標設定」を取り入れることが、上達への効果的な取り組みと言えます。

この記事では、ゴルフの上達にかかせない「目標設定の基本」を解説・おさらいします。

他サイトでも「レッスン後のお悩みを解決!」という記事で運動学習や目標設定について紹介しています。興味がある方はぜひ合わせてお読みください。




目標設定の流れ

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ゴルフで上達したいのであれば、目標を必ず達成できるような目標設定の仕組みを作ることがとても重要です。

この記事では実際に筆者がアメリカ留学時代に行っていた目標設定方法を解説します。

アウトラインは下の画像の通り。
これをゴルフに当てはめて考えていきます。

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目標設定のサイクル


①現状をデータで客観的に自己分析する

まず確認したいのが、基本スタッツなど現状の客観的データです。

以下の項目をチェックしましょう。

  • ハンディキャップや平均スコア

  • 番手別飛距離

  • フェアウェイキープ率

  • 1ラウンドのバーディー・パー・ボギー・ダボの数

  • パーオン率

  • 平均パット数

  • 150y・125y・100yのショットで、ピンまで何ヤードにつけられるか?ショット力を「平均◯◯ヤード」と数字にする

  • グリーン周りのアプローチでピンまでどれくらいの距離につけられるか「平均◯◯ヤード」と数字にする

  • 月のラウンド数、毎週と毎月の練習時間と球数

②目標スコアの設定

目標スコアを決めます。
例えば現在の平均スコア95とします。
2年後の目標が平均75、1年後の目標が平均85、半年後の目標が平均90と、長期・中期・短期の目標を決めましょう。

③必要なスコアを細分化する

目標スコアを達成するための因子を考えます。

  • バーディーは何ホール必要?パーは何ホール?ボギーは何ホール?

  • パーオン率

  • フェアウェイキープ率

  • 平均飛距離

  • ショットの精度

  • パット数

  • スクランブリング などなど

例えば、平均スコア90が目標の場合、ボギーペースで回れればOKなので、パー3ホール、ボギー12ホール、ダボ3ホールが十分な目標と分かります。

となると、40ヤード以内のショートゲーム力も必要だと分かります。パー4なら2打、パー5なら3打でグリーン周りに運べればOK。ピンまで40ヤード以内から3打で上がれればOKと考えられます。

【ポイント】

現実的に考え、プロのような理想のゲーム展開を考えないようにしましょう。

目標が平均スコア90であるなら、フェアウェイキープ率やパーオン率を上げる意味はほとんどありません。ティーショットは前へ打てる場所へ運べばいい、グリーンを狙うショットは3打で上がれるとこへ打てばいいだけなのです。そして、スコアメイキングの鍵はミスを大ミスにしない、ある程度のショートゲーム力です。

④スコアダウンの要因を洗い出す

どんなミスがスコアダウンの邪魔になっているか考えます。これがなければな〜という、ダボやトリなどビッグスコアに繋がる致命的ミスを考えます。

例えば、2連続OBやチョロ、バンカーのホームラン、4パット、ドライバーのプッシュスライスや、ウェッジでのとんでもない引っ掛けなど。

【ポイント】

ラウンドで頻繁に起こる大きなミスショットを思い出すとき、「なぜそこから打たなければいけなかったか?」も考えてみましょう。

3〜4パットにつながる超絶ロングパットが残ったのであれば、そこに打ったショットも問題ですよね。同じくバンカーでホームランしたなら、バンカーショットも問題ですが、そもそも難しいバンカーに打ち込んだことが原因です。

これらはスイングのせいなのか?アライメントの取り方のせいなのか?コースマネジメントのせいなのか?ショットに集中できていなかったせいなのか?

