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ディグ・モードvol.32「アヴァヴァヴ(AVAVAV)」

アヴァヴァヴ(AVAVAV)は、スウェーデン出身のビート・カールソン(Beate Karlsson)がクリエイティブ ディレクターを務めるフィレンツェ拠点のファッション ブランド。環境に配慮しながら、単調なトレンドを打ち破るクリエイティブな服作りをしている。2023年春夏コレクションでは、モデルがキャットウォークで意図的につまずく演出が話題となった。


夢だったパーソンズでファッションを学ぶ

2023年春夏のパリ ファッションウィーク中に開設されたショールーム「Fashion [X] Showrooms」のアヴァヴァヴ ブース(Photography by 𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨)

ビート・カールソンは、いつも創造性に駆り立てられ、新しい見方を試みるエネルギッシュな人だ。クリエイティブなふたりの姉妹と共にストックホルムで育った彼女は、小さい頃よく音楽やアートで遊んだ。19歳のときニューヨークに移り、夢だったパーソンズ美術大学でファッションの勉強を始めた。

卒業後、彼女はニューヨークで働いた。パンデミックの影響でみんなが家で仕事するようになり、ニューヨークにいる意味がなくなったため、その後ストックホルムに引っ越した。そして、友人を通じてエーヴィエーヴィエーヴィのチームに加わった。

アヴァヴァヴは、2017年にスウェーデン出身のリンダ(Linda)とアダム・フリーバーグ(Adam Friberg)によって設立され、本社はフィレンツェにある。彼らは、ブランドのデザイン チームを率いる人を探していて、ビートはフリーランスのデザイナーとしてスタートした。彼女は自分のデザインをブランドに取り入れたいと彼らに伝えた。

無限の創造性で単調なトレンドを打破

「Fashion [X] Showrooms」で展示されていた2023年春夏コレクション(Photography by 𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨)

ビートのコレクションはすべて、新しいものを生み出すために混ぜたり壊したりするようなアイデアから生まれる。そして彼女は、地球に配慮しながらブランドを成長させるための新しい方法を常に模索している。コレクションの約80%をデッドストックから、残りは在庫の生地から作ることが、持続可能性を維持する彼女の方法だ。

「70年代、80年代、90年代のトレンドが繰り返し再生され、単調な業界を形作っているように感じます。アヴァヴァヴでは、無限の創造性と地球への優しさで、そのトレンドを打破したいと考えています」とビートは『PARANOIA MAGAZINE』のインタビューで語っている。

不況には現金と現実逃避が最優先

2023年春夏コレクション(Photography by Federico Pompei)

2023年春夏シーズンのミラノ ファッション ウィークで発表された、「下品な金持ち(Filthy Rich)」と題されたコレクションでは、ロレックスの時計で作られたネックレスや、ドル マークのボディスーツ、「下品な金持ち」と書かれたキャップなどが登場。プレスリリースには、「不況の時代には、現金と現実逃避が話題の最優先事項です」とある。

コレクションの背景にあるのは、不況で誰もがお金を切望し、多くの人が自分のソーシャル メディアで豊かさと贅沢を偽っている状況だ。彼女は裕福な人のように見えたいという衝動に駆られ、風刺的なコンセプトを設定した。「お金を持っていると叫びながら、100万ドルを身に着けているように見えることがすべてです」と『1 GRANALY』のインタビューで語っている。

ビート・カールソン(Photography by Thomas Rousset)

キャットウォークではモデル全員が意図的につまずき、観客に衝撃を与えた。ビートは、モデルが転んで雰囲気を壊した2000年代のランウェイ ショーを思い出しながら、ファッション業界の真面目さをからかおうとした。

同時に、彼女はコンセプトに「感情的なレベル」をもたらしたいと思っていた。ソーシャル メディアで生活の一部を偽造したり、フィルターをかけたりするのは簡単だが、これらはすべて一瞬で無くなる可能性がある。それを彼女は転倒で表現したのだ。 

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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