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ディグ・モードvol.40「ギャルソン インフィデレス(GARÇONS INFIDELES)」

ギャルソン インフィデレス(GARÇONS INFIDELES)は、アドリアン・アルブー(Adrien Albou)が設立したパリ拠点のファッション ブランド。昼はデザイナー、夜はDJとして活躍する彼は、音楽の影響を強く受けており、そのすべてがコレクションから滲み出ている。デザイナーはユニセックスのブランディングにこだわり、カップルのことを考えながら服づくりをしている。


ファッションの世界で服に囲まれて育つ

2020年秋冬コレクション(Courtesy of GARÇONS INFIDELES)

ファッションデザイナーの母と祖母を持つアドリアンは、ファッションの世界で生まれ育った。母のソフィー・アルブー(Sophie Albou)は、フランスのブランド、ポール アンド ジョー(PAUL & JOE)の創設者だ。

アドリアンは歩き始めたり話し始めたりする前に、ニューヨークやパリで両親と一緒にランウェイ ショーを見始めている。3歳か4歳のころ母親に連れられて、パリ、ロンドン、ミラノ、ローマ、ロサンゼルス、ニューヨークなどの見本市に行った。幼いときから彼の周りには服があり、生地に囲まれることが当たり前だった。

19歳のころ、彼はロンドンに移り、そこで多くの仕事をした。マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)で1年間インターンをしていたとき、ニューウェーブミュージックと出会った。まだ若く、この種の音楽を聞いたことがなかったアドリアンはニューウェーブのアーティストを掘り下げ始め、ロックンロールにどっぷり浸かった。

ロックンロールに合ったブランドを設立

2020年秋冬コレクション(Courtesy of GARÇONS INFIDELES)

服装や髪型、全体の雰囲気など、彼はロックンロール スタイルを大変気に入った。それを自分のスタイルに取り入れようと模索したが、完璧なブレザーやパンツ、プリントシャツを見つけることができなかった。その結果、彼は2016年にブランドを立ち上げ、60年代と70年代のカラフルでジェンダーレスなプリントに焦点を当てることにした。

「自分のロックンロール バイブスに合う完璧な服を見つけるのが難しかったので、ブランドを始めました。私のブランドは主にロックンロールに焦点を当てており、最初のコレクションはニューヨーク・ドールズ(New York Dolls)へのオマージュでした」と彼は『LIFESTYLE ASIA』で語っている。

(Photography by Tawfik Akachar)

音楽は常にアドリアンの一部であり、ブランド哲学の一部でもある。彼はエルヴィス・プレスリーからミック・ジャガー、セルジュ・ゲンズブールまで、音楽のムーブメントやフェスティバル、60年代の大ファンだ。ロマンチシズムが混じったスタイルを持つセルジュ・ゲンズブールは、彼にとってフランスのアイコンである。

アドリアンのコレクションは、すべて音楽へのオマージュだ。たとえば、2020年春夏コレクションは、ベイビー・グランジ(Baby Grunge)と呼ばれる、90年代へのオマージュである。ブランドは悲しくて憂鬱で怒っているロックンロールではなく、楽しいロックンロールだとデザイナーは説明する。それが彼自身であり、すべてのコレクションに反映されているのだ。

カップルを考えたユニセックスなブランディング

2021年秋冬コレクション(Courtesy of GARÇONS INFIDELES)

デザイナーはユニセックスなブランディングにこだわりを持っている。ブランドのコンセプトは、パートナーの服を借りられること。実際に、アドリアンはいつもカップルのことを考えている。たとえば、音楽を作っているボーイフレンドと彼の友達に会いに、ジムから出てくる女の子のこと。彼らは同じ青春を共有しており、同じ服を共有することもできる。

「女の子がボーイフレンドの服を着ているのを見ると、どこかセクシーだなといつも思っていました。私の作るシャツは、女の子のほうが似合うかもしれません。女性で言えば、ボーイフレンドから借りたルーズなシャツに、フレアカットのトレンチコートとブーツを合わせた、おてんばな魅力が好きです」とデザイナーは『Fucking Young!』で語っている。

アドリアン・アルブー(Courtesy of GARÇONS INFIDELES)

アドリアンにはたくさんの野望があるが、主な目標は自分が好きなことを続け、自分のブランドが成長していくことだ。彼はできる限りオープンマインドで好奇心を持ち、自分自身をプッシュし続けている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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