見出し画像

安倍元総理大臣暗殺事件に対する一東大院生としての感想

 私は臆病なので自分の政治的立ち位置を明らかにしたくない。簡潔に言えば支持政党を表明したくない。しかしながら、今回の事件は歴史的事件であり、感想を記録しておくことは何十年後かに史料として役に立つであろうから、書ける範囲で書く。この記事は2022年7月9日に書かれている。

当日の私

 その日は友達とご飯を食べる約束があったためお昼の12時少し前に出かけた。安倍さんが倒れたというニュースはtwitterのニュースで知った。その後、吉田寮祭に行き、そこでまたtwitterのニュースで安倍さんの死を知った。

 私個人として驚きはあまりなかった。歴史上、政治家が暗殺されることはよくあることだし、安倍さんは一部の人たちから大いに恨みを買っていることはよく知っていた。国会において対話機能が縮小されていることや、三権分立があまりよく機能していない今、暗殺によって政局を変えようとする人はいてもおかしくないと思っていた。

 まあしかし、現在報道されている限りでは犯人の動機は政治的恨みではなく特定宗教団体への恨みが理由らしい。警察発表がどれだけ信用に足るものかよくわからないが参議院選の後にもう少し情報が出てくるかもしれない。

twitterでの大衆の反応

 結構みんなこの事件について言及していた。ちなみに参議院選を2日後に控えているという状況は忘れてはいけない。

 安倍さんに好意的な発言が多く見られた。死んだ人の悪口を言うわけにいかないからそれはそうなるが、「追悼いたします」だけではなく「偉大な指導者」や「国のために働いた」などポジティブな言葉が枕詞にくるツイートが多かった。

 もちろん、安倍さんに好意的でなかった人たちは、数々の疑惑や虚偽答弁などを思い出しながら結局生きて本当のことを聞き出すことができなかったことを悔しがっていた。ただし、そのことを声を大にして言うと叩かれる空気感は今現在ある。

 いずれにせよ普段政治に関心のない人まで、みんながみんな自分がどう安倍晋三元首相を見てきたかということを表明したのは興味深い。

 私が大衆と意見を異にすることとしては、この事件は実は大したことがないということである。twitterでは驚きの声が多く聞かれ「民主主義が崩壊する」などと言われている。

 しかし、私としては、暗殺なんていうのは政治ではよくあることであり特段驚くべきではないと思っている。私は京大出身であるからして昔の政治の血生臭さをよく聞かされている。政治で人は死ぬ。武器は使用される。

 なんなら政治で人が死ぬ事件なんてここ10年でもいくつかあったはずだ。民主主義の危機を煽るべきトピックはほかにもいくつもあるし、今回のはそのうちの一つでしかない。

 もちろん、この事態は歓迎すべきことではない。しかし、日本において格差社会や低成長時代が続いている以上、治安感が逆行していくことは何ら驚きではない。

 日本はこれからどうなっていくのだろうか。私としては三権分立を取り戻し、むちゃくちゃな憲法解釈をしないことが民主主義において大事だと思っている。そして、私はそれを意識した投票行動を取る。

補足:twitterでは左右ともにカルト的な発言(デマ・風説の流布・ただの誹謗中傷)などが見られたが、その辺の考察は書く価値もないので無視する。

未来予想

 大して政治自体は変わらないのではないだろうか。明日の選挙、「自民に同情票が集まって圧勝する」とか言われているがいつもと同じような議席配分になると予想している。全体の投票率は上がるだろう。

 改憲勢力におけるもっとも力強い人物がいなくなったということで改憲は次の大戦や災害などで民主主義プロセスが放棄されるまで実現しないだろう。はてまた、自民党改憲案を大幅に書き直して国民の理解を得て改憲が行われるかもしれない。

 1ヶ月後の予想としては、安倍さんを国葬するかどうかで揉めると思う。

 それくらいだ。

 

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?