メルカリ

メルカリのようなサービスを、10万円で作る方法を考えてみる

このnoteは、プログラマでない方でも、下記のようなメルカリ風のサービスを簡単に1時間でつくる方法を書いています。

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はじめに

「メルカリみたいなサービス、どのくらいで作れる?」

プログラマを生業としている方なら一度はこう尋ねられたことがあるのではないでしょうか。メルカリでなくてもUberやAirbnbだったりするかもしれません。いずれにせよ、話題のサービスを引き合いにだして、少しコンセプトを変えたサービスを作りたいといった相談をされたことのある方は多いのではないかと思います。

この問いに対して

「いやいや、メルカリ作るなんてどのくらい費用がかかると思ってるんですかー」

と、かわすのもいいでしょう。まともに作るとしたら初期バージョンでも数百万〜の規模になる可能性があり、開発リソースを用意するのも大変ですし、一生懸命ヒアリングして見積もったとしても、そもそも相手にそれなりのやる気がないと企画倒れになりかねません。

僕に10万円くれたら1日でメルカリみたいなサービス作りますよ。

と、答えられるとしたらどうでしょうか。実用に耐えうる最低限のものだったとしても、一日で作ってリリースできたら…。気分は完全につよつよエンジニアです

実際のところ、システム開発しただけですぐにリリースできるわけではなく、法律周りや、マーケティングなどの開発以外のタスクもやらないといけませんが、従来の開発手法だと数ヶ月かかっていたところを数日レベルで開発する方法を考えてみましょう。

NoCodeでつくる

NoCode(ノーコード)という言葉を知っていますか?プログラムのコードを直接書かないで様々なアプリケーションを作ることのできるツールの総称です。

今までは何か新しいwebサービスやアプリを作ろうとしたとき、下記の2択が一般的でした。

- プログラマに頼んで作ってもらう
- プログラミングを勉強して自分でコードを書いて作る

しかし、NoCode系のツールを使うことで、第3の選択肢として

- コードを書かないでツールを使って自分で作る

ということが可能になりつつあります。

プログラマの世界では、人の10倍の成果をあげるプログラマのことを「10x(テンエックス)プログラマ」と呼んだりしますが、NoCode系のツールを使えば、圧倒的短時間で本格的なサービスを作れることから、時間やコストを10x削減できると言われています。

SlackやUber、Googleなどのプロダクトデザインを手掛けた Metalab のCEOで、世界最大のデザインコミュニティ Dribbble を保有しているアンドリュー氏もこう話しています。

いくつかの小さいプロジェクトをNoCoder達と取り組んでみたが、信じられないパフォーマンスを発揮してくれた。
彼らは開発に数週間/数ヶ月はかかりそうなソフトを数日で作り上げる。未来きてる。

というわけで、NoCode系のツールを使ってメルカリのようなサービスを立ち上げることができるか実際にやってみましょう。

つくってみる - Bubbleを使う

まずはBubbleというツールを使って作ってみます。Bubbleについては先週ちょうど話題になっていたこちらの記事で下記のように紹介されています。

「Webエンジニア不要。コーディングなしにWebアプリがつくれる」とうたうBubbleは、7年間のブートストラップの末に2019年6月に630万ドルの資金調達を発表しました。Bubbleはマウス操作で要素を画面に並べていくビジュアル開発環境をブラウザ上で提供しています。例えば、トップページにサインアップのテキストフォームを置く場合、ビジュアルな開発環境で表示されるチェックリストから、そのフォームの見た目や挙動を指定でき、その入力結果を入れるデータベースへのフローもコーディングなしで設定できます。すでにBubble上では23万のアプリが製作され、中には立ち上げ6か月でMRRで3万ドルを叩き出したBubble上のアプリ(Followup Edge)もあるといいます。彼らは、Bubbleを使えば、AirbnbやTwitter、Facebookのようなアプリがつくれる、とまで言っています(さすがに言いすぎだとは思いますが)。

Bubbleを使って作ってみた結果が下記です。

Bubbleの使い方は後日まとめるとして、実際に作ってみて思ったことを述べます。多機能で本当にいろいろなものが作れる汎用性の高さがあります。きちんと設計しておけば十分に本番サイトとして運用可能です。一方で、その分かなり学習コストが高いなと感じました。インターフェースが全て英語なので、英語が苦手な方には辛いと思います。上記で僕が作ったメルカリのようなサービスも、暇なときに進めていたとはいえ、なんだかんだで一ヶ月ほどかかったような気がします。とはいえ、プログラミングをゼロから学んでサービスを公開できるレベルにまで持っていく期間と比べたらはるかに短時間で扱えるようになると思うので、プログラマになりたいわけではないけど、いろんなwebサービスを作って公開したいという方にはおすすめです。