プレーの難易度が上がってしまうエリアへ打たないためにも、易しく攻略するためにも、ある程度のコースマネジメントスキルは必要です。

⑤ ④の原因を探る

④であげた頻繁に起こるミスショットは、どんなインパクトの状況が原因になっているのか考えます。

【頻発ミスが球筋の場合】

例えば、プッシュスライスならインパクトでフェイスがクラブ軌道より右に向いたり、トウに当たることが原因だったりします。ウェッジの引っ掛けならヒールヒットやクラブ軌道よりフェイスが閉じていること、鋭角な入射角が原因として考えられます。

【頻発ミスがショットのバラつきの場合】

アマチュアゴルファーの方向性がバラつく原因No.1は、打点がまばらで安定しないことが考えられます。この原因を特定しましょう。

もし自分でわからない場合は、ゴルフコーチ(専任、お近くの、誰でも可)やゴルフ仲間に相談してみましょう。

※マネージメントやアライメント、ラウンドの集中力のコントロールなどは、また別のカテゴリーです。これらは戦術にあたるので、ゴルファーの自主的な勉強が必要になります。

⑥ ⑤を引き起こす動作を洗い出す

例えば、ダウンスイングで起き上がり手元が高くなることによるプッシュスライスなのか?、切り返しで手が体から離れアウトサイドへ急激に動くためインパクトで振り遅れフェイスが開く右サヨナラなのか?、トップでクロスシャフトになりフェイス大開きの右ミスなのか?などなど。とにかく色々なケースがあるので、スイング動画を分析し、特定しましょう。

【ポイント】

⑤と⑥は分けて、情報を整理しながら順に考えましょう。

⑦これらを踏まえて目標設定トレーニングプログラム(byマートン)に沿って目標を立てる

手順はこちら
↓ ↓ ↓ ↓ ↓ 



目標設定トレーニングプログラム 

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⑴目標設定

【ステップ1:課題分析】
 
自分に必要なスキルをパフォーマンスで記述していきます。簡単に箇条書きでリストにしましょう。


【ステップ2:パフォーマンス測定】

ステップ1のパフォーマンスの現状を具体的に測定します。弾道解析機のデータやスイング動画を確認し、実際にショットテストをおこない現状を記述します。

主観的評価(感覚)の場合は簡単に%など数値をつけて定量化します。定量化できると後々比較することができます。「こんな感じで振ってこんな数値・見た目」のように、主観と客観をセットで記録できるとなおよいです。

例えば、「ダウンスイングで手が腰を過ぎたら、通常より50%クラブを寝かせる感覚で振って入射角-7度」のようにメモします。



【ステップ3:目標を設定する】
(以下の項目を厳守)


  • 結果でなく内容を重視した目標を設定する。

  • 挑戦的な目標

  • 現実的な目標

  • 具体的な目標

  • 短期的な目標


【ステップ4:目標の順位づけ】


重要な順に優先順位をつけます。スイング改造であればバックスイングから順に優先順位をつけ目標を構造化しましょう。

例えば、「体の重心の位置の移動(前後左右上下)> ハンドパス > 手首やシャフトの角度 > 体の回転 > フェイス向き」のように課題には効率よく成果を出せる取り組む優先順位があります。

また、「バックスイング > ダウンスイング > フォロースルー」の順で優先順位をつけることもできます。

クラブヘッドがどえらい方向に動いているのにも関わらず、「もっと地面を蹴って地面反力を高めたい」や「腰を切るように素早く回したい」など、重要性・緊急性・効果の低い課題に飛びつかないためにも、優先度を明確にして構造化することが大切です。



【ステップ5:協調】
 
ゴルフは個人競技ですが、他者と協力して目標を達成しましょう。

  • チームメンバーやコーチと相談
    例えば、スイングの改善に向けて、コーチとの練習やフィードバックを受けるなど。

  • 他のゴルファーと競う
    目標達成に向けモチベーションを高めることができます。例えば、ラウンドでマッチゲーム、練習でターゲットゲームをするなど。

  • グループでの目標設定
    共通の目標に向かって取り組むことで、協調性を高めます。例えば、チームメンバーやゴルフ仲間とスコアアップを目指すのであれば、共に目標を設定しプロセスを共有することができます。

  • コミュニケーションの改善
    仲間やコーチとのコミュニケーションを密にし、目標に向かって取り組みます。フィードバックをもらった際には、適切に受け止め改善したり、感謝の言葉を伝えましょう。


⑵積極的に目標を目指す

ここからは、この挑戦的・現実的・具体的な目標に対し自分がどれだけ努力するかが問題です。

目標を立てるために、コーチや周りのゴルフ仲間の助けを借りたとしても、最終的には「自分が自分で目標を立てた」という事実が重要です。

これは、主体的決定の意識が自分の行動へ責任感を持たせ、結果として努力につながるためです。また、家族や友人など周りの応援や理解も得られるように相談し、激励・成長を期待するようなコミュニケーションをお願いしてみましょう。


