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ディグ・モードvol.17「ナヌーシュカ(NANUSHKA)」

ナヌーシュカ(NANUSHKA)は、2006年にサンドラ・サンダー(Sandra Sandor)が立ち上げたハンガリー拠点のファッション ブランド。「現代人のためのコンテンポラリーブランド」をキャッチフレーズに掲げ、エフォートレスな女性らしさや、東洋と西洋を融合させたデザインを特徴とする。地球とすべての生き物を大切にすることが、ブランドの価値観のひとつ。


ブランド名は子ども時代のニックネーム

2021年春夏コレクション(Courtesy of NANUSHKA)

母親が子ども服の会社を経営していたサンドラは、小さい頃からフィッティングモデルとして母を手伝い、ファッションが大好きだった。17歳になったとき、キャリアとしてファッションに集中したいと思い、ロンドン カレッジ オブ ファッションに進学。学校の勉強だけでなく、ロンドンの街からもファッションを吸収した。

彼女にとって、ロンドンはさまざまな文化やスタイルの大きなるつぼであり、人々がどのように自己表現しているかを観察することは、豊かな経験となった。2005年に学校を卒業した後、ブダペストで自身のブランドを設立。ロシア語で「祖母」を意味するナヌーシュカは、サンドラの子ども時代のニックネームでもある。

サンドラはファッション ブランドでインターンシップを経験することなく、すぐにブランドを設立している。その背景には、自分でコツを習得したいという彼女の強い信念があった。最初の7年間はローカル ビジネスがメインで、2012年頃から国際的な卸売をスタートした。

2016年の終わりに、サンドラの人生とビジネスのパートナーであるピーター・バルダスティ(Peter Baldaszti)がCEOとして加わり、ブランドは家族経営となった。その後、2018年にニューヨーク ファッション ウィークで、ナヌーシュカはランウェイ デビューを果たしている。

現代人のためのコンテンポラリーブランド

2023年春夏コレクション(Photography by Oliver Hadlee Pearch)

ナヌーシュカには、「現代人のためのコンテンポラリーブランド」というキャッチフレーズがある。デザイナーにとって「現代人」とは、自分の価値観に自信を持って行動し、ボヘミアンな人生観を持っている人のことだ。そして、未来の世代のために、地球を守ることに関心がある人のことでもある。

サンドラは旅行中にインスピレーションを受けることが多い。旅が心を開き、新しいアイデアを受け入れやすくさせるからだ。彼女が生まれ育ったブダペストも、すべてのコレクションに影響を与えている。そして、彼女にとってデザインの核となっているのは、バウハウス・ムーブメントだ。その「形態は機能に従う」という概念が彼女をワクワクさせた。

2022春夏コレクション(Courtesy of NANUSHKA)

「服は着る人を引き立てるものであって、制限するものではなく、着心地がとても重要だと思います。それらは同時に美しく機能的であるべきだと考えており、すべてのコレクションに取り入れようとしています」とデザイナーは『METAL Magazine』で語っている。

コレクションを始めるとき、サンドラは写真や展示を見たり、特定の時代や建築物を探索したり、ビンテージ ストアを歩き回ったりすることを好む。常にノートを持ち歩いている彼女は、面白いものを見つけたり、ひらめいたりしたときに、それを描いたり書き留めたりしている。

サステナビリティはブランドの基礎

2020年春夏コレクション(Photography by Lena C Emery)

サステナビリティは、デザイナーにとって個人的にもビジネス的にも非常に重要なテーマだ。ブランド創設から今も変わらない価値観のひとつは、「地球とすべての生き物を大切にすること」。ナヌーシュカでは、環境に優しい生地調達、アップサイクルされた素材の使用、人的資源の保護など、持続可能性への取り組みをおこなっている。

地球と動物を保護するための最良の選択肢として、ナヌーシュカではフェイクファーやビーガン レザーを使用。製品の85%をハンガリーで現地生産することで、二酸化炭素排出量を削減し環境に配慮している。また、工場労働者やスタッフが公平に扱われ賃金を支払われることも、持続可能性のひとつとして重要視している点である。

サンドラ・サンダー(Courtesy of NANUSHKA)

「ファッション業界は世界で2番目に汚染度の高い業界であるため、とくに今はサステナビリティが重要な課題だと感じています。これは一夜にして起こる変化ではありません。段階的なプロセスのようなもので、終わりのないものです」とサンドラは『FARFETCH』のインタビューで語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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