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ディグ・モードvol.1「エス エス デイリー(S.S.DALEY)」
エス エス デイリー(S.S.DALEY)は、英国リバプール出身のスティーブン・ストーキー・デイリー(Steven Stokey-Daley)が立ち上げた、ロンドン拠点のメンズウェア ブランド。上流階級の制服や礼装を労働者階級から考察しながら、ファブリックドネーションやデットストック生地を活用した、サステナブルな服作りをしている。
英国の伝統主義を覆すことがデイリーの美学
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1996年、デイリーはイングランド北西部リバプールで労働者階級の家庭に生まれた。公立学校の教育を受けて育ち、ウェストミンスター大学に入学。2020年、同大学のファッションデザインの学士号を取得し、自身の名を冠したブランドを立ち上げた。
『モーリス』や『アナザー・カントリー』など英国のカルト映画に影響を受けた彼は、自身の美学について「核心は、英国の伝統主義を覆すことにあります」と英国版『VOGUE』のインタビューで語っている。
デイリーは労働者階級の視点から、主に1920年代と30年代のイギリスにおける上流階級の振る舞いやドレスコードを考察することに、大学時代から関心を抱いてきた。これは彼が大学時代、自身の受けてきたものとは全く異なる教育を垣間見たことに起因する。
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ウェストミンスター大学のアトリエは、イギリスの男子全寮制私立校ハロウ・スクール(Harrow School)のラグビー場を見下ろす位置にある。ハロウ・スクールの少年たちが麦わらのカンカン帽をかぶって列をなす光景を目にしたデイリーは、それをかなり異質だと感じた。
ハロウ・スクールやイートン・カレッジのような名門私立校の伝統を経験したことがない彼は、それを明らかにし、自身の受けてきた教育や人生と対比させたいと考えた。ハロウ・スクールの規則から、自分が慣れ親しんだスクールカルチャーに相当するものを見つけることに面白さを感じたからだ。
アレキサンダー マックイーン(ALEXANDER McQUEEN)やトム フォード(TOM FORD)のメンズウェアチームで働いたデイリー。彼の卒業コレクションは、ハリー・スタイルズ(Harry Styles)のスタイリストであるハリー・ランバート(Harry Lambert)によってピックアップされ、話題を集めることとなる。
ハリー・スタイルズの着用で一躍有名に
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エス エス デイリーの飛躍には、ハリー・ランバートとの出会いが大きく関係している。デイリーとランバートのアトリエが隣同士にあり、この出会いをきっかけに、ハリー・スタイルズはデイリーのコレクションを着用するようになった。
とくに話題となったのは、ハリー・スタイルズが2020年10月にリリースした『Golden』のミュージックビデオだ。グッチやボーディの衣装と並び、ハリー・スタイルズは、デイリーの花柄パンツとオーバーサイズの白シャツを着用した。それは、瞬く間にブランドへの注目を集めた。
ランバートは、ショーやルックブックのスタイリストとして、デイリーとの仕事を続けている。デイリーはブランドの人気について、『Golden』のスタイリングに次いで、ショーのスタイリングも担当したランバートのおかげだと考えている。
ファッションブランドの構築は長期戦
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2022年、エス エス デイリーは、若手ファッションデザイナーの育成・支援を目的としたLVMHプライズを受賞。さらに、英国ファッション評議会(BFC)のファッションアワードイベントで、才能ある新鋭デザイナーに贈られるBFC財団賞を受賞するなど、今後さらなる活躍が期待される。
ブランド設立から短期間で人気を集めた一方、ファッションブランドの構築は長期戦であることをデイリーは理解している。彼にとって重要なのは、自分の仕事が長続きすること、そして自分のブランドを将来に向けてどう変えていくかを考えることだ。
ファッション業界において長期的な成功を収めることは決して容易ではないが、デイリーは業界の著名人やスターを味方にしながら、それを成し遂げようと挑んでいる。
この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。
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