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ディグ・モードvol.25「サムウェア ノーウェア(SOMEWHERE NOWHERE)」

サムウェア ノーウェア(SOMEWHERE NOWHERE)は、2012年にレックス・ロー(Rex Lo)とエリー・チェン(Elly Cheng)のデュオがロンドンで始めたユニセックス ブランド。とくに90年代の香港に着想を得た、空想的なファブリックとユニークな色使いが特徴。デュオは想像力をブランドに注ぎ込み、夢のような世界を作り上げている。


もともとはアクセサリー作りからスタート

‘GENKI SHARK’(Courtesy of SOMEWHERE NOWHERE)

レックスとエリーは、ロンドン カレッジ オブ ファッションのファッション デザイン テクノロジー: ウィメンズウェア(Fashion Design Technology: Womenswear)学士コースで出会った。年の差があり同級生ではなかったが、ふたりは大学の初日から仲良くなった。

ブランドをスタートすることに決めた日は、いつもと変わらない夜だった。当時彼らは同居しており、最初はホームプロジェクトとしてEtsyで販売するためのアクセサリー作りから始まった。出だしの売上は芳しくなかったが、最終的には服のコレクションを作るというアイデアを思いつき、サムウェア ノーウェアは誕生した。

‘Bedtime Story’(Courtesy of SOMEWHERE NOWHERE)

サムウェア ノーウェアは、ブランドがどこにいても無限で形のないものであることを願って付けられた名前だ。レックスとエリーはデュオとして、一緒にブレインストーミングし、デザインし、製作している。お互いに衝突し、議論することもあるが、それが新しいものを作るための最良の方法であると彼らは考えている。

ふたりにとってのモチベーションは、コラボレーションだ。彼らは、サムウェア ノーウェアが単なる衣料品のブランドではなく、体験であることを常に望んでいる。 コラボレーションは彼らが何か新しいものを創造し、コンフォート ゾーンから抜け出すために駆り立てるものである。

香港で過ごした90年代の思い出が着想源

‘HER ODYSSEY’(Courtesy of SOMEWHERE NOWHERE)

香港はデュオに無限のインスピレーションを与える場所だ。彼らは子どもの頃に着ていた服から公園、遊び場まで、とくに90年代の思い出を好んでいる。2015年に香港に戻ってアトリエを構えたとき、彼らは香港にインスパイアされたコレクションを製作した。その際、子どもの頃に行った場所や、よく食べていた食べ物、たむろした遊び場などすべて再訪している。

「私たちは建物の色が大好きで、とくに古い団地に行くと壁のパステルカラーやお年寄りのノスタルジックな生活様式が常に私たちを刺激します」と彼らは香港版『VOGUE』で語っている。

 ‘HOT CHILI WAVE’(Courtesy of SOMEWHERE NOWHERE)

ブランドのアイコニックなデザインのひとつは、彼らが子どもの頃に着ていたコーデュロイの服が着想源だ。1990年代、コーデュロイは当時流行していたデニムスタイルと並んでマストアイテムだった。彼らはカラフルなコーデュロイをデニムと組み合わせて作品をつくり、それはベストセラーのひとつになっている。

すべてをアンダーグラウンドに保ちたい

レックス・ローとエリー・チェン(Courtesy of SOMEWHERE NOWHERE)

サムウェア ノーウェアの作品はカラフルで賑やかである一方、二人の実生活は逆だという。彼らはアートや色から得た喜びや想像力をすべてブランドに注ぎ込み、夢のような世界を一緒に作り上げている。

デュオはサムウェア ノーウェアが大量生産された国際的なブランドに進化することは望んでいない。「かわいい服が好きな人、どこかで私たちを見たことがある人のために、すべてをアンダーグラウンドに保ちたいと思っています」と彼らはロンドン芸術大学(University of the Arts London)のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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