つくってみる - Glideを使う

次に、Glideというサービスを使って作ってみます。Glideは日本でもたびたびバズってますが、スプレッドシートをデータベースがわりにして驚くほど簡単にwebアプリが作れるツールです。実際に作ってみた結果が下記になります。

Bubbleと比較すると制限はかなり多いですが、本当に簡単にそれっぽいアプリを公開することができます。メルカリのようなサービス以外にも、下記のようなシティガイド系サービスもすぐに立ち上げることができました。

Glideも英語のツールになりますが、ドキュメントが丁寧に書いてあり、動画もわかりやすいので短時間で扱えるようになると思います。実際に制作していくと、細かい部分の機能が足りなかったりしますが、裏側がスプレッドシートになっているので、スプレッドシートの関数をうまく使ったり、シートやカラムを編集用/表示用と分けたり、Zapierなどと連携させることで実現できることの幅が広がります

Glideはまだ新しいサービスなのでものすごい勢いで機能が追加されたり、いろいろと調整が入ったりしています。

今回の目的であるメルカリのようなサービスを作るには厳しい部分がある(特にユーザー登録部分がかなり厳しい)ように感じましたが、とにかく勢いがあるので今後に期待のサービスです。

つくってみる - ARCADIERを使う

BubbleやGlideは何でも作れる一方で、CtoC型マーケットプレイスのような大きめのシステムをきちんと作ろうとするとそれなりに工数がかかります。もっと短時間で作る方法として、CtoCマーケットプレイス制作特化型のツールを使ってみましょう。下記のようなサービスがあります。

今回はARCADIERというサービスを使ってみます。実際に作ってみた結果と、作り方の詳細を「NoCodeスクール」というYouTubeチャンネルを開設してアップしました。

さすがに特化型のサービスというだけあって、1時間くらいでメルカリのようなサービスを立ち上げることが可能です。メルカリ以外にもAirbnbやスキルシェア系のサービスを立ち上げることができます

というわけで、NoCode系のツールを使えば1日もあればメルカリのようなサービスを立ち上げることができることがわかりました。

NoCodeの海外での盛り上がり

もう少しNoCodeのトレンドについて書いてみます。

2019年頭に世界最大のプロダクトランキングサイト、ProductHuntの創業者であるRyan Hoover氏が、The Rise of “No Code” - NoCodeの繁栄 - という記事を書きました。

昔は、単純なwebページでさえ、長い時間をかけてプログラミングを勉強したごく少数のITエンジニア- webmasterと自称していた - のみが公開できるものでした。Dreamweaverやホームページビルダーなどを使ってコーディングなし作る方法もありましたが、せいぜい会社HPなどを作る程度だったのがおよそ20年前の話です。その後、webの進化によって、NoCodeでより高機能なものを短時間で作れるサービスが大量に生まれました。記事内でも、下記のようなNoCode系のツールが紹介されています。

- 管理画面付きの美しいウェブサイトはWebflowで。
- ECサイトはShopifyで。
- ショップ用のFacebookメッセンジャーBOTはOctane AIで。
- ウェブアプリケーションはBubbleで。
- モバイルアプリはThunkableで。
- ボイスアプリはVoiceflowで。
- 複雑なwebシステムはZapierとAirtableの組み合わせで。
- シンプルなwebページはCarrdで。
- 有料のニュースレターはSubstackで。
- ブラウザ上にAR/VR/3D体験を組み込みたいならScapicで。
- オンラインマガジンはReadymagで。
- Googleスプレッドシートからウェブサイトを作るならSheet2Siteで。
- 社内ダッシュボードはRetoolで。

これらはごく一部にすぎません。さらに、これらのサービスは独自で、もしくはZapierやIFTTTなどのiPaaS(Integration Platform as a Service - 各プラットフォームを統合するサービス)系のサービスを通して相互に連携することができ、より複雑なシステムも実現できるようになってきています。

日本ではまだあまり認知されていませんが、海外ではNoCode関連の様々な活動が起こり始めています。

NoCodeZeroqodeMakerPadでは、NoCode系のツールの紹介や、それらを使ってさまざまなサービスを作る方法がまとめられています。他にも、NoCodeで受託開発を行うビジネスが生まれたり、1000人以上の開発者がコーディングなしでプロダクトを開発するProduct Hunt Makers Festivalが開催されたり、先週はWebflowが主催となって「No Code Conf」というカンファレンスが開かれました。

