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ディグ・モードvol.51「ウェッド(WED)」

ウェッドは、2019年にデザイナーのエイミー・トリン(Amy Trinh)とエヴァン・フィリップス(Evan Phillips)が設立した、ロンドンを拠点とするブライダルおよびプレタポルテのブランド。ふたりはサステナビリティに焦点を当てて、結婚の概念に対する現代的でアナーキーなアプローチを取りながら、伝統を歪めることでブライダルウェアを再考し続けている。


「一日だけのドレス」の概念を再考

2020年秋冬コレクション(Photography by Marlen Keller)

エイミーとエヴァンは、セントラル セント マーチンズでウィメンズウェアを勉強しているときに友情を育み、2019年ウェッドを一緒に立ち上げることにした。ロンドンのハックニーにある彼らのアトリエでは、ドレスメイキングの伝統を歪め、日常的に着用できるようにデザインされたオケージョン ウェアが作られている。

ブランドには3つの基本原則がある。カッティング、クラフトマンシップ、そしてオケージョンウェアへのアプローチだ。オケージョン ウェアに焦点を当てた理由は、すでに飽和状態にあるファッション業界に単に加わるだけのブランドを作りたくなかったからだ。現代において、時代遅れで無駄に感じられる「一日だけのドレス」の概念を彼らは再考し続けている。

「非常に多くの人がウェッドを着用してきましたが、それこそが私たちにとって重要なことです。私たちがブランドを始めた理由は、どこにでもあるオケージョン ウェアで見られる伝統的な女性らしさとは異なるものを提供することです」と彼らは『AnOther Magazine』のインタビューで語っている。

職人技への心からの賞賛を込めて

2022年春夏コレクション(Courtesy of WED STUDIO)

ウェッドの作品はデッドストック素材やヴィンテージを使用した、創造的なカッティング テクニックやドレープを特徴とする。WEDを奇妙さとリアリティのバランスであると説明するデザイナー デュオは、新しいコレクションに取り掛かるときヴィンテージの作品や歴史的なドレープを見て、テーマ、ドレープ、服の構造に関するアイデアのリサーチをおこなう。

そして、彼らはテクニカルなパターン、スケッチ、フィッティングを通じて、巧みなドレープを生み出している。ふたりにとって、可能な限り布を最大限に活用することが持続可能なアプローチだ。小規模で生産しているため、巧妙にパターンを配置したり、裁断したりすることで、ファブリックを余すことなく利用している。

各コレクションに共通して込められているのは、職人技に対する彼らの心からの称賛だ。「世界には必要以上の服があることは誰もが知っているので、私たちにとって持続可能なビジネスを構築し、私たちの仕事を本当に愛しているすべての人に応じると同時に、私たちの強い精神を維持することが私たちの辿る道です」とエヴァンは『THE FASHIONGRAPHY』で語っている。

ファンタジーと奇妙な美学を決して失わない

エイミー・トリンとエヴァン・フィリップス(Courtesy of Sarabande)

デザイナー デュオはウェッドの世界を拡大し続け、ブランドにもっと多くの人々を巻き込むことを目指している。その世界とは、志を同じくする人々と一緒に美学を構築し、常に驚きと興味をそそる世界だ。彼らは、自身がおこなっているファンタジーと奇妙な美学を決して失わないことを願っている。

今後のビジョンは、さまざまなジャンルのアーティストとコラボし、ジュエリーのような分野にも拡大することだ。「そのほかについては、できるだけ多くの人に服を着てもらいます」と彼らは『1 GRANARY』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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