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ディグ・モードvol.15「トウキョウ ジェームス(TOKYO JAMES)」

トウキョウ ジェームス(TOKYO JAMES)は、ナイジェリア系イギリス人のイニエ・トーキョー・ジェームス(Iniye Tokyo James)が、2015年に設立したファッション ブランド。デザインはナイジェリアのラゴスで、生産は英国でおこなわれている。アフリカの伝統的なテキスタイルと、サヴィル ロウの精度高いテーラリングを融合させた、ジェンダーフルイドな服が特徴。


大学では数学、外ではファッションを学ぶ

2023年春夏コレクション(Photography by Alessandro Lucioni / Gorunway.com)

ナイジェリア移民の両親のもとに生まれたイニエは、東京で生まれロンドンで育った。彼の名前が「トウキョウ」であるのは、両親が働いているときに出会い、彼が誕生した場所である東京から母が名付けたからだ。

彼は大学で数学を勉強した。しかしコースが合わなかったため、本当にやりたいことを掴む目的で、数学を学びつつ積極的に大学の外へ出て行った。10代の頃ファッションにハマったイニエは、ファッション業界でのキャリアを求めて、ブランドのデジタル キャンペーンやミュージック ビデオのスタイリングを担当した。

2023年春夏コレクション バックステージ(Photo Courtesy : @Hatnim Lee)

とはいえ、数学の勉強は彼にとって無意味ではなく、自分が人生でやりたいことを理解するために必要なことだった。数学のおかげで、デザインへのアプローチやブランドの運営に対し、より現実的になることができたとイニエは感じている。

ブリオーニ(BRIONI)やイッセイミヤケ(ISSEY MIYAKE)でファッション スタイリストとして働いた後、彼はデザインに着手。2015年、自身の名を冠したブランドをスタートさせた。

男らしさを保ち、爆発させる服作り

2022年春夏コレクション(Courtesy of TOKYO JAMES)

イニエはブランドを通して、英国の伝統的なテーラリングとナイジェリアの感性を融合しながら、男性性を取り巻く無数のステレオタイプを打ち破り、流動性を表現している。

ブランドについて彼は、「男性に服の選択肢を増やし、よりスタイリッシュな多様性を提供する手段としてブランドを始めました。男性の外見や自己表現はかなり無難です。だから、男性らしさを保ちつつ、同時に爆発させたかったのです」と『OkayAfrica.』のインタビューで語っている。

美しいファッション産業を引き継ぎたい

2022年秋冬コレクション バックステージ(Photography by Mikey Oshai)

イニエには、「異なるタイプのラグジュアリー」というキャッチフレーズがある。ラグジュアリーにはさまざまな解釈があるが、彼にとってのラグジュアリーとは環境に気を配り、次世代のために環境を守るという役割を果たすことだ。

ファッションが環境に及ぼす悪影響に関して、イニエはナイキとコラボし、古いトレーナーやフットボール シューズを使用して、アップサイクルされたバッグやフットウェアの特別なラインを作った。

また、彼はシーズンごとに、コレクションの少なくとも30%をデッドストックから作る取り組みをしている。「ファッションは何百万人もの人々を養う産業であり、美しい産業を次世代に引き継ぐために、自身の役割を果たさなければならないと考えています」と『Wallpaper』で語っている。

ラゴスとロンドンから前進を続ける

イニエ・トーキョー・ジェームス(Photography by Alessandro Lucioni/Gorunway.com)

ラゴスでデザインし、ロンドンで生産をおこなうトウキョウ ジェームス。移民の両親のもとに生まれ、ロンドンで育ったからこそ、両都市に足を踏み入れることはジェームスにとって重要な意味を持つ。ラゴスとロンドン、両方からインスピレーションを得て、トウキョウ ジェームスは成り立っている。

2022年、若手デザイナーの支援を目的としたLVMHプライズにノミネートされたトウキョウ ジェームスは、今後が期待されているブランドのひとつだ。イニエは自分のルーツを大切にしながら、美しいファッション産業を未来に引き継ぐために前進し続けている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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