MicrosoftもNoCode系ツールを開発しており、今月開かれたMicrosoftのディベロッパーカンファレンスでサティア・ナデラCEOがNoCodeについて語っています。

Microsoftのノーコード(ローコード)開発環境を使う市民開発者の数は250万人
これは今現在の数です。Microsoftのパワープラットフォーム(Power Apps, Power BI, Flow 改め Power Automate など)はノーコード(ローコード)開発環境です。それを利用してビジネスアプリを開発している人の数が今現在でもそれだけいるということです。
Microsoft以外のノーコード開発環境も含めての話だと、どうなるかは分かりませんが、その数は増えることはあっても減ることは無いと思います。ビジネスアプリの増加率を単純に当てはめても4,5年後には市民開発者の数は(Microsoftのパワープラットフォームだけでも)1700万人という計算になります。

ほかにもガートナーによる2020年のトレンドデータについてNoCodeについて触れられています。

専門性の民主化
民主化では、技術的な専門性 (MLやアプリケーション開発など) またはビジネス分野の専門性 (セールス・プロセスや経済分析など) といった専門家でなければ難しい分野に、より簡単にアクセスできるようにすることに重点が置かれます。劇的に簡素化されたエクスペリエンスを通じて、広範で高コストなトレーニングを受けていない人にもそうしたアクセスを提供することが民主化の目標とされています。民主化の例としては、市民アクセス (市民データ・サイエンティストや市民インテグレーターなど)、市民開発とノー・コード・モデルの進化が挙げられます。

NoCodeとどう付き合っていくか

NoCodeの話題があがると、「プログラマ不要」といった強い言葉が使われがちです。マーケティング的に仕方ない面もありますが、不要な対立構造に惑わされず、楽しい未来を想像していきましょう。

プログラマへの多くの雇用を生んでいるユニコーンといわれる企業も、ローンチしたての頃はかなりローテクな技術を使っていました。

始まりはただのメルマガだったり、1枚のランディングページだったり、ただの掲示板だったのです。初期のフェーズでは立派なアプリや美しいデザインや、洗練されたUXが必ずしも必要なわけではないということがわかります。

NoCode系のツールが充実することによって、1枚のランディングページや掲示板を作るのと同じくらい簡単に、様々なスタイルのwebサービスを短時間で立ち上げることができるようになります。飲み会で友人と盛り上がって「〇〇版メルカリつくろうぜ」なんて話した次の日にはスタートアップとしてサービスをローンチできるようになるわけです。これってとても素晴らしいことだと思いませんか?

新しくサービスを立ち上げるときは、多くの場合、技術力よりもその市場に対する深い知見が大事になってくると思っています。プロの技術者が、その知見もなしにみてくれだけ立派なサービスを作っても、全く使い物にならない結果になることが多いように思います。webサービスを立ち上げるという行為が、技術者だけのものだった時代から、NoCodeトレンドによって技術者以外にも広がることによって、業界に対して深い知見のある方がローコストでサービスを立ち上げ、大きな事業となってさらにプログラマの雇用を生んでくれることを期待するのは楽観的すぎる見方でしょうか

いずれにしても、スタートアップや社内の新規事業において、収益がでないうちは投資も及び腰になると思うので、いきなりお金や時間をかけてサービス開発をしたりせず、まずはサクッと価値検証できる方法を探して試してみて、うまくいきそうだったらしっかりとプログラムを組んで開発という流れが理に適っていると思います。

僕自身プログラマではありますが、NoCodeのトレンドはエキサイティングな未来につながる思っているので大いに歓迎しています。そんな想いから、記事中にも掲載しましたが、プログラマではない方もサービス開発者になれるような動画を発信する「NoCodeスクール」というチャンネルを立ち上げました

日本でどのくらい需要があるかはわからないのですが、気になる方はぜひチャンネル登録お願いします。記事中ではあまり触れなかったBubbleやGlideについてもYouTubeにまとめていこうと思っています。twitterの方でも発信していきますので、よかったらこちらもフォローお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

僕の他のnoteの記事も3記事で13万回以上読まれているのでよかったらどうぞ。


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ありがとうございます!
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ベトナムで開発会社を立ち上げて7年目。日中は経営とチーム開発、夜は個人開発者としてエンジニア向けの英語学習サイト エンジリッシュ https://e-lish.io や日程調整アプリ アイテマス https://aitemasu.me 作ってます!

コメント2件

あ、そうなんだと。目からうろこが落ちました。貴重な情報ありがとうございました。
ツール活用して、開発手伝ってくれる人を探したいです。
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