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それでもどうしようもなく愛おしい世界のこと
由比ヶ浜まで徒歩数分の宿を取った。
なんとなく、このタイミングで朝日を見に行くことに意味がありそうな予感はしていた。
太陽におはようを言われる前にベッドから抜け出して、やわらかな朝焼けと潮の香りがする風を感じながらしみじみ思った。
わたしは本当に「自然になりたいなぁ」って。
光とか風とか、自然がどうしようもなく愛おしくて幸せでいっぱいに満たされて。だけど、どうしてわたしは一体になれないんだろうって切なくて。泣いてしまう。
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今まで「写真が趣味です」と言うときに何となく違和感があるような気がしていたのだけど、カメラをいじるよりも「風景を見つめること」、さらに言えば「風景に溶けること」の方が多分ずっと好きです。
似たような理由で歌うのも好き。誰に聞いてもらうのでもなく、ただ自然の息づかいに合わせて歌うこと(時にはマスクの下でこっそりとね)。
音楽はいつもわたしの中で血潮のように流れているものだから、そのリズムが合わさったとき、今自然と一体になれているのかもしれない…と錯覚する。
いつか身体の期限がやって来てしまったら、淡い色となって、穏やかな音となって、海や風に溶けてしまいたいのに。どうしても身体という容れ物があるから、何も残さずに一体になれないことがやっぱり少し悔しくて切ないな。
それでもどうしようもなく愛おしい世界を見つめながら、今日も泣いて、歌って、シャッターを切っている。
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