ディグ・モードvol.50「マリーン セル(MARINE SERRE)」
マリーン セル(MARINE SERRE)は、2016年にフランス人デザイナーのマリーン・セル(Marine Serre)が設立したファッション ブランド。2017年、25歳の若さでLVMHプライズを受賞した彼女は、「エコ・フューチャリズム」を掲げ、アップサイクルを重視して服作りをおこないながら、未来を再考している。
25歳でLVMHプライズ受賞
13歳のとき、マリーンはアートとデザインを学ぶためにマルセイユの親元を離れ、ベルギーに移った。ひとりで成長していかなければならない環境だったが、彼女はその過程で多くを発見し、自身を構築していった。ベルギーのラ・カンブル国立美術学校(La Cambre fashion and design academy)に入学し、2016年に卒業後、自身の名を冠したブランドを立ち上げた。
在学中はメゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)やアレキサンダー マックイーン(ALEXANDER MCQUEEN)、バレンシアガ(BALENCIAGA)など、さまざまなブランドでインターンをし、自分のブランドを設立する前にもそこで働いていた。マリーンは学校の勉強だけでなく、実際に業界で働くことで、ファッションのリアリティについて多くを学んだと説明している。
2017年、マリーンは若干25歳で、LVMHヤング ファッション デザイナー プライズでグランプリを受賞。彼女は受賞をきっかけに、自分のブランドで何をしようとしているのか、それをどのように世界や人々に見せていくのかを真剣に考えなければならないことに気づいた。その頃から、彼女にとってアップサイクルは重要な側面となった。
アップサイクルを明かさずショーを開催
彼女は最初のショーで、コレクションの30%以上をアップサイクル素材で作ることに決めた。しかし、敢えてショーではアップサイクルを公表せず、その後ショールームで「ちなみに、作品はアップサイクルです。それでも欲しいですか?」とデザイナーは明かした。
マリーンにとって重要だったのは、変革のプロセスだ。巨大な消費サイクルにおいて、何かを手に入れて新しいものに変えることが大切であり、アップサイクリングが作品を購入する理由であってはならないと彼女は考えている。
「私はいつも、誰もがアップサイクルすべきだと言っていますが、それが何かを買う理由であってはなりません。今日、私たち全員が考える普通のことであるべきです」とデザイナーは『Hypebae』で語っている。
エコ フューチャリズムとは未来の再考
グリーン、ホワイト、ゴールド、レッドの4ラインに分けられたブランドにおいて、マリーンは循環性、気候中立性、レジリエンスの3つの用語で定義する「エコ フューチャリズム」を掲げている。たとえば、自分たちがリサイクルした繊維を使用して、ファブリックを作っている。デザイナーにとって、エコ フューチャリズムとは未来を再考することだ。
「私たちは皆、気候中立性の重要性を十分に認識していると思いますが、新しい生き方を見つけようとする必要もあります。エコフューチャリズムとは、生き方と行動の仕方を意味する言葉です。創造し、インスピレーションを得る方法であり、それは私たちが未来に望むものにとって、理にかなっています」とマリーンは『i-D』のインタビューで語っている。
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