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[抜粋] 一次情報がすべて。腹落ちしないとやらない。 | 10Qs to 黒川恭(207)

本記事は浅香がMedyで執筆した記事の一部を抜粋して転載したものです。Medyに登録いただくと無料でニュースレターの運営も可能です。https://medy.jp
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ー メルカリ,nana musicを経て、207社で1人目のプロダクトマネージャーを務める黒川恭さんに10個の質問に回答いただきました。

10 Questions to Product Manangers は、Medyを運営するSpectra浅香がプロダクトマネージャーの方に「キャリア」「初期の学習方法」等、10個の共通質問をインタビューし、プロダクトマネージャーに対する理解を深める連載企画です。

今回は、メルカリやnana musicを経て、207でプロダクトマネージャーを務める黒川恭さんへのインタビューとなります。

CSからのプロダクトマネージャーへのキャリアを経て、物流・ラストワンマイルという社会課題に挑む中での気付きやこだわり、デジタル化・DXの意味について等お話いただきました。

Profile

黒川 恭 (@kyo_kurokawa)

新卒でメルカリに入社し、「メルカリ アッテ」「メルチャリ(現・チャリチャリ)」などの新規事業を経験。シェアサイクルサービス「メルチャリ」ではオペレーション・CS部門の統括担当として立ち上げから1都市1,000台の展開、月間80,000ライドのグロースまで運営に携わる。

その後はnana musicにて事業責任者 / プロダクトマネージャーとして、複数の事業の立ち上げを経験。現在は物流のラストワンマイルを手がける207株式会社にてプロダクトマネージャーを担当。


10 Questions

Q1:Role (担当・役割)

207でプロダクトマネージャーをしています。11/1に入社したばかりです。

207社は、物流におけるラストワンマイル(地域の配送拠点から個人宅に荷物が届くまでの区間)の課題をテクノロジーの力で解決する会社で、2018年に設立されました。

「受取人向け」「配達員向け」「物流業界向け」「荷主・宅配業者向け」といった各プレイヤーに向けたソリューションを提供しています。

現在は、業務委託を含めて30名弱ほどの組織で、プロダクト開発に携わるメンバーは15名程度となります。

1人目のプロダクトマネージャーとして入社したため、プロダクトに関連する意思決定や実行の殆どの範囲を担っているような状態です。

1:事業・プロダクトの戦略

  • 経営メンバーと長期的な戦略を作成

  • そこからプロダクトロードマップを引く

  • 該当するKPIの設計

2:プロダクトの具体を決める

  • 各機能をなぜ、どう作るのか

  • 優先度の決定

  • 仕様やデザインの作成

3:実行・管理

  • Sprint管理

  • データ分析

などが、主な仕事です。

プロダクトマネージャーが社内にいなかったときは、開発メンバー間で口頭や暗黙知によって進んでいくことが多かったのですが、継続可能な状態を目指して、開発プロセスの定義・整理やデザインシステムの作成、ドキュメンテーションといった基礎部分から取り組んでいる最中です。

Q2:Background (キャリア・経緯)

学生時代から、プロダクトマネージャーやインターネット企業の企画職に就きたいと考えていました。

就活でも希望とする職種で内定をもらい、大学4年の春には一度終了していたのですが、夏頃にメルカリを知り、非常に魅力を感じ「入社してみたい」と思うように。

とはいえ、当時(2016年)は新卒採用がまだ開始したばかりで、インターン経由や実務経験のある即戦力のみを募集しているといった状況でした。

どうにしかして入社できないかと、イベントに参加したりHRの方に会いに行ったりを繰り返していたところ、「そこまでの熱意があるならCSか広報で、面接を受けてみたらどうか?」と打診いただき、その後オファーをもらいました。

一方で、希望とするプロダクトマネージャーではなかったので、非常に迷ったのは事実です。色々な角度で考え、今(2016-2017年)のメルカリに入れるのは今だけと思い、最終的にはCSとして入社を決めました。

また、気持ちは変わらなかったので、入社後も周囲に「プロダクトマネージャーになりたい」とは常に言い続けていました。その結果、CS業務に留まらず企画のディレクションなど、多くのチャンスをいただくことができました。

特にメルチャリ(現チャリチャリ)の立ち上げにアサインされたことは今に繋がっていると思います。

メルチャリでは、お問い合わせ対応の実務からは外れ、自転車の配置のため需給の最適化や、そのためのオペレーション構築の担当になりました。明確に職務が変わったタイミングです。

いわゆるオペレーションマネージャーとして、以前に比べプロダクトや事業の中心の業務を担うようになりました。

優秀なメンバーと仕事をする中で成長は実感していたものの、2.5年程度経過してくると「もっと事業の重要な意思決定をするポジションにならないといけない」と感じ、3年目にnana musicに転職します。

nana musicでは、肩書もプロダクトマネージャーになり、新規事業を責任者として2つほど担当しました。

組織規模が大きくないこともあり、コードを書く以外は担当したかと思います。使ってくれるユーザーは増えていく一方で、ビジネス化が難しいといったような苦悩も多かったです。

元々、音楽をやっていたのと自分自身もnanaのユーザーであったので、非常に楽しく、やりがいも感じていたのですが、「人々の生活を変えるプロダクトづくりをしたい」と思い、207年に先日転職しました。

Q3:Definition (定義)

