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3歳からのブレない思い

 「あかんわ。」珍しく否定から始まるのは、母が「かわいいやろ?」と見せた通販サイトの画像である。うん、確かにかわいい要素は分かるのである。キラキラしていて、イラストもポップ、パンっとふくらんだアルミ風船は確かに可愛い。けれど、けれど、私はやっぱり風船は飛んでいる姿が1番好きだ。母から見せられた風船の写真は棒がついて飛ばすというよりも持つタイプのようだった。母は風船であれば、飛んでいなくても壁に付けてデコレーションされているのを見ると嬉しくなるらしく今年は長年やってみたかったという、風船のガーランドを赤と白で作りクリスマスの飾りとして教室に飾っていた。確かにかわいかった。けれど、母と同じくらいの声の高さでかわいい〜とは言えなかった。風船はできれるだけ高く飛んでいてほしい。母がたまにする私が3歳くらいの時の話がある。ディズニーランドはワールドバザールでおそらく今でも販売している風船。お姉さんやお兄さんが飛んでいけそうなくらいの量を持って販売している(あの光景は今でもワクワクする)。3歳の私はそれを欲しがった。買ってもらって私は嬉々として受け取った後、どうやらすぐに手を離してしまった。それを見ていた風船売りのお姉さんは、かわいそうにと素敵なホスピタリティーで、もうひとつ、とおまけでくれた。再び嬉しそうに受け取った私は、またすぐに手を離してしまった。それを今度は風船売りのお姉さんが見事なジャンプでキャッチしてくれた。良かった良かったと大人たちが安堵し、みんなが私の「ありがとう」という反応を期待した瞬間、驚きの展開になる。「あ゛ー!!」。私は怒り出したのだ。せっかく飛ばしたのにどうして取っちゃうんだ、ということらしい、とその時わかった大人たちは結局受け取った風船とその風船を飛ばしたがる私を抱えながら急いでその場を退散。駐車場についてから私に風船を飛ばさせたそうだ。この話、変な話だな。と思っていたが、今回、飛んでいない風船にどうにも魅力を感じないと気づいて、物心がつく前から、どうしても風船には飛んでいてほしいと思っていることが分かった。母と共に深く納得した。

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