見出し画像

ディグ・モードvol.62「スティナランド(STINARAND)」

スティナランド(STINARAND)は、2021年にスウェーデン出身のスティナ・ランデスタッド(Stina Randestad)が設立したストックホルム拠点のジェンダーレスなファッションブランド。色彩や遊び心に溢れ、彫刻的でありながらウェアラブルな作品が特徴。デザイナーは創造の出発点として素材を探求し、持続可能なファッションの認識に変化をもたらすことを目指している。


彫刻的、ウェアラブル、触感

THE PAPER DRESS(Photography by Jacobo Campos)

スウェーデンのエレブロ市で生まれたスティナは、持っているおもちゃで遊ぶよりも、ものを作ったり絵を描いたりするほうが好きな子どもだった。服に興味を持ち始めたきっかけは、歴史的な服についての本を読んだことだ。彼女はスウェーデンのテキスタイル学校、Swedish School of Textilesで修士号を取得した。

彫刻的でありながらウェアラブルなスティナの作品は、彼女自身の物質的な関心が出発点となっている。色や質感、遊び心に惹かれることが多いデザイナーが生み出す作品には、いつも色彩と遊び心が存在する。

『Hybrid』コレクション(Courtesy of STINARAND)

作品に影響を与えた存在について、スティナはデザイナーのフセイン・チャラヤン(Hussein Chalayan)とイリス・ヴァン・ヘルペン(Iris van Herpen)の名前を挙げている。どちらも非常に芸術的でありながら、独自の技術を開発して衣服を制作している点で、彼女は彼らのファンだと説明する。

また影響を受けたデザインに関しては、ウォルター・ヴァン・ベイレンドンク(Walter van Beirendonck)の名前を挙げ、作品の非常にカラフルである意味ストリートっぽいところに魅力を感じていると彼女は説明している。

2018年、スティナはスウェーデン ファッション カウンシルの奨学金を授与され、若手支援を目的としたコンペティション「デザイナーズ ネスト(Designer's Nest)」で2位を獲得し、イタリア版VOGUEによってVogue Talentに選ばれた。そして2023年、若手デザイナーの支援を目的とする「LVMHプライズ」のセミファイナリストに選出された。

制作の中心は持続可能性

(Courtesy of Filippa K x Stinarand)

ブランドは設立以来、持続可能性を中心にクリエイティブなプロジェクトやコラボレーションをおこなっており、デザイナーはアップサイクルされたテキスタイルを利用したり、オーダーメイドでショー ピースを制作したりしてきた。

サステナブルでエシカルに作られたファッションはスティナにとって、大衆に消費される際とても重要だ。彼女はサステナビリティの問題を自身で解決する方法について、かなり長い間悩んでいたこともあったが、現在はアーティストやコレクションのためにオンデマンドで服を作り、コンテストで競い合い、何度も撮影に服を貸し出していると説明している。

サイズインクルーシブを歓迎

スティナ・ランデスタッド(Photography by Anders Modin)

時代の結果として、ファッションが急速にデジタル空間に移行していることについて、デザイナーは仮想空間での創作が当たり前となる未来を想像しているものの、現実に失望するのではないかと不安に感じている。

「おしゃれするために、衣服を物理的に着用する必要はありません。仮想空間で創造する無限の可能性が当たり前となる未来を想像していますが、現実に失望するのではないかと恐れています。生地は特定の方法でしか動かない、つまり重力があるということです」とスティナは『Volup2 Magazine』で語っている。

また、ファッションの世界がよりサイズインクルーシブになっていることをデザイナーは歓迎している。自身をぽっちゃり体型と言う彼女にとって、ファッションで自分の体が表現されているのを見るのは気分が良いことだとスティナは説明している。包括的にフィットする作品を生み出してきたスティナランドは、今後もさまざまな体型の人を歓迎し続けるだろう。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