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tightrope
目に見えない透明なロープの上を、恐る恐るバランスを崩さないように進む。誰に渡されているのかも分からないまま、振り返ることのできない綱渡りをしている。ただひたすらに。我武者羅に。
この先に一体何が待ち受けているのかも、一体何から追われているのかも分からないまま。
少しでも立ち止まってしまえば、底の見えない闇の中へと、あっという間に吸い込まれてしまいそうで。
ゆらゆらと右に左に揺れながら、どうにかここまでやってきたけれど、ここが真ん中なのか、まだスタートから数メートルなのか、はたまたゴールはもうすぐなのか。
そんなことすらも全く分からない。自分がどこにいるんだろうと、ただ暗闇の中で自問自答を繰り返すばかりだ。
何を目指して進んでいるんだっけ。いっそ、このまま落ちて行けたらどれほど楽になれるんだろうか。二度と登って来れないほどの深い深い闇の底へ落ちてしまえば、果たしてそこが終わりなんだろうか。
しんどくて、つらくて、辞めたくて。それでも歩みを止めることのできない綱渡りを、一体いつまで続ければいいんだろうか。
何度も辞めようとした。もう無理だって、そう言おうと何度も思った。だけど、君は、
『 』
と、声を掛けるんだ。それだけで、瞬間にあぁ、と真っ暗な世界に明かりが灯る。
十分頑張ってるはずなのに、その一言だけでまた一歩、どんなに小さな歩みだったとしても前へと足を運べてしまう。
君はたまらなく酷くて、何より愛しい。
きっと、ゴールの先には笑顔の君がいて、優しく抱きしめてくれるに違いない。束の間の煌めく華やかな世界の中で、君と2人。
例え、どれほど僕が醜くて、酷い姿になったとしても君がいる。ねぇ、そうでしょう?
理由なんて、ただそれだけなんだ。
君のために頑張れる。
君がいるから頑張れる。
だから今日も、明日も明後日もその先も。
終わりの見えないタイトロープを続けよう。
君のための頑張りを、きっと受け入れてくれるはずだから。
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