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ディグ・モードvol.60「パオリーナ ルッソ(PAOLINA RUSSO)」

パオリーナ ルッソ(PAOLINA RUSSO)は、カナダ人デザイナーのパオリーナ・ルッソ(Paolina Russo)が設立したニットを中心に展開するブランド。デザイナーはスポーツを着想源として、自身の育った環境をデザインに吹き込んでいる。ブランドの核には持続可能性があり、品質に重点が置かれ、常に無駄について考えられている。


スポーツをデザインに落とし込む

(Photography by Aidan Zamiri)

カナダのトロント郊外にあるオンタリオ州マーカム出身のパオリーナは、自分がファッション業界でキャリアを積むとは想像もしていなかった。郊外で育ち、デザイナーやファッション業界で働いている人を知らなかったからだ。とはいえ、彼女は生まれながらに創造したいという欲求を持って育ち、よく自分の服を作っていた。

彼女が始めたファッションの実験は、自身の環境をデザインに吹き込むことだった。カナダでは、それはあらゆるスポーツを意味し、現在でも作品の主要なインスピレーションである。パオリーナは幼い頃サッカーをし、その後テコンドーを数年間していた。

(Photography by Rebecca Storm)

2013年にセントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins以下、CSM)で学ぶためにロンドンに移る前、彼女はマーカムの地でデザインについて真剣に取り組み始めた。見つけた物から何かを作ったり 、廃棄されたスポーツ用品をつなぎ合わせたりした。叔母はマーカムのサッカー クラブのリーダーで、多くの人がジャージなどの古い用具をパオリーナに寄付してくれた。

「私は物や素材を思いがけないものに変えることができるのが大好きです。 本当に美しいと思います」と彼女は『VOGUE』で語っている。2018年にCSMで開催された学士号の卒業コレクションで、彼女はこれらのスポーティーな素材を多く使用した。

学生時代、メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA)でジョン・ガリアーノ(John Galliano)の下でインターンをした経験は、デザイナーとしてのパオリーナを形作っている。アーティザナル チームでガリアーノと仕事しながら、コレクションが作られていく様子を見るのは刺激的で、彼女が自身でどのようにそれをおこなうか想像するうえで役に立った。

アディダスの目に留まりショーに参加

(Photography by Aidan Zamiri)

2019年、卒業コレクションを発表してから1年後、パオリーナの作品は特別なコラボレーションのためにアディダスの目に留まった。彼女はロンドンを拠点とする他の2人のデザイナーと共に、パリのメンズ ファッション ウィーク中にブランドのグループ ショーに参加した。

準備期間は2日しかなかったが、ビスチェ トップスやサイクリング ショーツなど、ブランドのパフォーマンス ウェアをアレンジし、彼女のシグネチャーであるニットで作ったカプセル コレクションを完成させた。その後、デザイナーとアディダスとの関係はさらに発展し、パートナーシップは彼女の修士コレクションでも継続した。

品質に重きを置き、無駄について考える

パオリーナ・ルッソ(Photography by Rebecca Storm)

ブランドの核心には、サステナビリティが存在する。パオリーナにとって、新しく物作りをする際、それらが良いものであり永遠に続くものであることが必要だ。彼女は品質に重点を置き、扱う再生素材の無駄を最小限に抑えること、そして自分がしていることに価値があると確認することが重要だと感じている。

「コレクションの多くはニットウェアで、その作り方は非常に数学的です。すべての糸の重さを量る必要があり、余分なものがないことを確認するために、常に無駄について考えています」とデザイナーは2020年の『i-D』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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