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盛欲3

 豊田駅に着いてから少しお腹が空いた為、駅の近くにあるセブンイレブンでサンドイッチを買った。今日はとんかつサンドを買った。僕がセブンに行ったら必ず買う食べ物ベスト3に入っている程美味しい物だ。これが陳列されていなかった日は、萎えすぎて学校の課題はおろか、オナニーさえする気がなかったくらいだ。

コンビニの食品はよく添加物が沢山入っていて体に悪いと言われている。これは少し昔にも言われていたことだ。勿論僕は高校生になってから食生活を見つめ直したりしてなるべくコンビニに行かないようにしているし、食べるなと制限されても殆どの食べ物は食べなくてもいいやと思える。だが、とんかつサンドだけは食べたい。どうしても食べたい。これだけは譲れない。これからもセブンイレブンの食品で一番好きというのは変わらないだろう。

体に悪いと自分の頭で理解していながらとんかつサンドを口に頬張った時の背徳感の味を忘れられないからだ。値上げで税込420円と高くなっていたが、そのお金を払ってでも食べたいと思えるものだ。かと言ってそこまでとんかつサンドを頻繁には食べていない。舌がとんかつサンドしか受け付けず、他の食べ物を食べてもその食感を感じられなくなるからだ。

とんかつサンドよりも美味しい食べ物は沢山あるし、一つの味に固執していたら舌が馬鹿になりそうだ。特に味が濃いものを常に口に入れていては他の食べ物の味に何も感じなくなり、食生活に悪影響が出そうだから、こういった嗜好物はなんか無性に食べたくて食べたくて仕方がないなって時や半年以上の時間を空けて食べるのが丁度いい。

 とんかつサンドを余すこと無く完食して店に行こうとした時なんだかトイレをしたくなった。
うんこと小便の両方だ。もうとんかつサンドを消化したのかと自分の消化器官に感動した。
「え、家出る前に行ったのにまじか〜」と自分の膀胱付近に右手を添えながら言葉を口にした。
「頼む!俺の膀胱もう少し耐えてくれ〜」といるか分からない膀胱の神様にお願いした。僕は幼い頃からトイレが遠い人間だったと母がよく言っていたのを思い出した。そういえば小学生の時も学校のトイレをあまり使った事がないかもしれない。使う時は大体、うんこが漏れそうであと小さい刺激で肛門から出てしまう時や、小便を4時間くらい溜めてもう我慢できない時にしか使わなかった。勿論、常に危機的状況下でしかトイレを使う事はなく、友達と連れ小便に行く時や、「あ、この放課中にトイレ済ませないとやばいかも」って時は行く。それでも普通の人達よりはトイレが遠かったのかもしれない。

 駅の改札を出て真っ直ぐ先に橋があり、その橋からイオンが見えた。そこなトイレに行く為駅に続く橋を渡った。駅近くは雑踏が凄い。その雑踏の濁流に飲み込まれないように足を一歩一歩強く踏み出した。橋から見る景色は壮観までとは言わないが、その時の僕では言葉に表せないような景色をしていた。必死に言葉を探した結果、天晴れという言葉しか言えない。いや、その言葉しか出てこなかった。ちょうど太陽の日差しが照らし僕の視界を奪う。今日の快晴空はデリカシーはないが何だか憎めないような親友に似ていた。その親友は中学生の時にいた奴で、そいつが何かやる時は周りに人がよく集まるくらい人望や信頼が厚い奴だった。高校は離れ離れになって大学は理系の大学に進学したらしい。今あいつは何してるんだろうか、もし会ったらこう言ってやりたい。
「エッチは気持ちいぞー」ってね。


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