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five realities 〜統合〜 (12)

深夜までのハードワーク

元々お酒が大好きで
部屋に戻り晩酌をすることが唯一の
やすらぎだった

飲まない日は
車を走らす
深夜に三時間四時間と平気で走る

高速で走る車
背景が後部に過ぎていく

瞑想時間

こんなに近くにいるのに
会えない彼

まだ努力が足りないの
私は間違っていたの

慕情と背徳

壊れていく

そんな中での覚醒

綺麗に着飾った花魁

逞しい男に抱かれ
歓喜の声を上げる女

一コマずつリアルに蘇る

フラッシュバック

輪廻転生

前世からの因縁に出会っていく
それは性別を問わず
過去生の恐怖を呼び覚ます

私はたくさん学んできた
あんなに辛く苦々しい感情

もう一度味わうつもり

今のあなたは違う

それは今世では
どんな結果であろうが
自尊心だけは傷つけない

自分を信じ続け
力を養っていくことになっていった

しかし
貯えもなくなっていく
笑顔が作り物になっていく

欠けていく

そんな時に
母と暮らすことになる

母はとても破天荒な人だった
二十歳の時に関西から家出をした

父と出会うまでは
何をしていたのかは知らない

私を筆頭に三人の子供を産み

四十四歳で亡くなった父

四十四歳で未亡人になった母

三十七年ぶりの同居
酒や賭け事
その場を言い繕う話術

私は昔から母が嫌いだった

だから父が亡くなり
直ぐに家を出て同棲を始めた

不安はなかったの

 勿論ありましたよ

それでも向き合わなくてはいけない
そんなことのように思えた

日を追うごとに
母に似ていく自分が呟く

コロナ禍でひっ迫していく家計
来月の家賃をどうしよう

そんなことが頭を過る

仕事から帰ると
ドレッサーの上に
たくさんの貴金属が置かれていた

 お母さんこれなに

 引っ越しの時に持ってきたけど
 使わないから

ビニール袋に無造作に詰め込まれた
どうみてもイミテーションの様な代物
金の鎖
宝石が取れた指輪

それでも売りに行った
信用してなかったから
鑑定までの時間は買い物に出た

ゆっくりと店に戻ると
数十万のお金が用意されていた

困ったときには
どうにかなっていく

必要なお金や物質
情報
そして助けてくれる人が現れる

そして
何も言わないのに
タイミングよく
助けてくれる母の存在を
不思議に思った瞬間だった

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