旅は道連れ
WBCのイタリア代表ベンチにエスプレッソマシーンがあることには驚いた。が、今は納得している。
4月最後の日曜日、快晴の下、手にしていたのはこの3時間で3杯目のエスプレッソだった。
昨晩から同室のブレシアーニ2人と朝ご飯に行こうとなってカフェに入ったのが10時過ぎである。ここでモーニングエスプレッソを1杯。それからそれぞれ今日は何をするのかという話になった。私が「『エミリー、パリへ行く』のロケ地に行こうと思う」というと、「私も」、「私も」とそのまま全員で行くことになった。しばらく歩いたところで、3人ともトイレに行くためカフェに入ることになった。ここで2杯目のエスプレッソである。とにかくパリの街は歩いていて楽しい。3人ともそれぞれの生活のことやこれからのことなどを話しながらワイワイと歩いた。無事にロケ地の撮影も終了し、ランチを食べてから、さて。ブリシアーニたちは「ランチが終わったらカフェが必要」とウキウキと言った。驚きながら感心していた私は「もういらない」と2人がカフェテリアに入っていくのを見送って、カウンターでオーダーする彼女らの姿を写真に撮ったりしていた。つまり、私が飲むのは2杯のはずだったのだ。けれど口をへの字に曲げながら出てきた1人が言った。「あつこ、デカフェだと飲めるよね?」「うん、どうしたの?」「オートミルクって言ったのにホットミルクになっちゃったの」
これがこの日私が3杯目のエスプレッソを手にした経緯である。
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