見出し画像

ディグ・モードvol.4「ブルーマーブル(BLUEMARBLE)」

ブルーマーブル(BLUEMARBLE)は、フィリピン人の父とフランス人の母を持つ、ニューヨーク生まれパリ育ちのアントニー・アルヴァレ(Anthony Alvarez)が立ち上げた、パリ拠点のメンズウェア ブランド。金融からファッションの道に進んだ彼は、若者のパワーや多文化主義をクリエイションの柱としている。ブランドの本質は、社会的責任を果たすことだ。


金融からファッションに進み、ブランド設立

2021年春夏コレクション(Photography by Jorge Perez Ortiz)

多文化に囲まれて育ったアントニーは、小さな頃からファッションに関心を抱いていた。「母はいつもオシャレするのが好きで、私をドレスアップして楽しんでいました。母のファッションに対する情熱は、自然と私に伝わりました」と彼は『Tatler』で語っている。

高校を卒業後、彼は60年代のヒッピー カルチャーや90年代のスケートやサーフ カルチャーに惹きつけられ、アメリカに目を向けた。父親の道をたどり、米国のコーネル大学で経済学と経営学を学んだ後、ニューヨークとロンドンで金融の仕事をした。しかし、企業で働くことに夢中になれず、自分の創造性を表現できないことに苦しむこととなった。

2021年春夏コレクション(Photography by Jorge Perez Ortiz)

2016年、彼は仕事を辞め、生涯の夢を追い求めて世界中を旅した。とくにフィリピンへの旅行は、彼のファッション熱に火をつけた。そして2017年、ストリートウェア ブランド「ワンカルチャー(Oneculture)」を設立。最初のコレクションは、マニラの職人技や伝統の豊かさからインスピレーションを得て作成された。

その後、2019年にリブランディング。地球全体を撮影した最初の写真「ブルーマーブル」からブランド名を取った。そこには、地球を形成する文化のモザイクを祝福したいというデザイナーの想いが込められている。

若さのパワーや多文化主義がブランドを作り上げる

2023年春夏コレクション(Courtesy of BLUEMARBLE)

ブルーマーブルを作り上げるインスピレーションには、都会や若者、サブカルチャーがある。若者のパワフルな力や大胆さがアントニーを駆り立て、それがコレクションの中心として常に存在しているのだ。

また、多文化主義もデザイナーにとって重要であり、クリエイションの柱となっている。「スポーツを通しても、例えば友達とよくサーフトリップに行きましたが、いろんな国の人に出会います。彼らと交流して、それぞれの個性を祝います。それは私にとって、いつも重要でした」とアントニーはフィリピン版『VOGUE』で語っている。

社会的責任を果たすことがブランドの本質

アントニー・アルヴァレ(Photography by Nicolas Kuttler)

ブルーマーブルは、パンデミックによって発生した社会問題に取り組んでいる。アントニーはアーティストのマリー・ヴィクトワール・ド・バッシャー(Marie Victoire De Bascher)とコラボし、ブルーマーブルの光り輝く夢を表現した手描きのデニム ジャケットを製作。オークションで販売し、その収益を病院スタッフや医療機器のために使用した。

また、ブルーマーブルはフィリピンの子どもや学生の支援にも携わっている。フランスの非営利団体と共同で実施されたプロジェクトでは、多くの学生が視力の悪さから試験に不合格となっている状況に対処するため、500人以上の学生に度入り眼鏡を提供した。ブルーマーブルの本質は、社会的責任を果たすことにあるのだ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

いつも読んでくださってありがとうございます☺︎いただいたサポートは、記事のクオリティ向上に活用させていただきます。応援よろしくお願いします❦