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ディグ・モードvol.11「モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)」

モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)は、2014年にロンドン出身のデザイナー、モリー・ゴダード(Molly Goddard)が立ち上げた英国のファッション ブランド。生地を贅沢に使ったチュール ドレスがブランドのシグネチャー。モリー ゴダードのアイテムは着る人に、自信に満ちたフェミニンなエネルギーを与えてくれる。


どん底から総力戦で挑んだファッションショー

2020年春夏コレクション(Photography by Arthur Williams)

ブランドを設立する前、モリーはどん底にいて辛い時間を過ごしていた。セントラル セント マーチンズでファッション ニットウェアの修士号を取得できなかったことが原因だ。当時について、人生で良い時期ではなかったと彼女は振り返っている。しかし、大学での失敗はモリーにとってチャンスとなった。

自分のポートフォリオに載せる作品がほとんど無いことを懸念した彼女は、ロンドン ファッション ウィークでショーを開催することを決意。モデルとして友人を集め、現在はファッションPRをしているボーイフレンドのトムからサポートを受けて、自分の部屋で20着のドレス作りに取り掛かった。彼女はトータルで300ポンド(約4万7,000円)ほど費やした。

2015年春夏コレクション(Photography by Philip Trengove)

ショーの翌日、ドーバー ストリート マーケット ロンドンとマルチブランドの小売業者であるIT Hong Kongからオーダーが入った。そのときについて、「突然コレクションの注文がありました。ビジネスの構造もお金も何も整っていなかったのでクレイジーでした。それはかなりの挑戦でしたが、良いものでした」と彼女は『NET-A-PORTER』で語っている。

図書館で本を引っ張り出して徹底リサーチ

2018年にロンドンで開催された「FENTY Beauty」の発表会で、モリー ゴダードのドレスを着用したリアーナ(Photography by Chris J Ratcliffe/Getty Images)

モリーがコレクションを始めるにあたって、最初にすることはリサーチだ。 図書館でランダムに本を引っ張り出して、とくに年配の男性が何を着ているかを調べるのが好きな彼女は、さまざまな技法を調べてから面白そうな生地を購入し、何ができるか実験する。ショーまで何週間かはアトリエでの作業が続き、スケッチを描いて工場に送ることはしていない。

彼女のインスピレーション源は、いつも過去にある。例えば、記憶や若い頃に着ていたドレスだ。彼女にとって、過去からスケッチを描くことはクリエイティブであり、アイデアを持つことと密接に関係している。

ドレスを何度も着てもらいたい

2022年春夏コレクション(Courtesy of MOLLY GODDARD)

テクニカル ファブリックが大好きなモリーが服に望むのは、丈夫であること。モリー ゴダードのドレスを洗濯機で洗ってもらうため、彼女は好んでチュール素材を使用する。チュールドレスはスーツケースに収納でき、取り出すと元の形に戻ってくれるからだ。

「服を大切にしすぎないことがとても大切だと思います。モリー ゴダードをいつまでも大切に着てもらいたいです。しかし、もっと重要なことは、ジーンズやTシャツを着るのと同じように、ドレスを何度も何度も着てもらいたいということです」とデザイナーは『System Magazine』で語っている。

日中にドレスをジーンズとトレーナーの上に着て過ごすことが多いモリーは、昼間は大きなドレスを着て夜はカジュアルな服装をするという矛盾を好んでいるのだ。

ピンクのフリル ドレスは大胆で楽しいもの

(Courtesy of MOLLY GODDARD)

モリー ゴダードのドレスは、「プリティ」や「ガーリー」と評されることがある。しかし、モリーはそうした言葉には少しネガティブな意味があると捉えている。

「ピンクでフリルがあるようなものを作ると、すぐにプリンセスやおとぎ話の世界に入り込んでしまいます。私はそれが好きではありません。ピンクでフリルがあってもかなり強さがあり、可愛いや風変わりというよりは大胆で楽しいものです」とデザイナーは『SSENSE』で語っている。

モリー・ゴダード(Photography Arianna Lago)

ピンクのドレスを作っても、それは強くなり得て、決してガーリーである必要はない。女の子らしいことに問題はなく悪いことでもないが、どちらか一方になることを余儀なくされた場合、それはただモリーを苛立たせるだけなのだ。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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