過去に回答されていた方々も仰るように、非常に難しいなと思います。会社によっても、かなり違う印象があります。

個人的には、プロダクトのすべてに責任を持つ職種かなと考えています。

一時期に言われていた、"ミニCEO" のイメージに近いかもしれません。

プロダクトを成功させるために必要なことを全てやる人というイメージです。

また、先日公開されていたドクターズプライム髙橋さんの記事を読んで、満たすべきトライアングル(*)において「特にBusinessに責任を負うべき」という点には、非常に共感しました。


(*)満たすべきトライアングル

ITの事業会社において、特殊なケースでない限りは、基本的にはデジタルプロダクトが事業や競争優位の中心となり得るかと思います。

そういったケースでは、プロダクトの成功 = 事業の成功となるので、プロダクト側でビジネスをどう成立させていくかは、より求められることになります。

たとえば、100万人のユーザーがいても永続的に赤字で黒字が見えないようなプロダクトは、成功とは言えないと思います。

過去に自身が担当したプロダクトでも、ユーザー数は増えていくもののビジネス化が難しかったことがあり、ビジネスの観点は強く意識しています。会社・チームといった作り手のためだけでなく、使ってくれている方のためにも、継続性は非常に重要だと考えています。


Q4:Learning (初期の学習)

定義と一緒で、「何ができたらプロダクトマネージャーなのか」というのは難しい点ですよね。

自分自身もやったプロセスではあるのですが、なりたい人や初学者の方だと、各社のJobDescription(=求人、募集)を見て逆算することがおすすめかなと考えています。

「必要スキル」「歓迎スキル」を詳細に書いてくれているので、◯◯ができれば求められる人材であると考えていきやすいと思います。

あとインプットでいえば、10X矢本さんのブログは全て読みましたね。

自身の経験からくる、血の通った文章は学びが多いです。

また、プロダクトマネジメントを体系的に学ぶことが難しいという話はよく聞きますが、そもそも体系的に学ぶ必要がどの程度あるのかは僕も正直よく分かっていません。

やはり実践に価値がありますし、実際に働いていると目の前に次々と課題が降りかかってくるので、その答えを探すように都度本などで学ぶことが多かったと思います。

プロダクトマネジメントを体系的に学ぶ本は一定読みつつも、KPI設計に困ったら、KPIに関連する本を。UIに迷ったら、UIの専門書を読むという形で学習していった感じです。

Q5:Credo (信条・ルール)

4つ大事にしていることがあります。

1:腹落ちしていないことをやらない

経営メンバーや他社のメンバー等、日々いろいろな方と話す機会があるのですが、理にかなって良さそうに聞こえるものは多いです。

ただ、自分の中での腹落ちは非常に重要だと思っています。

人のアドバイスを元に実行していき結果が出たとしても「次どうしたらいいですか?」となってしまいます。

協力を仰いだり、アドバイスをいただいたりすることは非常に重要ですが、それが自分の仮説になってから取り組むことで、本当の意味で結果からフィードバックを得ることができるのかなと思います。

2:一次情報に当たる

課題やニーズを認識する際に、一次情報は非常に大事な要素になると考えています。

一次情報に触れる・知ることで解像度が格段にあがっていく感覚がありますし、むしろ一次情報からしかスタートできないのかもしれません。

現在の仕事では、配送拠点に足を運び、荷積みやオペレーションを見せてもらったり、ヒアリングさせてもらったりして、一次情報に触れるように心がけています。

メルチャリ時代、自転車の回収や配置の最適化を担当していた際に、オペレーション改善のために現場を観察する中で、非常に重要だと感じたことがルーツです。

3:一緒に働くメンバーにWhyを語る

たとえばエンジニアと一緒に機能を作っていく際に、「どうしてこの機能が必要なのか」を絶対に話すようにしています。

何かをやる際に背景や未来が分かったりイメージできたりすると、やはりモチベーションがあがるかなと思います。

結果として、実現速度が変わったり出てくるコードの品質が変わったりすることまであり得ると思うので、大事にしています。

4:インプットをやめない

プロダクトマネージャーは、業務範囲が多岐に渡ることも多く、忙しい職種なのかと思います。

ですが、インプットをやめてしまうと "出がらしのお茶っ葉" のように、濃度が薄い・深度が浅い自分で戦い続けなければなりません。

どれだけ忙しくても、毎日インプットの時間をとることは意識していることです。


Q6:Joy (やりがい・喜び)

やはり、自分の作っているもので、誰かの生活が変わっているという感覚ですね。

メルチャリ時代の経験がルーツになっています。

いわゆるシェアサイクルの形で、人々の移動を支えるオフラインでのサービスなのですが、メルチャリで通勤・通学している人を見たときは非常に嬉しかったことを覚えています。

自分たちで提供しているプロダクトを便利に感じてもらって、バスや電車だった移動手段を置き換えてもらっているということに、人の生活を変えているという感覚を感じました。

もちろんtoCの方が利用者との近さという面では感じやすいとは思いますが、207が創りたい未来にも、この観点から共感しています。

たとえば、30年変わっていない再配達の仕組みを、デジタルの力で根本的に変えること・なくすことができれば、受け取り手・配送員など、関連する人の生活が変わるはずです。

影響力が大きいので時間はかかりますが、長い目線でやりがいや楽しみを感じられるのかなと思っています。

Q7:Requirement (求められるもの)

能力やマインドについては、Q3:Definition で回答したことに近いかと思います。

1つ大事なことを挙げると、ここに進んでいくんだという旗を立てる力は個人的に重要な要素だと考えています。

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