見出し画像

ディグ・モードvol.5「ウィニー ニューヨーク(WINNIE NEW YORK)」

ウィニー ニューヨーク(WINNIE NEW YORK)は、2018年にイドリス・バログン(Idris Balogun)が立ち上げたニューヨーク拠点のメンズウェア ブランド。サヴィル・ロウ(Savile Row)で磨いた高度な職人技や、バーバリー(BURBERRY)やトムフォード(TOM FORD)で培った経験をデザインに活かし、持続可能性を大切にした服づくりをおこなっている。


年齢を詐称し、14歳で修行開始

2023年春夏コレクション(Courtesy of WINNIE NEW YORK)

イドリス・バログンは、米国ニューヨーク市でナイジェリア移民の子どもとして生まれ、英国北ロンドンに位置する町トッテナムで育った。英国のファッション デザイナー、オズワルド・ボーテング(Ozwald Boateng)の洗練されたデザインに刺激を受けた彼は、まずロンドンのサヴィル・ロウに足を踏み入れた。

2007年7月、イドリスはサヴィル・ロウにあるハーディ エイミス(HARDY AMIES)で正式にデザインのキャリアをスタート。このとき14歳だったが、年齢を偽って修行を始め、2010年8月まで見習いとしてテーラー技術を身につけた。彼はパターンを変えてさまざまなシルエットを探求したいと思っていたが、当時はそれがデザインであることを知らなかった。

その後、ニューヨークに移り、ファッション工科大学を中退。バーバリーから声がかかり、サヴィル・ロウで感じていた物足りなさを満たしていくこととなる。

ビジョンを自らの手で表現したい

2022年秋冬コレクション(Courtesy of WINNIE NEW YORK)

2013年から約3年間、バーバリーのシニア メンズウェア ディレクターであったクリストファー・ベイリー(Christopher Bailey)から、ロマンティックな表現方法や服でストーリーを語る方法について学んだ。ベイリーがブランドを去ったとき、イドリスはトム フォードに移った。

そこでは、トム・フォード氏が描くビジョンの解釈と具現化を任された。ブランドのメンズウェア ディレクターとして経験を積むなかで、自身のビジョンを自らの手で表現したいという気持ちが高まった結果、2018年にウィニー ニューヨークが誕生した。

デザイン面からも、持続可能性を大切にした服作り

2022年春夏コレクション(Courtesy of WINNIE NEW YORK)

イドリスがウィニー ニューヨークで大切にしていることは、持続可能性だ。これは、ある高級小売店で買い物をした際の実体験に基づいている。購入したパンツが数ヶ月後、太もも部分に毛玉ができ始めた。彼は店舗に行き、何かできることはないか尋ねると、「いや、あなたにできることは何もありません」と笑いながら店員に言われた。

その態度をクレイジーだと感じたイドリスは、自分のブランドをそのようなものにせず、解決法を見つけたいと考えた。そして彼は、製品を永く着用する工夫として、あちこちに小さなノッチ(布を縫い合わせるときズレを防ぐために入れる切り込み)を加えたり、特定の方法で縫い目を作ったりしている。

イドリス・バログン(Courtesy of WINNIE NEW YORK)

イドリスにとって、ファッションはサステナビリティを原材料だけでなくデザイン面で考えていないクリエイティブ産業のひとつだ。彼は、これまで培ってきた技術や経験を活かしながら、持続可能性へのアプローチを続けている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