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ディグ・モードvol.71「ヤン リー(YANG LI)」

ヤン リー(YANG LI)は、2010年にロンドンを拠点に活動する中国人デザイナーのヤン・リー(Yang Li)が設立したブランド。10代をオーストラリアでスケーターとして過ごした彼は、ライブミュージックやパンクカルチャーを好み、ブランドを通してサブカルチャーのコミュニティを探求してきた。


趣味や美学は日常生活から生まれるもの

2019年プレフォールコレクション(Courtesy of YANG LI)

北京で中国人の両親のもとに生まれたリーは、10代をオーストラリアのストリートで他の子どもたちとスケートボードをして過ごした。オーストラリアにはヨーロッパにあるようなアートやデザインのカルチャーはなく、すべてがストリートから来ていたと彼は説明する。スケートボードはリーにとってスポーツではなく、音楽を聴くようなものだった。

ブランドを設立するまでに、リーは大学をふたつ中退している。まずオーストラリアで法律を学んだ後、ロンドンのセントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins以下、CSM)に入学し、そこでファッションを学んだ。その後、アントワープでラフ・シモンズ(Raf Simons)と一緒に仕事し、2010年に自身の名を冠したブランドを設立した。

2020年リゾートコレクション(Courtesy of YANG LI)

リーはCSMで初めて服の作り方や型紙の切り方を知った。そこでの学びについて、自身が必要としていたパズルのピースだったと彼は振り返っている。

「ファッションデザインは、あなたが描いた服のことだと思われていますが、そうではありません。趣味や美学は学校では学ばないもので、街を歩いたり、人に会ったり、間違いを犯したりして、日常から生まれてくるものです」と彼は2014年に『i-D』のインタビューで語っている。

3つ星レストランにTシャツとジーンズで行く感覚が好き

メンズウェア 2020年スプリング コレクション(Courtesy of YANG LI)

2013年秋冬コレクションでは、リーはロンドンに拠点を置いていたが、パリでショーを開催した。その理由について、ミシュランの3つ星レストランにジーンズと T シャツを着て行く感覚が好きであることを挙げている。デザイナーにとってそれは、いるべきではない場所にいることであり、パンクを意味する。

リーにとってパンクとは、特定の種類の服を着たり、髪をあれやこれやすることではない。美学というより態度であり、自分の好きなことをすることだ。「人生は一度きりで、やりたいことをしなければなりません。それが何よりも自由でパンクです」とデザイナーは『i-D』のインタビューで語っている。

サブカルチャーのコミュニティを探求

2018年フォールコレクション(Photography by Marcus Tondo / Indigital.tv)

リーは音楽に夢中であり、とくにライブ ミュージックは彼にとって活力の源となっている。これまで彼はショーのサウンドトラックやアーティストとのコラボレーションを通して、すべてのコレクションで彼の熱心なファン グループを築き上げてきた。

過去のショーでは、ポスト パンクのアイコンであるマイケル・ジラ(Michael Gira)、インダストリアル サウンドのパイオニアであるジャスティン・ブロードリック(Justin Broadrick)、オルタナティブ ロック バンドのジーザス&メリー・チェーン(The Jesus and Mary Chain)がライブ パフォーマンスを披露。リーはブランドでサブカルチャーのコミュニティを探求してきた。

真の中国スタイルが生まれることを願って

ヤン・リー(Courtesy of YANG LI)

中国に生まれクリエイティブな分野で働くデザイナーは、国際的な視野を持つ才能のある中国人を長らく探していて、リア・ドウ(Leah Dou)に憧れていた。幼い頃、彼女の母親であるフェイ・ウォン(Faye Wong)の音楽や、彼女の父親であるドゥ・ウェイ(Dou Wei)のバンドであるブラック パンサー(Black Panther)を聴いていた。

リア・ドウは、ミュージシャンだけでなくアーティストに対しても、人々に大胆な夢を与える素晴らしい模範を示しており、それは中国で起こっていることと全く異なるとデザイナーは感じている。

「リアのようなリーダーとともに、西洋を真似るだけでなく、真に独自のものを創造する真の中国スタイルが生まれることを願っています。ムーブメントが起こるには、バンド全体が演奏する必要があります」とリーは『AnOther Magazine』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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