⑶活動計画

目標を日々の練習やラウンドにどう関連づけていくかが大事です。
 
目標に対して自分が納得・承認できていないと、目標設定の効果は半減してしまいます。
 
ラウンドでは、そのラウンドの目的を明確にしましょう!スコアを出す目的なのか、練習場のスイングをコースでも再現できるようにする目的なのか、プリショットルーティンやメンタルマネジメントに集中するのか、とにかくラウンドの目的を明確にし、その目標に対してどうだったかアセスメントしましょう。


⑷フィードバックを与える

結果の知識はスキルを上達させる基本的な要因です。

試合やラウンドの結果・スコアだけでなく、具体的なパフォーマンス、パフォーマンスに関連する過程にもフィードバックします。

今の課題と関係しないことに目を向けないようにしたり、他者と自分を比較せず、過去の自分と今の自分を比較しましょう。




さらに実効を上げる目標設定のポイント

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⑴目標の意義や具体性

あなたは何のためにゴルフをしますか?
ゴルフで何を達成したいですか?

つまり、ゴルフで何を追求するか、というテーマを明確にします。心の健康?人としての成長?ストレス発散?メンタル強化?など人によって多種多様なテーマがあると思います。

私は、ゴルフが純粋に好きであり、自分への挑戦と成長のためにゴルフをしています。

⑵目標の具体性

とにかく具体的な目標であればあるほど効果的です。

  • いつまでに特定のスキルを向上させるなど、時間制限と数値化で目標を設定。

  • 結果に執着しないよう、常に課題に意識を向ける。

  • 目標期間内に実行する課題を具体的にリスト化する。

これらにより、コントロール感や自尊感情の向上が促進され、目標へ向けての主要な課題の理解や実行が強化されます。 

例えば、今月はショートゲームの練習を5時間パッティングを2時間おこなう、など毎週の練習メニューに練習する課題を書き出して、取り組む時間を割り当てます。そして練習では、締めにショットテストを行い進捗度を計測します。

コースで練習の成果を発揮できたかどうかの効果測定とは別に、練習では練習の効果測定を行います。

⑶評価の具体性

評価しやすい仕組みを作る

スイングチェック、プロセスリストのチェック、スキルテストを取り入れる。%・角度・図表等を用いることができると最善のフィードバックになります。

例えば、やることをリスト化したり、現状の記録をするためにノートに書き込む癖をつけましょう。気分や感情で自分のパフォーマンスを評価しない、記憶を書き換えてしまわないためにも、ノートをつけてセルフモニタリングできると効果的に目標に向けて練習ができます。

⑷本人の納得性

取り組む本人が練習に動機づけられていないと意味がありません!目標設定や練習計画の作成に本人が関与し納得していることが極めて重要です。

「コーチに言われたからやる」ジュニアであれば「親に言われたからやる」など、課題の必要性や重要性に本人が納得していないと学習は望むように進みません。時間とお金がもったいないです。



初心者はライトな目標設定からでOK

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①GROWモデルを活用

「Goal」「Reality」「Option」「Will」を考えてましょう。

 あなたのゴールは何ですか?

 現状はどうですか?
 どんな選択肢がありますか?

 どう取り組んでいきますか?

②コースではプロセス目標=プリショットルーティンを活用しよう

ショットやラウンドの成功は、スコアや成績の結果だけでなく「プロセスのクオリティー」でも測定する考え方を学びましょう。

ショットの前、最中、後、何にフォーカスすればショットの成功率が上がるか?自分でショットまでのプロセスを組み立てましょう。

そのプロセスを信頼できれば、アドレスを構えたとき自分の頭の中や心を静かに保つことができるので、より無意識的にスイングすることができ、その結果、パフォーマンスの高い運動を遂行することができます。


おわりに

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今回はバージョン2として、詳細に解説してみました。

上達したいのであれば、言い訳要素を徹底的に排除して「やるしかない」環境を作ってください。

やるか・やらないか、上手くなるか・ならないか、全てあなたの行動次第です。


参考:スポーツ心理学ハンドブック、Sports psycology - A Complete Introduction 、Motivation Theory

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